チョコレート
練習してみました。
私が機嫌が悪いと必ず買って来てくれた。
チョコレート。
私がチョコレートに目がないと知っていて。
そういう優しさが好きだ。
ネクタイを解いたワイシャツ姿の貴方に抱きしめられて。
キスされる瞬間天にも昇る気持ちになれるんだ。
ビューンって空だって飛べる気がしたよ。
貴方の薄い唇に唇を重ねると、何故かチョコレートと煙草の薫りがした。
「あっ、こいつ先にチョコレートに手を出したな」
そう思いつつ、貴方との甘い時間に堕ちていく。
チョコレート風味のキスを後何回重ねられるだろう?
幸せ過ぎて怖いのだ。
でもチョコレートよりも、私達の人生は形を自由に変えるだろう。
甘いときもあれば苦いときもあるのだ。
私の住処へ貴方が来てくれることがなくなった。
ワンルームのアパートには玄関にいつもパンプスが一足。
私はよれよれのカーディガンを着てテレビを観ながら板チョコを食べている。
こうしていると貴方のキスを思い出すのだ。
涙が止まらなくなることもある。
マッチをすって夢を観るように、安い板チョコで幸せを再現しているのだ。
「神様お願いします、大好きなチョコレートが食べられなくなってもいいから、あの人に会えますように」
私の唯一の願いだ。
まだまだ未熟ですが読んで下さりありがとうございます。