103 悲劇的面接~経歴と人柄
ある時、ある会社に、ポンコツ求職者が面接にやって来た。
採用担当者は、しばらく、難しい顔をして眉をひそめながら、ポンコツ求職者から受け取った履歴書に目を通していたが、ややあって、その履歴書を机の上に放り捨てると、ポンコツ求職者の方を見ながらこう言った。
「君は、これまで職を転々としてきて、身に付けている資格や技能もないようだね」
手厳しい言葉である。
「しかも、無職歴が相当ある」
「……」
「話にならないな」
採用担当者は肩をすくめた。
「時間の無駄だ。どうぞ、お引き取りを」
「待ってください!」
ポンコツ求職者は椅子から立ち上がった。
「待ってください! そんなふうに決めつけるなんて、あんまりです! これまでの僕ではなく、今ここにいる僕の人柄を見てください! 経歴や資格なんかではなく、どうか人柄で判断してください! お願いします! 確かに、経歴や仕事をこなす能力には自信がありませんが、人柄には自信があります! お願いします!」
そう言って頭を下げると、ポンコツ求職者はまっすぐに採用担当者を見た。この目を見てくれと言わんばかりのまっすぐな視線であった。
しかし、採用担当者は、ポンコツ求職者の熱弁に心を動かされた様子もなく、どこまでも冷めていた。
「人柄ねえ」
苦笑いが浮かぶ。
「職を転々として、ろくに資格や技能も身に付けていない人間の人柄なんて、たかが知れているよ」
「どういう意味でしょうか?」
「あのね、こんな履歴書しか書けないようだとね」
採用担当者は放り捨てられた履歴書をペシペシと叩く。
「君の人柄にも疑問符が付くということだよ」
嘲りを含んだ辛辣な声がポンコツ求職者の耳に届いた。
たちまち、ポンコツ求職者の顔色が真っ青になった。真っ青になってぶるぶる震えた。そして、
「な、なんだって? ガビーン! ズコー! ドンガラガーン!」
ポンコツ求職者は盛大にずっこけた。




