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1 自分の考えを述べよ
教授が研究室で試験の答案を見ている。
試験の問題は、かくかくしかじかの問題に対して、自分の考えを述べよ、というありがちなものだった。
ところが、どうしたことか、教授はこの生徒の答案を見て、怒りでわなわなと震えていた。
「なんだ、この答案は……」
その答案には、教授の気に食わないことが、ずらずらと言葉を尽くして書かれていた。
「わしの学説に真っ向から対立するものではないか……」
答案を見ている教授の顔は燃えるように真っ赤だ。
「こいつは何を考えている? わしに喧嘩を売っているのか? 確かに、自分の考えを述べよと言ったが……」
教授はついに叫んだ。
「お前の考えなど聞いておらんわー!」
教授は答案をずたずたに引き裂いた。