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121 変態・ミーツ・アート
ある阿呆とその友人の会話。
「おい、阿呆、なに見てんだ?」
「美術の資料集だよ」
「美術の資料集? へー、いろんな芸術品の写真が載ってる大型本じゃん。美術鑑賞ってわけか。お前に似合わねえ高尚な趣味じゃん」
「まあな」
「で、お前がガン見してるその絵はなんだ? よほど有名な作品みたいだな」
「これはな、『牛乳を注ぐ女』だ」
「『牛乳を注ぐ女』? お前、その絵が好きなのか?」
「いや、嫌いだね」
「嫌い?」
「嫌いって言うか、気に食わない」
「気に食わない? どこが気に食わない?」
「構図とかなんとか色々あるが、特に気に食わないのがタイトルだね。俺なら、この絵の何もかも変えて、タイトルもまったく別のものにする」
「ふーん。それで、お前だったら、なんてタイトルの絵を描くんだ?」
「『牛乳を注がれる女』」
「……」
「……」
「一応、聞いておくが、お前が言う、その、『牛乳を注がれる女』ってのは、いったいぜんたい、どういう絵なんだ?」
「よく聞いてくれた! 白濁したミルクを女の大事な――」
「あー、もういい、もういい。それ以上言うな」
「白濁したミルクを――」
「だから、それ以上言うなってば。お前、それ、それ以上言ったら、絶対にダメなやつじゃん。その辺にしとけよ」
「ぐふふ」
「気持ちわりーな、お前」
「ぐふふ」




