第6話:剣と村と瓜二つの天使
誤字などが多いかも知れません。
すみませんです!
そして何よりも投稿する期間がかなり空いてしまいました。です。
どうぞごゆっくり見て頂けると嬉しいです!!
「うぅぅ〜〜んん、よく寝たぁ〜……」
私は背伸びをしながら呟き後ろで足音がしたのに気が付き振り向く。
「寝すぎだよ」
そこにいたのはミユだった。 どのくらい寝ていたのだろうか、自分ではよくわからない。
「え?そんなに寝てた?」
「起こしても起きないし、遺跡の中少しだけ見に行ってみたよ」
「ご、ごめん」
私は小さくため息をつかれた。
「別に良いよ、はいこれ」
ミユは見覚えのある剣を私に渡そうとし、それを受け取った。
「あ、この剣」
「やっぱり見覚えあるんだ」
「うん」
私は立ち上がり腰に剣を付けた。
「じゃあ、いこっか」
私はミユの言葉に頷き遺跡に入った。
遺跡内の入り口のハシゴを降りて行くと一本道の坂道だった。 その坂道は何故だか光は差してなく、灯を灯す物もないのに微妙に明るかった。
「行こう」
「うん」
そう言い私達は最初の一歩を踏み出すと、私の足が地面に少し沈んだのに気がつき、1番思った事は、やってしまったと言う感情だ。
「あっ!」
その言葉にミユは少し驚きこっちをみた。
反応を見るに状況がわかっていない気がし、私は伝える事にした。
「スイッチぽいの踏んだ」
私はミユに言うと同時にガコンと音がして少し揺れた。
「上、天井が開いた」
ミユの言葉に私も上を見ると一瞬でわかった。 丸く大きな岩がズリズリと落ちてきていた事を。 そして、おそらく転がってくるのだろうと。
「走って!」
ミユの言葉が合図のように私とミユは走り出した。 それと同時に岩も地面に落ちこちらに迫って来る。
「なんでこんなトラップがあるのぉ!?」
「私に聞かないで!」
私は全力で走りながら大声で言い、ミユは私程ではないが少し大きめな声でいった。
「ミユ、魔法!」
私は岩を魔法で壊せないかミユに言うが表情を見るに答えはわかる。
「私もそう思ったけど、多分壊せないよ」
そう言いつつミユは手を光らせた。
「穿てっ!」
ミユは後ろへ振り返り右足でトンっと地面を強く蹴るとやや浮遊した。 そして手からはよく見た事のある光の球を放ったが、それは岩に当たりはしたが光の球が弾け消えた。
「そんなぁ!!」
「やっぱり駄目……」
ミユは再び地面に足を付け、走り出した。
私達が、必死に走っていると前方に壁があるのが見え絶望した。
「行き止まり!?」
私達は壁の前につくと岩がすぐそこまで迫ってきていたのが目に見えて分かった。
「どっかにスイッチがあるかも」
ミユが探しながら言うと私も必死に探した。
「もうなんでもいいから出っ張りがスイッチでおねがい!」
私は混乱のあまり出っ張りのあるレンガを押しまくった。 こんなもので解決すれば苦労はしない、私はそう思ったが1つだけ出っ張りが中へ入って行った。
「やった!」
私は喜ぶのもつかぬま、地面に穴が空いた。
「へ……?」
「これが正解でありますように!!」
ミユは何が何だか分からないでいたが、私は取り敢えず祈ることしかできなかった。
案外浅いのか一瞬で地面についた。
「いったぁぁーー……」
尻から思いっきり落ちたためかなり痛かった。 ミユはどうやらしっかりと着地出来ていたようで平気そうだ。
私は落ちてきた上の穴を見ると、岩が壁に当たって砕けたのが見え、それと共に危険が迫っているのも見えた。
「あっ……」
安心しきっていたため私は反応に遅れた。
「ちょまっ!?」
砕けた岩が無数に落ちてきて、それに下敷きになったと思い私は目を瞑った。
ーーーーー
「うぅ……」
下敷きになったかと思ったが、岩は私に当たらなかったようで安心した。 周りに砂埃が飛び視界は悪いがミユの声が聞こえてきた。
「時音〜大丈夫?」
「うん! なんとかぁー!」
ミユの声に私は返事をし、やがて砂埃が消えるとミユは私を見つけて側によった。
「向こうにまだ道が続いてるよ」
ミユが指をさした方に一本道があったが、その時天井からガタンっ! と音がした。
「つ、次は何!?」
私は上を見上げると段々、天井が迫ってきているのに気がついた。
「またありきたりな!!」
ありきたりだが間に合わなければ確実に死んでしまう罠だ。 私はそう思いつつ言葉を放ち立ち上がろうとした時、右足が重たく嫌な感覚がした。
罠をかい潜り安心しきっていた為、自分の状態を見ていなかった。
右足首を埋めるように大きめの石が上に置かれていた。 さっきの落ちてきた岩が足に運悪く乗ってしまったのだろう。
「急ごう」
ミユは私の状況を把握していないようで、いち早く走り出した。
私も何とか走る為に足を動かした。
「は、外れない!?」
何度動かしても岩を退かさない限り抜けそうになかった。 しかし、私にそんな余裕もなく頭が回らない。
「うぅーー、なんで! 外れてよ!!」
私は急がないと手遅れになるという思いがあり、岩を蹴ったり足を思いっきり引っ張ったりした。 無理やり動かそうとしている為、足に痛みが走るが今は構ってられない。
「時音!?」
ミユは私の異変に気付いたのか戻ってきた。
「ミユ!足がぁぁ……」
私は死ぬかと思い涙目だった。
どうしても抜けない、死がすぐ近くまで迫ってきている。
「泣かないの! なんとかする」
ミユがそう言うと私の足の上に乗ってる岩を持ちあげようとするが、それはビクともしなく、私は絶望した。
「時音、痛いと思うけど我慢してね」
ミユがそういいながら手を光らせた。
岩に放った魔法に似てる気がする。
「私の魔法と一緒に足を思いっきり引いて」
ミユの言葉に私は頷き、引っ張る準備をした。
「いくよ!」
ミユは光の球を右足の横辺りに投げると小さな爆発が起きた。
それと同時に私は足を思いっきり引いた。
その時足は岩から外れた感覚がしたが同時に引っ掻かれたような痛みが右足を襲った。
「いったい……」
私は怖くて足を見ることができなかった。
「手を!」
ミユは私に肩を貸し、二人で真っ直ぐ進み始めた。 足の痛みは今は我慢するしかない、その為ミユの服を強く握りしめた。
「もう少し!」
私とミユはなんとか安全な場所にたどり着いた。 私たちが居た部屋はその数秒後に壁となった。
「足、大丈夫?」
ミユがそう言うと私は足を恐る恐るみた。
「うっ!」
足首のやや上の辺りが、血で真っ赤になりえぐれているように見え、私はすぐに見るのをやめた。
「少しだけなら治せる……はず」
ミユは手を足にかざすと光り出し、それと同時に痛みが段々消えていく気がする。
「ホントだ、少しだけ楽になった、ありがとう」
私はミユに微笑むと足を再び見た。
えぐれたような傷はやや収まっており、痛みもかなり引いた。
「ここは何も無い密室なんだね」
ミユがそう言うと私は周りを見渡した。
ミユの言った通りここは何も無い密室だ。
密室、部屋というより穴がない洞窟のようだったが、他の部屋にない違和感が感じられた。
「壁に出っ張りも何もない」
ミユはいろいろ調べてはみたものの、何もなかったようだ。
「あ、そういえば、ここ涼しいね」
私は違和感にやっと気がついた。
「そういえば端っこの方とか濡れてる」
ミユが呟いていると水が漏れていた横の壁に腕が入るほどの無数の穴が次々と現れそこから水が更に流れてきた。
「み、水!?」
早く何かしないと溺れてしまう罠だろうか。
私は片足で移動しながら何か無いか調べた。
そして1分程時間が経った時、既に水はもう胸辺りまで溜まっていた。
「溜まるの早すぎるよ!」
私は部屋の半分が水で満たされてる事から、もう1分くらいしか時間が残されていないのがわかった。
「こっちも何もない」
ミユもダメなようだった。
時間だけが過ぎていき等々足がつかなくなってしまった。
「ゴポっ……あ、はぁはぁ……」
私は泳げなく、なんとか掴まれそうな壁に捕まった。
「時音!」
「わぁあっ!!」
私の後ろの水の中から突然ミユが出てきた事に驚き手を離しそうになったがなんとか離さないでいれた。
「どうしたの?」
私は体勢を何とか安定させてミユの方を見ると、ミユは下を指差した。
「道があった」
「ほんとに!?」
ミユは頷き私は安心したが、不安な気持ちもあった。 私は泳げない、きっとここから先は泳ぐ事になるのだろう。
「今更なんだけど、私泳げないんだけど」
「大丈夫、私が連れてく」
私はミユがそう言ってくれると心強く、安心した。
「お願い」
私の言葉にミユは強く頷いてくれた。
「私に捕まって」
私はミユに言われたままミユの背中に回り両手をミユの両肩に乗せた。
「行くよ」
ミユの言葉と同時に私達は大きく息を吸い、その瞬間水の中に入る。 息を長く保つために私は目を瞑り、ただ早く着く事を願った。
魔法を使っているのか泳ぐスピードが凄く早く感じる。
この遺跡に来てから、それよりも前に、私は役に立ってるのか不安になって来た。
ミユを助ける、この世界を救う、その為に私は頑張ってはいた。
だけど、逆に邪魔になってるんじゃないかと、自分の無力差からそんな思いが湧き出て来た。
この世界を元に戻せるのか、戻すとは何なのか。
私は……本当に……。
「ゴポっ……」
私は息の限界が近いことに気づき、それを知らせる為に手に力を入れた。
まだ……なの!? もう無理!!
どれだけ潜ったのかわからないが、かなりの時間を潜ったように思えた。
私は両手が滑り手を肩から離してしまった。
限界も近く、離してしまった勢いで咄嗟に口が開いてしまい、口から空気が出て行ってしまう。
私はもがいたが、手や足にある感覚は水に触れた感覚しかなく、孤独感を感じた。
やがて私はもがく事もできなくなり息が苦しいとも思わなくなった。
まさか、溺れて終わりだなんて……。
私は呆気なく終わったなと思った。
終わりたくはない、だけど……。
「…………ね……」
誰かの声が聞こえた。
「……と…………ね……」
誰かが呼んでる、目を開けなきゃ……。
「……ときね!」
ミユ……の声が、聞こえた。
そうだ、私にはミユが。
「ゲホォっ!!」
私は咳と共に思いっきり起き上がった。
それと同時に頭にガンっ! と強い衝撃が走った。
「いゲホォっ…………たぁぁーー!!?」
私はつい大声を出してしまい再び酸素がなくなり死ぬ寸前になった。
「はあぁぁぁーーーー!!」
思いっきり息を吸った。
「また……思いっきり……」
隣でミユが頭を抱えて呟いていた。
申し訳ない気持ちもあるが今は感謝の気持ちが上回っている。
「はぁ……はぁ……」
周りを見ると広い空間にいるのがわかった。
後ろにはさっき通ったとされる水があり前方には何か地面に出っ張った岩のようなものがあるのを視認できた。
「ミユ……ありがとう」
「別に、無事でよかった」
私は息を整えながら言い、ミユはムスっとした顔で返事を返した。
多分頭をぶつけてしまった事に怒っているのだろう。
「じゃあ、いこうか」
ミユは立ち上がると私に手を差し伸べ、私はその手を握り左足に力を入れて立ち上がった。
「あれって台座?」
私は出っ張りを指差しながら言った。
「台座なら剣が刺さってると思うんだけど、それらしきものは無いね」
この広い空間で真ん中にある出っ張り以外何も無いのだ。
「もしかして、誰かが先に取っていったって事は?」
私は無駄足になっているのではないかと心配のあまりミユに聞くが首を横に振った。
「わからない」
出っ張りを近くで見ていると後方の水の方と前方に何かがカランっと落ちた音が聞こえた。 私は前方と後方をキョロキョロして見ると人間の形をした骨があるのに気がついた。
「あれって……人の!?」
私は恐怖心が体全体に流れるように感じた。
「あれって……」
「ま、待ってよ!」
ミユが前方の骨に近づいた。
私は一人で居るのが怖く取り敢えず剣を抜いて、ミユの後ろを歩いて行った。
私達が骨の前で足を止めると、その骨は人間にしては一回り大きかった。
「これ、魔物の?」
私は肩の力が抜けた。
「な〜んだ、怖がってそんしーーーー」
私が喋って居る中、後ろから骨がカラカラと音が鳴り、それは段々と近付いてきている気がし、私はすぐに振り返ると、私のすぐ近くに人型の骨が形を持って剣を振り上げていた。
「これって……スケルトン?」
私はそう呟いた瞬間、ミユが私を突き飛ばした。
「いたっ!」
私は地面にうつ伏せで倒れ、その衝撃で剣を離してしまい遠くの方に飛んでいってしまった。
その時、足に少し痛みを感じたが気にする事なくミユの方を見ると、手から水を出し、それを槍のようにさせてスケルトンの剣を防いでいた。
「ミユ!」
「離れて!」
私はミユを助ける為に近付こうとしたが、ミユがそれを拒み声を上げ、私の足は止まった。
私がミユの側に行った所で邪魔になる、私はそう思い、私は後ろへゆっくりと下がった。
そして後ろから来た奴とは別に調べに行った時の骨も動き出していた。
2対1になった状況で私は何もできずにいた。
ミユはなんとか二体の攻撃を防いではいたが攻撃はできていなかった。
「この!」
ミユは水の槍で思いっきり突くとスケルトン一体の腕が取れ、私の方に飛んで来た。
それは地面に落ちるとバラバラに散らばった。
二体を相手してる中、私はミユの後ろからもう一体迫って来ていたのに気がついた。
「ミユ後ろ!」
私はそう言いながら地面に落ちた腕の骨を持ち、能力を発動させた。
私は止まった時間の中、足の痛みを気にせず全力で走り出し、骨を強く握りしめ私は怪我をしてない方の足で強く地面を蹴り、飛んだ。
私は狙いをスケルトンの頭に集中させた。
しかし間合いに入る前に何故だか能力は途切れ、時間が動き出した。
「なん……んぐっ!?」
ミユを背後から攻撃をしようとしたスケルトンは私に狙いを変えて左手で私の顔に掴みかかった。
「んぐぅ〜〜んんっ!!」
私は振りほどこうと骨を前方に振り回したがギリギリ距離が届かなかった。
なんで能力が途中で! それに、記憶も消えてない!?
私はスケルトンの腕に攻撃を変え攻撃をするが、距離が近すぎて体制が悪いせいか、威力が全くでなかった。
「時音!!」
ミユは2体のスケルトンに阻まれていた。
「んぐっ!」
自分で何とかしないといけないが、どうしようもできない。
私は手に持っていた腕をスケルトンの顔目掛けて投げるが顔に跳ね返り何処かへ飛んでいってしまった。
スケルトンは私目掛けて剣を持った腕を引いた。
「んんぅ〜〜んっ!!」
私は外れないと分かりながら暴れた。
そして能力も使おうとしたが発動はできなかった。
スケルトンは引いた剣を思いっきり私の腹部目掛けて突いた。 その剣は私の腹部を貫き、私は口から血を吐いた。
「えぐっ!?」
腹部を思いっきり押されるような感覚がおそった。
スケルトンの手の隙間から私の血が地面に滴り落ちるのを感じ、スケルトンの手で腹部は見えないが痛みは思ったほどなかったが、後からジワジワと痛みが現れて来た。
スケルトンは剣を引き抜くと強い痛みが私を襲った。
「んっ!」
私は力を入れると痛い為、体全体の力を抜いた。 スケルトンは私を放り投げ、地面に叩きつけられ、刺された場所から血が出て焼けるように熱かった。 しかし体は冷たく凍えそうなくらい寒く感じた。
「ときねぇぇーー!!」
ミユの声が聞こえる。
だけど私の視界にはスケルトン一体しか見えなかった。
そのスケルトンは剣を私の胸に突き刺した。
何故だか痛みは全くなかった。
「なんで……わたしはこんなにも……」
私は自分の弱さに悔しがり後悔した、そして
私の視界は真っ暗になった。
ーーーーー
「ん……」
目の隙間から光が漏れていた事に気がつくと、私は目を開いた。
「ここ……は?」
周りは真っ白で明るく、何もない空間だった。 そして目の前には丸く、光っている何かが浮遊していた。
「はじめまして、あなたの事をある程度見てました」
その光から女性の声が聞こえ私は少し驚いた。
「えと、あの私……どう……なったんですか?」
私は今の状況を知ろうと光る玉に聞いた。
「貴方は剣を手に入れるためにここへ来て、そしてやられてしまいました」
その言葉に私は死んでしまったのかと思った。
「あの、私は死んじゃったんですか?」
「貴方はまだ死んではいません、ですがかなり危険な状態です」
私は死んでない事にホッとして肩の力が抜けた。
「私が貴方に取り付く事で傷は塞がり生き延びられる様になっています」
取り付くと言うことは幽霊なのかと思ったが傷を癒すと言うことは精霊なのかとも思った。
「名前をまだ言ってませんでしたね、私の名前はガイアといいます」
「そして、貴方が探し求めていた……伝説の! 剣です」
伝説の所を激しく主張していた。
何故だか顔は見えないがドヤ顔でもしているようにみえる。
「あの……ガイアさんの力を貸してほしいです!」
私がそう言うと返事はすぐに帰ってきた。
「いいですよ、それに、私が居なくなったら今の貴方は死んでしまいますので」
私は一安心した。
「では、行きましょう」
ガイアが突然そう言うと私の体が光り始めていた。
「ど、どこにですか?」
「それは、貴方が居た世界ですよ、仲間が危ないんでしょ、私の力を使って助けてあげなさい」
落ち着いた声でガイアがそう言うと私は強く頷いた。
待っててミユ!
その瞬間、周りは真っ白になり何もみえなくなった。
ーーーーー
「ん……」
手に石のような感触を感じると戻ってきたのを実感した。
私は目を開き周りを見渡すとミユが壁に背中をつけて三体のスケルトンに囲まれていた。
私は助けに行こうとしたが武器が無いのに気がつき、ついでに足の傷や胸の傷が消えている事にも気がついた。
「傷は私が塞ぎました」
突然頭に響くようにガイアの声が聞こえた。
「あ、えと、武器が……」
私は傷の事は後にしようと思い、先に武器のことを聞いた。
「私は他の武器と違って実体を持ちません、私を宿している人の思考によって武器が変わりますから」
私はその説明に混乱した。
「えと、結局どうすれば?」
「貴方が使いたいと思う武器を想像してください、それを手に出現させるイメージです」
私は言われたままの事をした。 すると本当に手から剣が現れた、と思ったが光が剣の形をしている物ができた。
「これでいいの?」
成功しているのか分からなかった為ガイアに聞いた。
「はい、それで大丈夫です」
ミユの方を再び見ると水色の何かバリアのような物を張っているのが見え、そのバリアはヒビが酷く入っており今にも割れそうだった。
ここから走って助けに行ってもバリアが壊れるのがきっと先な気がする。
考えてる暇も惜しい。
私は走って届かないなら剣を伸ばせばいいと思い、今持ってる剣を触って気が付いたことが1つあった。
この剣は全く重さが無いのだ。 その事を利用して剣先を長くするイメージをした。
「ミユ伏せて!!」
私はまだ力加減ができない為ミユを伏せさせる事にした。
私の声が聞こえミユはとっさに伏せたのが見えた。
「いっけえぇぇーー!!」
私は伸びた剣を豪快に振った。
その剣は壁に埋まりながらも止まる事なく進みバリアとスケルトン三体の体を斬った。
スケルトンは真っ二つになった身体を地面に強く打ちつけてバラバラに転がり落ちた。
私は剣を消すため手から消えるイメージを持つと剣は粒子となり消えていった。
「はぁ……はぁ……」
私は何故だかかなり疲れ、ミユは結構ボロボロになっていた。
「時音、大丈夫?」
私は心配するミユに微笑みを浮かべて返事を返した。
「えへへ、大丈夫だよ」
私は足に力がうまく入らなくなり、地面に座り込んでしまった。
「時音!?」
ミユは突然座り込んだ私に驚いたようだ。
「ちょっと疲れただけ」
そう言うと私の体から光が出てきた。
「力を使いすぎただけですね、別に危険ではありませんので安心してください」
ガイアの声だ。
「な、これなに?」
「あ、えーとね、この光が伝説の剣でガイアって言うんだって」
ミユはその光を不信に思っていたが、私がそう言うとミユはすぐに納得してくれた。
「ふぅ……」
私は息が整うと立ち上がった。
「ではついてきてください」
突然ガイアはフワフワと奥へ進んで行った。
「あ、え? 待って、剣拾ってくる」
私は駆け足で剣を取りガイアの方へ向かい、案内され、少し歩くと壁に到着した。
「なにもないよ?」
私がそう言うとガイアは私の中に戻ってきた。 それと同時に前の壁が開き、奥にハシゴがあるのが見える。
「そちらが出口です」
再び頭に響く声に変わった。
私達はそのハシゴを登ると遺跡の入り口の裏に出た。
「ふはぁーー!」
私は思いっきり背伸びをした。
体を撫でるような風、自然の匂い、なんだか久しぶりに感じた気がした。
「これからどうするの?」
私はミユにそう聞くとミユは指をさした。
「このまま北に向かう、森の中に小さな村があるの」
「村? なんのために? 私は、てっきりガルスに行くのかと思ったけど」
「ガルスにも行くけど、まず時音の服どうにかしないとだし」
ミユの言葉に私は自分の服を見た。
スケルトンに斬られた所が当然ながらも破れている。
「うひゃー!?」
私は顔を赤くして両手で隠した。
「それに、ちょっと疲れたから休憩したいし」
ミユはそう言いながら馬車に乗り、私も恥ずかしながら馬車の荷台に乗った。
ミユは馬車を動かし北へと進み始めた。
ーーーーー
ガタガタと馬車が動く音が何度も繰り返されている中、私はボーっと転がっていると私の中から光が出てきた。
「聞いてもいいですか?」
ガイアがそう言ってミユの隣へ飛んでいった。
「なに?」
「貴方は魔女ですか?」
私は魔法使えるから魔女なんじゃ?
そんな簡単な話ではないのかな?
「まぁ、魔法使いだから魔女なのかな?」
その答えに納得がいかなかったのかガイアは再び質問をした。
「では聞き方を変えます。貴方は水の魔女ですか?」
ガイアの質問にミユは首を傾げた。
「ごめん、よくわからない」
ミユの言葉にガイアは黙り込んだ。
「えっと、何かあるの? その魔女って」
私は話の内容がよく分からず聞いてみた。
「いえ、今は気にしなくていいです」
そう言うとガイアは私の中に入っていった。
「えぇ〜、気になるよ〜」
私はガイアにそう言うが返事はなかった。
「魔女……」
ミユは呟き、ため息をついた。
ーーーーー
「そろそろ森に入るよ」
私は荷台でボーっとしているとミユの声がしてミユの方を向いた。
「やっと森……」
思ったより遠く荷台にいるのが辛くなってきた頃だったが、運転しているミユの方が辛いのだろうか。
馬車は森に入りずっと進んで行くと家がある場所にたどり着いた。
そしてある一軒の家の前に馬車を止めるとミユと私は降りた。
「んんぅぅ〜〜〜……」
私は背伸びをしたが服のことを思い出し、すぐに縮こまった。 それと同時にガイアは私の中から出てきた。
「少し調べたい事がありますので離れます……いいですか?」
私はミユの方を見ると頷いていたので私はガイアに大丈夫なことを伝えた。
「明日には戻ってきます」
そう言うとガイアは森の奥へと消えていった。
「時音、行くよ」
「うん」
ミユの言葉に返事をして家の横に移動した。
「アストさん、いる?」
ミユは少し大きめの声で言うと奥の方から足音が聞こえ、フスマから1人の黒っぽい赤髪の男性が出きた。
「あ、久しぶりだね、元気にしてたかい?」
気軽そうな人がミユの前に立つと男性は私の方を見た。
「今日はここに泊まりたいと思ってきた、大丈夫?」
ミユはそう言うと男性は部屋へ案内してくれた。
「君がここに泊まりにくるのは珍しいね」
そう言われるとミユは今までの事を話し、私の事も紹介してくれた。
そして男性の名前はアスト、さっきミユが言ってた名前だ。
「なるほど、そんなことになっているんだね」
アストさんは気楽に返すと奥のタンスの中から服を取り出した。
その服は黒いTシャツに白いフード付きの上着、茶色の短パンに黒いニーソックスだった。
「服はこれしか無いけど大丈夫かな? 着替えは奥の部屋を使ってくれて構わないよ」
私は服を受け取ると奥の部屋で着替えて来ることにした。
ーーーーー
私は服を着替えてフスマを開けミユの前に立ち両手を広げた。
「どうかな?」
「良いと思うよ」
少し嬉しくなった。
「アストさん、ありがとうございます」
「そんなにかしこまらなくても大丈夫だよ」
私はお礼を言い頭を下げたが、アストさんは少し気まずそうに言う。
「あ、はい」
「時音、この村をグルっと見てきたら?」
ミユがそう言うと私は頷いた。
村の人達と話したり、この世界の事を知るいいチャンスかもしれない。
「じゃあちょっと探検行ってきます!」
私はガッツポーズをしながら言った。
「バイバイ」
ミユは手を振った。
私は小走り気味に玄関へ向かい、外へ出る。
「村自体は、ちっちゃいんだ」
周りを見ると家がアストさんのを合わせても5つしか見当たらなかった。
しかも外を歩いている人が1人もいない。
「どれかの家に尋ねて見るか……」
私はどの家を訪ねるか悩んでいると村の奥の方から鼻歌が聞こえてきた。
「なんだか落ち着くリズム……」
私はずっと聞いていられそうだなと思いながら、鼻歌に引き寄せられるがままに森の奥へと足を進めた。
鼻歌がだんだんと大きくなり水が流れる音が次第に聞こえるようになってきた。
「誰だろう……」
歩き続けていると小さな湖が現れ、その湖の真ん中近くに岩が出ており、その上に赤に近いピンク髪に、薄い茶色のローブを着ている誰かが鼻歌をしていたが、後ろ姿の為、顔はわからない。
声と後ろ姿からして女の人だと言うのは分かった。
「あの!」
「ひゃはぁーーーー!!?」
私は少し大きめな声を出し、声に驚き女の人は猫のように飛び水の中に落ちてしまった。
「え、あ……大丈夫ですか!?」
私が呼びかけると同時に水の中から出てきた。
「貴方誰ですか!?」
私は突然の問いかけに少し慌てた。
「あ、えと、時音って言います!」
その人はフードを深く被り顔を見えないようにしながら、泳いでこちらまで来ると私は取り敢えず謝った。
「えっと、脅かしてしまってごめんなさい!」
「あえ? い、いいよ別に!」
そう言われると私は彼女を見続けた。
「えと、なに!?」
緊張してるのか凄くガチガチだ。
「貴方はこの村の人なんですか?」
私が質問すると彼女は先程の緊張が少し和らぎ肩の力を抜いた。
「ふへ〜、よかった……」
彼女がそう言うと私は首を傾げた。
「あ、ごめんね、私の名前はミカ……美香だよ!!?」
何故だか彼女は慌てていた。
とても落ち着きがない人だなと思うほかない。
「美香さんですね。 それで……」
私がもう一度質問をしようとすると美香さんが先に声を出した。
「あ、この村の人か、だったよね! 私はこの村の人じゃないよ」
「それと私がここに居たことは村の人には内緒にしてね!」
美香さんが落ち着きなく必死に言うと私は頷いた。
「わかりました」
「ところで、あの鼻歌いいですね! なんか落ち着ける曲で!」
私がそう言うと美香さんは顔を赤くし、少し俯いた。
「もしかして村まで聞こえてましたか?」
「うん」
「あう……。 気をつけないと……な」
美香さんは手で顔を覆い、小さな声で言ったのを私は聞き取れた。
「…………」
少し沈黙になると美香さんが口を開き、湖の近くの岩を指差した。
「あそこに座って少し話しませんか?」
私は是非話したいと思い頷くが、どうやって向かうのか気になった。
「手に捕まって」
その言葉に手を繋ぐと、まるで反重力になったように軽くジャンプして岩に届き、私達は岩に腰をかけた。
「美香さんは転移者なんですか?」
「うーん……そうだよ!」
少し考えたのはなんだったのか少し気になったが、聞くべきだろうか。
「あ、それと敬語はやめてみませんか! 同い年のような気がするし!」
美香さんがそう言うならと私は頷いた。
「わかった、美香って呼ぶね!」
「うん、私も時音って呼ぶ!」
私と美香は微笑みあった。
「あ、ねぇ……ガルスに居るって言われてるプレイヤーキラーって知ってる?」
私は少し情報を集めようかと美香に聞いてみることにしたが表情を見るに知らなさそうだ。
「知らない、殺人鬼?」
美香は少し不満げな顔をする。
「なんかこの近くの町、ガルスに転移者を狙う人がいるらしいよ」
「そうだったんだね……」
美香は顔をうつ向け、何かを呟いていた気がした。
「だから美香も気をつけてね!」
私がそう言うと美香は頷いた。
その後、再び沈黙となりそうな雰囲気だったため他の質問をする事にした。
「そういえば、なんでフードを被ってるの?」
私はせめて顔をよく見せてほしいなと思い聞いた。
「あ、ごめんね、忘れてた」
「少しビックリしたんだよ? 時音の顔私に似てるし、世界には似てる顔がいるって本当なんだね!」
そう言いフードを取ると私は美香の顔に驚いた。 私と顔がすごく似ていたのだ。
「なんか、すごいね」
私は言葉が上手く出なかった。
「よね!」
お互い恥ずかしくなったのか微笑みあった。
「…………」
私と美香は湖を眺めたまま言葉が無くなった。 何故こうも無言になってしまうのか。
「ねぇ! 美香さんは、この世界に来てどれくらい経つの?」
取り敢えず無言にならないように質問をしまくる事にした。
「ん〜、まだ3日目くらいかな?」
美香からその言葉を聞いた時少し驚いた。
この世界に慣れている感じを出していたからもっと前からいるものだと。
「まだ3日だったんだ……」
「時音はどのくらい?」
私は時間を戻してることをあまり教えない方がいいと思い、取り敢えず戻していない時間を教えた。
「私もそのくらいだよ」
私は苦笑いしながら言った。
表情に出てしまっているが大丈夫だろうか。
「なーんだ、なんかこの世界に馴染んでる気がしたから何年かいるかと思っちゃったよ」
美香は足を交互に伸ばしたり縮めたりしながら言い。 お互い思っていることが同じ事に私は驚いた。
「なんか、ゆれてない?」
私は地面が揺れていることに気がつき、気のせいじゃないか美香に聞く事にした。
「え? あ、ホントだ」
その回答に気のせいではないようだ。 私達は顔を見合わせた。
「段々大きくって事は何かがきてる?」
美香がそう言うと私は頷いた。
森の奥から3メートル程の何かの影が見え、地震ではなく何かの足の揺れだった事がわかる。
「時音は下がってて」
美香がそう言い私の前に立った。
森から出て影は、ようやく視認できるようになった。 ソレは見た目からしてゴーレムだった。
「ゴーレム!」
「ゴーレム?」
私は驚いたが美香はある程度平然としている。 平然と言うより何かわかっていない気がする。
「先手必勝!」
美香は手を握り凄いスピードでゴーレムの前にたどり着くと顔めがけて殴りかかった。
しかしそれと同時に何かガラスが割れるような音が鳴り響いた。
「効いてない!?」
「ならもう一度やってーーー」
美香は驚きながらも、もう1発殴ろうとした瞬間吹き飛ばされ木に激突した。
「イッタタァ〜……」
美香は顔を片手で抑えながら言い、立ち上がる。
「私だって!」
ガイアがいない今できるか分からないが洞窟と同じように剣を想像してみた。
「できた!」
光る剣が手から現れると私は少しホッとした。
「くらえぇー!」
私は剣をゴーレムの方に向け、そのまま伸ばしゴーレムの肩に当たるが、それと同時にさっきと同じくガラスが割れるような音が鳴り剣は跳ね返され、手から離れると消滅した。
「効かない!?」
私は剣で攻撃できなければ何もできない事は知っていた為焦っていた。
「これならどうだ!」
美香はそう言い手のひらに石を掴むとゴーレム目掛けて投げた。 ソレは弾丸のようなスピードでゴーレムに当たるが、やはりガラスが割れたような音を立て石は美香の方に跳ね返る様に飛ばされた。
「あわぁー!!」
美香は間一髪しゃがんで石を避け、石は後ろの木にめり込み止まった。
「オオオオォォォ…………」
低い声でゴーレムが鳴くと、こちらに歩いてきた。
「ど、どうしよう!」
「どどうしよう!」
私達は焦って混乱していた。
ゴーレムが一歩前に進むと私達は一歩後ろに下がる。 しかし、ゴーレムが突然動きを止めた。
「全く……これで何回目かしら」
ゴーレムの後ろから女の子の声が聞こえた。
「大人しくしてなきゃ……だめよ?」
ゴーレムの後ろから薄い紫髪の小さな女の子が出てきた。
「誰……ですか?」
私はその子に聴くと女の子は首を傾げた。
「あら……私の事を覚えてないなんて……ひどいのね」
女の子が無表情でそういうと私は会った覚えがあるのか記憶をたどってみるが、全く思い出せなかった。
「ごめんなさい……記憶にないです」
記憶を無くす前は知り合いだったのだろうか。
「そう……気にしなくて……大丈夫よ?」
「ねぇねぇ、時音の知り合い?」
美香が私の肩を叩いて聞いてきたが首を横に振った。
「いや、覚えてないって今……」
私の話を聞いてなかったのかな。
「あ、そそうだよね」
美香はなんだか慌ててた気がした。
「それじゃあ……名乗った方が……言いのかしらね?」
「私は……アテナ……よ?」
名前を聞いた瞬間、神にそんな名前がいた気がしたが、それ以上の事は何も思い出せない。
「あの、神様の?」
私は取り敢えず聞いてみたらアテナは頷き、私は驚いた。 この世界には神話で出てくるような人が普通にいるのだろうか。
「神だからと言って……別に敬語とか……必要ないわよ?」
「わ、わかった」
私はアテナの言葉に素直に頷いた。
「それでなんでアテナはここにいるの?」
私はアテナにそう聞くとアテナの表情が少し変わった気がした。
その時、美香はゴーレムに近づいて行くのが見えたがアテナも少し見たあと、こちらへ向き直り私を指差した。
「時音に会いに来た……のだけれど……余り意味がなかったわ」
アテナの言葉から私の名前が出た事によって私は本当に知り合いだったんだと思ったが、そういえば美香が私の名前を読んでいたような。 それで名前を知った可能性が……。
「アテナは私が記憶を無くす前、私が能力で時間を巻き戻す前に私に会ってたって事だよね?」
そう聞くとアテナは頷く。
そして突然、バコっ! と音が鳴りアテナと共に音のなった方を見た。
「あ、取れちゃった!」
美香の声が聞こえそちらを見るとゴーレムの腕を手に持っていた。
「あまり……壊さないで欲しいわね」
「ご、ごめんなさい」
そういいながら美香は腕をゴーレムに付けるとくっ付いた。
私はゴーレムと戯れてる美香を見て何故だか懐かしく思え、無意識に微笑んでいた気がした。
「貴方も……そんな風に笑うように……なったのね?」
アテナが首を傾げながら言うと私も首を傾げた。
「私はいつもこんな感じだと思うんだけど」
「そう……昔とは……変わったのね」
昔の私がどんな人だったのか思い出したくなった。
「さて……私はもう行くわ」
そう言いアテナは三歩程後ろに下がった。
「えー、もう行っちゃうの〜?」
美香はゴーレムの右腕にぶら下がりながら言うと手を離し地面に足をつけた。
「じゃあね! ゴーレムさん」
美香はゴーレムに手を振るとゴーレムの口が少し動いた。
「マ……タ…………ネ」
ゴーレムが喋った事に驚き美香は振っていた手を止めた。
「喋ったあぁぁーーー!!!」
美香の声はやや煩かった。
「あら、反応が……大胆ね」
アテナがそう言った後、後ろを向き森の中へ足を進めた。
「…………」
私は何故か何も言わずに別れるのは嫌な気がした。
ただ一言、言いたい事があった。
「離れてても、お互い頑張ろうね!!」
私は大きな声でそう言うと、アテナは足を止めたがすぐに歩きなおした。
私は森へ歩いていったアテナが見えなくなってしまっても、ずっと森の奥を見た。
「ねえ」
左腕を指で突かれ私はそちらを見る。
「え? あ、なに?」
私は我に帰ると返事をした。
「そろそろ暗くなると思うから戻った方がいいんじゃない?」
美香が空を指差しながら言うと私は空を見上げた。
「ホントだ、帰らなきゃ……」
私はそう言い美香の方に向き直すと美香は微笑んだ。
「ありがとう、いろいろ聞けたりして楽しかったよ」
美香がそういうと私もお礼を言い、その場を後にした。
ーーーーー
「え? あれで……よかったのかって?」
アテナがゴーレムの方を見ながら言うとゴーレムは頷いた。
「私は……別によかったと……思っているわ」
アテナは俯きながら若干微笑む。
「それより……貴方の方こそ……よかったの?」
アテナはゴーレムに問いかけるように言う。
「そう、よく……わからないわね」
ーーーーー
「ただいまー!」
私はアストさんの家に入るとミユが奥から歩いてくる音が聞こえ姿がすぐに見えた。
「おかえり、遅かったね」
「うん、ちょっと話し込んじゃって」
ミユが歩き出すと私はついていった。
「誰と話してたの」
「アテナって言う人、過去に出会ってる人なんだけど私は記憶なくなってるから誰だ? って思っちゃったよ」
私は笑いながら言うとミユは、ふーん。とだけ言いフスマを開けた。
「あ、戻ってきたんだね」
アストさんが鍋の前に座って待っていたようだ。 その鍋からは美味しそうないい匂いがする。
「遅くなってごめんなさい」
アストさんに謝ると三人で鍋を囲むように座る。
「君達は明日ガルスに行くんだよね?」
アストさんは皿に鍋の中を注ぐと皿を渡してくれた。
「あ、ありがとうございます」
私はそう言いながら皿を受け取るとミユも同じように受け取った。
「いただきます」
みんな一斉に言い、鍋を口に入れる。
「ガルスへ向かうなら、大分危険な場所だから気を付けてね」
アストさんが言うと私は頷きながらスプーンを使い汁を飲むと美味しいと感じた。
いままでは、この世界で何かを食べても美味しいとは感じなかった。
むしろ吐く程だったのに。 どうして突然美味しく感じられるようになったのだろうか。
おにぎりの時も普通に食べていたし、体がこの世界に馴染んだのかと私は思う事にした。
鍋の中には魚や芋、大根にニンジンが入っており私の世界の食べ物とほぼ同じであった。
「あ、ねぇ、そういえばガルスってどう言う所なの?」
これから行く場所なんだ、事前に知っておいた方がいいかな。
「ガルスは昔は自然にも恵まれて良い場所だったけど、突然謎の爆発が起きてガルスを含む周辺の自然が全て消えたの、そのせいで今は砂漠と化してる」
「爆発ってなんで?」
私は自分が苦手なニンジンをコロコロさせながら聞いた。
「それはわからない、ていうか謎のって言ったから察してよ」
「そ、そうだよね……」
ミユはこちらを密かに睨み、私は目を逸らした。
「ガルスは今、奴隷とか盗賊とか居て取り敢えず目に見えて治安が悪いの」
ミユは空っぽになった皿に再び汁を注いだ。
「昔は居なかったの?」
「昔はその必要がなかったからね」
私も皿に汁を注いだ。
「爆発の後、突然ガルスの王は自分の民を奴隷として扱うようになったの」
「なんでそんな人が王なんか……」
私はそもそも何故そんな人を王なんかにしたのか、その理由を知りたかった。
「元々は民に愛される良い王だったんだけど、爆発の後は人が変わったかのように民を物として見るようになったの、民の中には王を殺して入れ替わったんだって言ってる人もいる」
私は再び汁を注ぐと皿の中はニンジンだらけになっているのに気がついた。
「入れ替わったんだって王を見た人はいないの?」
私はニンジンを避けながら汁を飲む。
「今まで誰が王なのかはずっと顔を見た人はいないの」
「そんな王もあるんだ」
私は呟くとミユはこちらを見た。 こちら、私と言うより私の皿の方だ。
「時音、好き嫌いはよくないよ」
ミユは皿に入った大量のニンジンを見て言う。
まぁ、そりゃそう言われるよね……。
「だ、だってニンジン不味いし」
ニンジンをコロコロ転がしながら言うとミユがこちらに手を伸ばした。
「それ食べるから頂戴」
私はミユに皿を渡した。
「随分残したね」
ミユはそう呟くと口に入れていき皿の中を空っぽにした。
「流石にこれだけのニンジンを一気に食べるのは……」
ミユは口を押さえながら言う。
「じゃあ、片付けはしておくから2人とも風呂に行くといいよ」
アストさんがそういうと私達は頷いた。
久しぶりの風呂の気がする。
異世界のお風呂はどんな風なんだろうか。
「どっちから入る?」
ミユに聞くと口に含んでいたニンジンを飲み込んでいるのがわかり、少し待つ事にした。
「ふぅ……どっちでもいいよ」
「あ、ここの風呂場は少し大きいから2人でも入れるよ?」
そう言われると私はミユの方を見た。
「一緒に入ろ?」
「別にいいよ」
私達は、「ごちそうさま」と同時にいい立ち上がる。
「あ、着替えは後で持っていくね」
アストさんが立ち上がりながら言うと私達は返事をし、風呂場の方へ歩いて行った。
ガラガラっとスライド式の扉を開けると温泉のような更衣室があり、私とミユは服を脱ぎ裸になった。
「っ!?」
私はミユの胸を見た。
「なに?」
ミユはこちらを見て言うが私は目を逸らした。
「い、いや……なんでも」
私は聞こえたかわからないが小さい声で言った。 ミユの胸が意外にあったことに驚き悔しかった。
着痩せするタイプってやつなのだろうか……。
風呂の扉を開けると大体一般家庭の風呂場3個分の大きさの風呂があった。
「広い……」
もはや温泉に来てるみたいだった。
「入り口で止まらないでよ」
「わわっ」
ミユに軽く押された。 取り敢えずシャワーで軽く体を流そうと歩くとシャワーが二つあった。
「もう温泉だ」
私はそう呟くとシャワーの前にいき椅子に座り軽く体を流し、シャワーを止め風呂の中に足からゆっくりと入ると体が一気にあったまり気持ちが良かった。
「はぁ〜……」
「それみんな言うけどなんで?」
ミユがそう言いながら風呂に入ろうとし右足を上げた時、地に付いている方の足を滑らせてしまった。
「わっぷ!」
「ちょっ!」
ミユは顔から湯船に入り、その衝撃で飛んだ水は私の方に飛んできてそれをモロに被った。 私は顔の水を取るとミユの方を見た。
「大丈夫?」
ミユは湯船に浸かりながら左足を押さえて痛がっている。
「ダイジョウブ」
ミユの引きつった顔に大丈夫じゃないのがよくわかる。
「その感じだと左足を打った感じかなぁ」
私は呑気に言うとミユが頷き、落ち着くのを待つ事にした。
「はぁ……痛かった」
私はそう呟いてるミユに近づいた。
「ねぇ、なんかゆっくりしたのって久しぶりな感じがしない?」
「そう?」
「そうだよ、なんか色々あってゆっくりしてなかったじゃん」
ミユは考えていたみたいだが、わからなかったのか首を傾げた。
「あ、それと気になった事が」
「胸ってどうやって大きくするの?」
私がミユの胸を見て言うとミユは胸を隠した。
「そんな事しらない、それに私そんな大きくないし」
「普通にあると思う」
「しらないよ、考えたこともない」
ミユは少しうっとしそうに言った。
でも私は知りたい!
「私も大きくしたい!」
そう言いながらミユに抱きつき脇をくすぐった。
「ちょや、やめ……あははっ!」
「やめないよ! くらえ!」
私とミユは足をジタバタさせはしゃいでいると、私はスネを角にぶつけてしまった。
「あ゛っ!!」
私は右足のスネを押さえて水の中にうずくまった。
「もう、暴れるから」
ミユは私を水から持ち上げた。
「めちゃ痛い」
「そりゃそうでしょ」
そう言っていると痛みは段々と無くなってきた。
「そろそろ痛くないでしょ?」
「え?なんで??」
その瞬間こんどは逆にミユが私の脇をくすぐってきた。
「えちょまって! あはははっ!」
「さっきの仕返し」
私はやられるがままではいられないと思いミユの脇に手を当てくすぐった。
「ま、まけな……あははっ!」
ミユをくすぐるがミユの手は止まらなかった。
私は息に限界がきた。
「ま、まって! おねがっ! あはははっ!」
「やめないっていった」
ミユは手を止めなかった。
「はっはっ! ま……ねが」
頑張って息をしようとしてもできなく言葉も出なくなってきた。
私の様子にミユは手を離してくれたが、もう少し早く気づいてほしかった。
「やり過ぎた?」
ミユはニヤニヤしながら言った。
「はあぁぁー!! はぁはぁ……」
私は深呼吸をして何とか落ち着かせた。
「や、やり過ぎだよぉ!!」
「あはは!」
ーーーーー
「いい湯だった」
ミユがそう言い更衣室に行くと浴衣が置いてあるのに気がつく。
「いい湯じゃないよ、全く」
私も浴衣に気づくとミユと共に浴衣に着替えた。
「この世界にも浴衣あるんだね」
「うん」
私達は更衣室を出てご飯を食べた部屋に戻ると、そこにはアストさんが私達が来るのを待っていた。
「あ、おかえり」
「お風呂ありがとうございました」
私はアストさんにお礼を言うとミユは頭を軽く下げていた。
「隣の部屋に布団とか準備してあるからね」
「いろいろとありがとうございます」
「さて、俺も風呂に入るよ」
そう言いアストさんは風呂場に行こうとしていた。
「あ、あの……おやすみなさい」
私は誰かに『おやすみ』と言う事は余りないから照れながら言ってしまった。
「うん、おやすみ」
そう言いアストさんは風呂場に行ってしまった。
「寝よ」
「うん」
ミユが私の背中を突いて言うと、私達は布団の中に入り目を閉じた。
「ねぇ」
私は目を閉じながらミユを呼ぶと隣でゴソっと音がした。 おそらく一度こちらを見た後、元の体制に戻ったのだろう。
「なに?」
「もし私が能力でミユの事忘れて、ミユは私の事を覚えてたらどう思う?」
私はアテナとの事が気になって聞いた。
「思い出させるだけだよ」
「ミユ」
私はその言葉が嬉しかった。
目を開け、ミユの方を見るが私とは反対の方向を見ており顔が見えなかった。
「も、もう寝て」
ミユは恥ずかしくなったのか強い口調で言った。
「うん、おやすみ」
「おやすみ」
ーーーーー
私は目が覚めてしまい暗い部屋の中ボーっとしていた。
「目が覚めちゃった」
私は呟き隣を見るとミユは寝ていた。
「可愛い寝顔だな」
私はそういいミユの寝顔を見て和んでいた。
普段とは違う顔が見られて満足だ。
そういえば、あの湖に美香はいるかな?
私は暇なので湖に行くことにし、家を出ると冷たい風が肌に当たり少し寒いと感じた。
「ちょっと暗いな」
街灯など当然ない、あるのは月の光のみだ。 だけどその月の光さえも木によって大半は遮られてより暗くなっている。
少し歩き湖までやって来ると昼間に会った時とは違いフードを付けていなく、美香は岩の横で寝転がって寝ていた。
私は近付こうと一歩前に足を出した時、丁度足の下に木の枝がありそれを踏みパキっと音がなる。 その瞬間、目に見えないスピードで何かが目の前で止まり強い風が吹いた。
「あ……」
私は言葉を失った。
枝の音に反応し私を攻撃しようと美香が目の前まで移動し拳を私の顔の前で止めていた。 その美香の目を見て場合によっては殺されていたと確信し、恐怖を感じた。
「あ、ご……めん」
美香は顔を真っ青にして一歩後ろに下がった。
「わ、私こそ……起こしてごめん」
美香の殺意が無くなっているが、また何かしたら殺されるんじゃないかと思い、行動には注意しないといけないかもしれない。
「あ、えっとね……今のは、その」
美香はアタフタしていた。
「あ、えと……わかってるから大丈夫」
私はそう言い戻ろうとしたが美香に肩を掴まれ、恐怖で体が少し跳ねた、そのせいか美香は手をすぐに離した。
「私は……その、人に命を狙われてる身だから…………その、そんな感じだから」
美香が必死に言っているのがわかり、私は一度深呼吸した。
「わかった」
私はそう言い美香に近づいた。
「その、本当にごめんね……ほぼ寝ぼけてたし、ごめんなさい」
「も、もういいよ」
私は美香にそう言ったがアレで寝ぼけてたのか。
「それでなんでここに?」
美香はキョロキョロしながら言っており、周りを警戒していた。
「明日朝になったら村出るから挨拶しとこうかと」
私がそう言うと美香は私の手を引いて岩の所に連れて行った。
「明日行っちゃうんだ、なんか寂しい」
「まぁ、すぐ会えると思うけどね」
すぐに会える、そんな気がする……。
これは失った記憶から思うことなのだろうか。
「そういえば、ちょっと気になってたんだけどさ」
「なに?」
私は美香の頭の横辺りを見て言った。
「その浮かんでる髪の毛? って何?」
美香の髪が浮かんでパタパタしていてすごく気になっていたので聞いてみた。
「あ、あーー……」
美香は目を逸らし髪をフードに隠した。
「…………」
私は無言で美香を見つめた。
「その……言わないとダメ?」
私は頷いた。
美香はフードを脱ぎ髪を出した。
「これ、髪じゃなくて私の羽なんだ」
美香の羽がパタパタと動いていた。
「羽って事は、人間じゃないの?」
私は羽を触りながら言う。
羽はフワフワで凄く気持ちが良い。
「ふぅ〜……て、天使だよ」
美香は体を震わせながら言った。
「天使!?」
私は驚いたが手を離す事はなかった。
「声が大きいよ!」
美香はムスっとした顔で言い、私自身思いの外大きい声が出てしまった事に驚いた。
「ごめん」
「それで、なんで隠してるの?」
「うぐ、そ……それは言えない」
美香は私の手を掴んで言った。
「あと、手……話して」
私は美香の言う通り手を離した。
「はぁ……天使の羽は触られると凄くくすぐったいからやめてね」
美香は羽を触りながら言った。
「ごめん、反応が可愛かったから、つい」
私は笑顔で言うと美香は再びムスっとした。
「もういいよ、早く寝て!朝早いんでしょ!それと天使は秘密が多いの!」
そう言い美香は私を村の方へと背中を押して誘導した。
「はーい、じゃあ、おやすみ」
「私以外の天使は危ないからあんまり近づかないようにね、おやすみー」
私は手を振りながら笑顔で言うと、美香も手を振り笑顔で言った。
私はアストさんの家に戻り布団に入り眠った。
ーーーーー
おまけ:今日のガイア
「よく寝ましたね、一体何年寝たのですかね」
ガイアは周り一面真っ白な世界で目を覚ました。
「て、誰かここに来てますね」
自分の遺跡に侵入してる人に気づくと、その様子を覗くことにした。
頭に映像が流れる感覚でガイアは侵入者の状況を見た。
「女の子が二人ですか」
そう呟いた瞬間「あっ」と声が漏れた。
ガイアは自分の遺跡に興味本位で仕掛けておいた罠を外すのを忘れていた。
「え、どうしましょう」
ガイアは戸惑い、ただ見ることしかできなかった。
「急いで、潰されてしまいますよ!!」
ガイアは罠から逃げている人を応援した。
「って、溺れてないですか!?」
冷や汗をかきながら見ているとすぐそこまで来ていることがわかった。
「あ、よかった……無事につい……て?」
二人の少女がスケルトンと戦っているのに気がつくと再び慌てだす。
「私はあんな罠仕掛けた覚えありませんよ!?」
ガイアは自分が眠ってる間にモンスターの住処にされていることに驚きを隠せないでいた。
「頑張ってください!」
そう応援していると少女の一人がスケルトンに胸を貫かれてしまった。
「あ、ととと、呼びましょう!」
そう言いガイアは力を使い少女の魂だけを自分の世界に向かい入れた。
「取り敢えず契約すれば傷は癒えますので」
そう呟き、その瞬間少女が現れた。
「んんぅ〜ん……」
「ここ……は?」
少女は目を覚ましてキョロキョロしていた。
「はじめまして、あなたの事をある程度見てました」
少女は私の声を聴くと驚いていた。
「えと、あの私……どう……なったんですか?」
当然ながら少女は今の状況が掴めていなかった。
ガイアは軽く説明を始め、少女へ状況を伝えた。
「貴方は剣を手に入れるためにここへ来て、そしてやられてしまいました」
(私の不衛生のせいで現れた魔物に!)
その言葉に少女戸惑った。
「あの、私は死んじゃったんですか?」
「貴方はまだ死んではいません、ですがかなり危険な状態です」
少女は死んでない事にホッとして肩の力が抜けたようだった。
「私が貴方に取り付く事で傷は塞がり生き延びられる様になっています」
「名前をまだ言ってませんでしたね、私の名前はガイアといいます」
「そして、貴方が探し求めていた……伝説の!剣です」
(そう、若干聞こえてましたよ! 伝説の剣と!! 嬉しいです)
伝説の所を激しく主張した。
「あの……ガイアさんの力を貸してほしいです!」
少女がそう言うと返事をすぐに返した。
「いいですよ、それに、私が居なくなったら今の貴方は死んでしまいますので」
(わたしのせいで!!)
少女は一安心した。
「では、行きましょう」
ガイアがそう言うと少女の体が光り始めていた。
「ど、どこにですか?」
「それは、貴方が居た世界ですよ、仲間が危ないんでしょ、私の力を使って助けてあげなさい」
落ち着いた声でガイアがそう言うと少女は強く頷いた。
その瞬間、周りは真っ白になり何もみえなくなった。
(いやー! これ思いの外まぶしぃー!!)
ーーーーー
「ん……」
少女は目を開き周りを見渡すともう一人の少女が壁に背中をつけて三体のスケルトンに囲まれているのに気が付いた。
少女は助けに行こうとしたが武器が無いのに気がついた。
「傷は私が塞ぎました」
「あ、えと、武器が……」
「私は他の武器と違って実体を持ちません、私を宿している人の思考によって武器が変わりますから」
少女はその説明に混乱した。
「えと、結局どうすれば?」
「貴方が使いたいと思う武器を想像してください、それを手に出現させるイメージです」
少女は言われたままの事をした。
すると手から剣が現れた、と思ったが光が剣の形をしている物ができた。
「これでいいの?」
少女は成功しているのか分からなかった為ガイアに聞いた。
「はい、それで大丈夫です」
(1発でできるんですね……)
少女がもう一人の少女の方を再び見ると水色の何かバリアのような物を張っているのに気がついた。
「ミユ伏せて!!」
少女は剣を伸ばすイメージをもち、剣を伸ばした。
少女の声でもう一人の少女は伏せていた。
「いっけえぇぇーー!!」
少女は伸びた剣を豪快に振ると、その剣は壁に埋まりながらも止まる事なく進みバリアとスケルトン三体の体を斬った。
スケルトンは地面に崩れ落ちると集まっていた骨がバラバラに転がり落ちた。
少女は剣を消すため手から消えるイメージを持つと剣は粒子となり消えていった。
「はぁ……はぁ……」
(流石ですね……)
「時音、大丈夫?」
少女は心配するもう一人の少女に微笑みを浮かべて返事を返した。
「えへへ、大丈夫だよ」
少女は足に力がうまく入らなくなり、地面に座り込んでしまった。
「時音!?」
もう一人の少女は突然座り込んだ少女に驚いたようだ。
「ちょっと疲れただけ」
(二人はかなり仲がいいようですね)
そう言うと少女の体から光が出てきた。
「力を使いすぎただけですね、別に危険ではありませんので安心してください」
「な、これなに?」
(ま、まー、不審がりますよね)
「あ、えーとね、この光が伝説の剣でガイアって言うんだって」
少女がそう言うともう一人の少女はすぐに納得した。
「ふぅ……」
少女は息が整うと立ち上がった。
「ではついてきてください」
ガイアはフワフワと奥へ進んで行った。
「あ、え?待って、剣拾ってくる」
少女は駆け足で剣を取りガイアの方へ向かった。
ガイアは出口に繋がる壁に案内した。
「なにもないよ?」
少女がそう言うとガイアは少女の中に戻ってきた。
(ふぅ、なんだか面白そうですね)
その後、道が現れ少女達は遺跡から抜け出した。
どうでしたか!?
取り敢えず文字数が多いのでこれからはもっと分けて行こうと思いました。
第6話を綺麗に描き直しました!
少しは見やすくなっていると思います!!
はい!今日の顔文字ドドドン!
\\\\٩( 'ω' )و ////