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107 魔鉱石

 三人の探検家が、長く危険な旅の果てに、とある洞窟の奥でそれを見つけた。

 青く輝く大量の『魔鉱石』である。

 魔鉱石――それは膨大なエネルギーを内に秘めた特殊な鉱石。指先大の魔鉱石一つで、一国の一年分の消費エネルギーがまかなえるという。売ればとんでもない値段がつく、探検家なら誰もが夢見る希少鉱物である。

 使い方は簡単で、軽く魔力を当ててやれば――この世界の人間は初歩的な魔法なら誰もが使える――すぐにエネルギーが解放される。

 もっとも、それだけに、破壊のためのエネルギーとして、つまり兵器として転用されることもある。

 とにかく、この魔鉱石の発見に、三人の探検家は大喜びした。洞窟奥の広大なドーム状の空間に、三人の喚声がしばしこだましたものである。

 最初、三人は魔鉱石を均等に分けた。三人それぞれがこの探検に貢献してきたのだから、それは自然なことでもあった。ところが、魔鉱石を均等に分け合ったあとで、三人のうちの一人がこう言い出した。

「俺はこの探検のそもそもの発案者だ。俺がこの探検を言い出さなかったら、この魔鉱石の発見もなかった。俺はお前たちよりたくさんの魔鉱石を得る資格がある」

 すると、もう一人の探検家がこう言った。

「何を言う! それを言うなら、この洞窟の入口を最初に見つけたのは他でもないこの俺だ。俺こそ、お前たちよりたくさんの魔鉱石を得るべきだ」

 この言葉に、三人目の探検家もこう言い出した。

「それはおかしい。俺の見つけたあの地図がなければ、ここまでたどり着くことはできなかった。魔鉱石の優先権は俺にある」

 そして、三人の探検家は争いを始めた。売れば巨万の富を得ることのできる魔鉱石をめぐって、殺し合いを始めた。殺し合いの道具は、そう、他でもない――すぐ手近にあった魔鉱石だ。

 閃光が走り、衝撃波が生まれる。見えないエネルギーの壁が衝撃波を遮り防ぐ。攻撃にも防御にも魔鉱石を使った。


 そして――。


 洞窟のドーム状の空間が静まり返った。やがて、三人の悲しげなつぶやきが聞こえた。

「俺たちの……」

「魔鉱石……」

「なくなっちゃった……」

 魔鉱石はすべて使い尽くされた。

 あとにはただ、おびただしい破壊の痕跡が残された。

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