106 マナー違反~面接で絶対にやってはいけない行動
ポンコツ求職者がある企業の採用面接を受けに来た。
採用担当者は、机越しに鋭いどこか侮蔑的な視線を投げて寄越した。パイプ椅子に座るポンコツ求職者は冷や汗をかいた。
「履歴書を見た感じ、君はいくつもの職場を転々としてきたようだね。それも短期間の間に」
「……はい」
「それだけでもう、君の人間性が推し量れるというものじゃないか」
「……」
「根気がない、意欲がない、協調性がない、それにそうだな――」
「……」
「人間としての価値もない」
「……」
「君には何か、これだけは人に負けないという特技とか長所とかはないのかね?」
「……いえ」
「それみたことか。胸を張って主張できる特技や長所すらない人間なんてゴミだよゴミ。だいたい君は」
「もういい」
「え?」
「もういい、もうたくさんだ!」
「何?」
ポンコツ求職者はすっくと立ち上がると、ずかずかと採用担当者の前へ歩み寄った。
「どうした? 何をするつもり、だ?」
採用担当者のネクタイがつかまれ、無理矢理立たされた。そして、ポンコツ求職者は言った。
「さっきから黙って聞いてれば、言いたい放題言いやがって」
「ひっ」
「てめえに俺の何がわかる! てめえに俺の何がわかるんだ!」
噛み付くような口調でつばを飛ばすと、ポンコツ求職者は何かに葛藤するような、何かをこらえるような苦渋に満ちた表情を浮かべ、
「くそが!」
ネクタイから手を放し、くるりと背を向けて部屋から出て行った。
椅子に尻もちをついた採用担当者は、開け放たれたドアを見やるばかりだ。やがて、その口からうめくような声が漏れた。
「な、なんなんだ、あいつは?」
こうして、ポンコツ求職者はまたもや面接に失敗した。




