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凡人キラー  作者: ゆき
3/3

 講義が終わってはじめとその隣になぜか、かけるがいる。


「なあ、この後飯でも行かねえ?」


「お、いいね!!」


「あー・・・、俺はパス。」


「え!なんでだよー、乗り悪いぞ涼矢。」


なんでって・・・。かけるも行く気満々だし。

(それに今日は、犯行の計画を立てる予定だし。)

と思っていると、隣にいたちいこいのが僕の前に出てきた。


「・・・僕がいるのは嫌?」


「は?」


「なんか、涼矢。僕が話しているときもそうだけど凄いにらんでくるし。

 僕、なんかしちゃったのかな?」


「いや、別に。」


「あー、かけるかわいそう!りょーうーやー。」


「あー!わかったよ。悪かったって、飯だろ?行くから!」


「やったー!!」


 僕の前に出てきたと思ったら、涙目でうつむきながら言ってきた。

確かにこいつは僕に何かしたって訳でもないし、少し疑いすぎたかもしれない。

僕の、ただの勘違いかもしれないしな・・・。


大学から近いファミレスに着いた僕たちは会話が盛り上がっていた。

するとはじめが顔を上げて目を輝かして口を開く。


「ねえ、そういえばさ、なんでかけるは犯行について詳しかったんだ?」


「え?詳しくはないけど。」


「嘘つけよー、それに俺らがその話してたら会話に入ってきたし、なんか事件について詳しいの?

 親が警察とかさ!」


戸惑っているかけるをよそに僕は初めてはじめのことを使える奴だと思う。

心の中でガッツポーズだ!ナイス、はじめ!

そんなことをおもっていると、かけるが口を開く。


「実は・・・僕、ミステリーが好きなんだ!」


「「は??」」


「ミステリー物が好きで、事件とか事故とか、そういうものに興味があるんだ。」


「ミステリー物?」


「うん、だからその、犯罪の事にも少し詳しいっていうか、自分で言いたくはないんだけど」


・・・・。


「・・・?はじめ、りょうや?」


「おお!!!いいじゃん!!!」


「え??」


「もっと早く言えよな!まあそうだとは思ってたんだ!俺もミステリーが好きなんだよ!」


「そ、そうなんだ!!」


この馬鹿二人が共通の好きなことについて話している中、

僕は心のどこかで安心した。

確かに、犯罪について詳しいのは、怪しかったが。

前から調べていたのであれば話は別。


こいつも、ただの馬鹿の仲間だったか・・・。


「涼矢も、ミステリー好きなの?」


「え?あー僕は好きじゃないよ。どうでもいい。」


「そうそう、涼矢は俺がニュースの話しても興味出してくれないんだよー。」


「・・・そうなんだ。」


「ミステリーなんて別に興味あったところで意味ないだろ。」


「そうでもないかもよ。」


「え?」


 僕はミステリーを好きではないといったとたん、かけるの表情は曇る。

そしてかけるは口を閉じることを忘れたかのように続ける。


「もし、今ここで犯罪が起きるかもしれない。もしかしたら涼矢自身が加害者になるかもしれない。」


「何言って?」


「犯罪なんて、いつも隣り合わせにあると考えたほうがいい。油断しているとやられるよ。」


さっきまで、軽い口調で話していたかけるが、一気に話すから正直驚いた。

あのうるさいはじめまで、固まっている。

空気が一気に重くなる。


「・・・なーんてね!」


「・・・え?」


「ごめんごめん!最近やってるドラマで同じような展開があったからセリフ言いたくなっちゃった!」


「なんだよーびっくりした~!なありょうや!」


「あぁ・・・。」


「ごめんねー!」


確かにセリフじみた言葉ではあったが、ただそれだけで

あんな雰囲気出せるのか・・・?

勝手に僕の中で小沢かけるという人物の闇が増える。


「あ!そろそろいかないとだ!ばいばい。」


「え?!おう!じゃあな!」


「じゃ。」


普通の会話をしていると、いきなりかけるが立って

そそくさと帰っていった。

本当に嵐みたいなやつだな。


「なんか面白い奴だな!」


「そーだな。」


「なんだよー!!ささ!食おうぜ。」


「あぁ。」



 秋風が吹く、この季節。

なにかしらの油断を誘うようなこの気温にまんまとはまりそうになる。





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