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115 ソウルメイト

 駆け出しコメディアンが公園の広場でネタを披露している。見物客は……浮浪者のような格好をしたぼさぼさ頭の男が一人だけ。

 駆け出しコメディアンが言う。

「岩海苔、焼き海苔、ノリノリのり助! ノリノリのり左衛門の、ノリノリのり五郎!」

 そう言って駆け出しコメディアンが決め顔をすると、

「ふひゃひゃひゃひゃ!」

 見物客――浮浪者のような男――が狂ったように笑った。

 駆け出しコメディアンがさらに続ける。

「アジフライ、イワシフライ、サンマフライ、バタフライ! フライハイ! スカイハイ! どこまでも飛んでけ!」

 そう言って駆け出しコメディアンがはばたくようなジェスチャーをすると、

「ふひゃひゃひゃひゃ!」

 見物客――浮浪者のような男――がまた狂ったように笑った。

 駆け出しコメディアンがさらにさらに続ける。

「イワシとサンマが合体するよ。イワシとサンマが合体するよ。イワシとサンマで……イワシサンマ一号! て、一号がおるっつーことは二号三号もおるんかい! どないやねん! ズビシ!」

 そう言って駆け出しコメディアンが一人でノリツッコミのジェスチャーをすると、

「ふひゃひゃひゃひゃ!」

 見物客――浮浪者のような男――が今度も狂ったように笑った。

 駆け出しコメディアンが見物客――浮浪者のような男に語りかける。その顔には暖かな笑みがあった。

「あんた、相当なお笑い好きだな。今まで、どこで誰に対してやってもまったくウケなかったのに。こんな気持ち良くネタやらせてもらったのは初めてだぜ。あんた、アレだな。見てくれは腹ぺこのホームレスみてえだけど、相当なお笑い通だな。俺のネタの笑いどころが完璧に分かるんだからな」

 見物客――浮浪者のような男――が答えた。

「いや、お前のネタはさっぱり理解できねえし、ちっとも面白いとは思わねえ。ただ……」

 見物客――浮浪者のような男――が続けた。

「昨日、ここの公園で拾い食いしたキノコがマジで効いてんだわ。ふひゃひゃひゃひゃひゃ!」

「……」

 駆け出しコメディアンは愕然とした。

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