102/221
102 完食~魚卵の生存確率
ある朝、阿呆がテレビを見ていると、清らかな川の中で繰り広げられる、生き物たちの営みが映し出された。
産卵するシャケと、その卵を狙う小魚たちの攻防である。
ナレーションが言う。
「シャケの卵の生存率は決して高くありません。シャケは急いで砂利の下に卵を隠そうとしますが、小魚たちは次々と産み落とされたばかりの卵を食べていきます。小魚たちにとって、シャケの卵は生きる糧なのです」
その光景を目の当たりにしながら、阿呆がつぶやく。
「ふーん、自然界は残酷なんだなぁ」
そう言って阿呆は、止めていたスプーンを再び動かし、彼の今日の朝メシである、山盛りのイクラ丼をもりもり食べた。
そして、
「ふぅ、ごちそうさま」
空になったどんぶりに向かって阿呆は言った。




