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その世界は本物ですか?  作者: おでん
第一章:『記憶と記録』
6/23

第5話:変わる日々

ごゆっくりと楽しんで読んでいただけると嬉しぃです!!


5話綺麗にしました。


どうぞよろしくお願いします!


馬車に乗りながら話していると城下町前の門についた。


「ここが入り口だよ」

ミレイユがそう言うと馬車は門をくぐり城下町へと入って行く。


中を進むと人が沢山いた。


「凄い沢山、これが城下町」

私は感心していると段々と人気のない場所に進んで行っていることに気がついた。


進んで行くと路地裏で止まった。

その路地裏には座ってる人が数人いて、少し薄暗かった。

ミレイユは袋を持ち馬車から降りると、私もそれに続いて降りた。


「ここで降りるの?」

私はまさか路地裏で止まるとは思わず聞くとミレイユはすぐ近くにある階段の前に行った。


「この近くに依頼主がいるからね、それに、路地裏じゃなきゃ止められないしね」

ミレイユがそう言うと私は納得した。


「それじゃあすぐそこだから、少しだけ待ってて」

ミレイユがそう言い階段を上がって行った。


「…………」

私はする事もなく人が沢山いる方を見た。


「少しだけ覗く程度なら」

私は城下町と言うのを見て見たく見に行く事にした。そこには沢山の店があり賑わっていた。


「これが城下町、凄い」

私は初めて見た城下町に感動をしていつの間にか思っていたより前に出てしまっていた。

それに気づき戻ろうとした時、人混みに巻き込まれ流されてしまった。


「わわ、ちょ、も、戻れない……」

手を前に出して戻ろうとしたが力が足りず流され続けた。

その時、誰かが手を掴み人混みの隙間を通って元の路地裏に戻れた。


「君、大丈夫?」

そう男性の声が聞こえると私は顔を上げた。


「あ、えっと、はい……ありがとうございます」

そこには赤髪で私より年上の腰に剣を持っている白が多い制服のような物を来た人がいた。


「ここは人が多いからね、慣れてないと危ないよ」

男性がそう言うとポケットからアメを出した。

私はそのアメを両手で受け取った。


「あの、私達……昔どこかで会いましたか?」

私は昔、彼と知り合ってた気がした。


「うーん、俺は覚えてないな……あ、俺の名前は小倉 海斗だけど、聞き覚えは? あと、海斗でいいよ」

私はその名前を聞き何も思い出せなかった。


「わからないです」

私はそう答えると海斗さんは私の頭に触れた。


「ん? 海斗さん?」

私がそう言うと海斗さんは慌てて手を離した。


「あ、すすまない」

「い、いえ」

2人がそう言うと人混みの中からミレイユが出てきた。


「ちょっと、どこ行ってたの!」

ミレイユは怒り気味に言うと私はすぐに誤った。


「ご、ごめん!行列に押されて戻れなくなってる所を海斗さんに助けてもらってたの」

そう言い私は海斗さんを紹介した。


「はじめまして、小倉 海斗です」

「はじめまして、ミレイユです」

そう2人が言い終わると海斗さんはこちらを見た。


「友達が見つかってよかった、そろそろ俺は行くよ」

そう言うと海斗さんは人混みの中に入って行った。


「行こう」

ミレイユはそう言いながら馬車に乗り込んだ。私も続いて馬車に乗り込もうとした瞬間、私のポケットからロケットが落ちた。


「何これ……」

私はそう呟きながらソレに触れると頭に記憶が流れ込んで来た。

私はその途端、倒れ込み意識が朦朧とした。

そして私の意識が途絶える、その時までミレイユが私の名前を呼んでいるのが聞こえていた。



時音はその場に倒れるとピクリとも動かなかった。

ミレイユは驚き、時音を荷台に乗せると街を出て自分の村を目的地に馬を走らせた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「時音……ごめん……ごめん」

「私がもっと……しっかりしていれば……こんな、こんなことに」


ーーーーー


「これ、仕事頑張ったから」

「こんなに貰えないよ!?」

「いいよ別に」


「どうこの剣!これで魔物もイチコロだ!」

「もう、危ないから遠くに行かないでよ」


ーーーーー


「痛いよぉ……ミユ……」


「時音!?そんな……わ、私は」

「死なないでよぉおぉぉー!!」


ーーーーー


「ねぇパパ」

「ーーーーーーー?」

「お兄ちゃんは?」

「ーーーー、ーーーーーーーー」


ーーーーー


「殺してやる、ディザイア!!」

「時音!待って!時音!!」


ーーーーー


「ねぇ、ミユ、これからどうするの?」

「仇を取るよ」

「そう……だよね」


ーーーーー


「この力は貴方、時音に託すよ」

「なんで、私に……」

「時音なら、もしかしたらって……ね」


ーーーーー


「嫌だよぉ……ミユ、返事をしてよぉ!!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ミユ!!」

私は大きな声でそう言いながら起き上がると頭にガンっ! と音と衝撃が走った。


「うぃっったあぁぁ〜〜!?」

私は涙目になり周りを見ると私は布団に寝込んでいたらしく、私の横にミユが頭を抱えていた。


「なん……で急に起き上がるの!」

ミユは怒り気味に涙目でこちらを睨んだ。


「ご、ごめん……」

私はそう言うともう一度周りを見渡した。


「あ、ここは、おばあちゃんの所だよ」

ミユがそう言うと私は目線をミユの方に向き直した。


「そうだ、ミユ、私……全部じゃないけど、思い出したの!」

そう私が言うとミユは首を傾げた。


「ミユ? 思い出した? なんの話?」

私はまだ、この時にはミユと呼んでいない事を思い出した。


「あー、えっとね、話せば長くなるんだけどぉ〜〜……聞いてくれる?」

私がそう言うとミユは首を傾げはしたが頷いてくれた。


「説明下手だけど、頑張って覚えて!」

私はそう言い記憶を思い出しながら話し始めた。


「まず、私とミユは……あ、ミユって言うのはミレイユのあだ名ね。 それで私とミユは、あの道で私が寝ている所にミユが来て私をここまで案内してくれたんだけど、実はもうこれ、何百回とやってるんだよ」

「えーと、んんーー、えぇ〜と……」

私は話し方が分からずアタフタしてしまった。


「要点だけ教えて……」

ため息をつきながらミユはそう言った。


「ヨウテン?」

私はその言葉の意味が理解出来なかった。


「大事な所!」

ミユは少し引いた目で私を見ながら言った。


「あぁ〜」

私は目をそらして言った後、一呼吸置いて話に戻った。


「えっと、まず一つなんだけど、私達はこの世界を同じ時間繰り返してたの。 二つ目が元々は私が持ってる能力はミユの能力だったって事」

私がそう言うとミユは少し驚いた顔をした。


「時音の能力が、私の?」

私はミユの言葉に頷き話を戻した。


「私は何度か死んでミユが時間を戻してたみたいだけど、その能力を私に渡した方が正解ってミユが言って能力を私が引き継いだの」

ミユは私の話を聞いていると、ちょっと待ってと話を止めた。


「さらりと流したけど時音の能力なんて私知らないよ」

ミユがそういうと私は、はっと気がついた。

まだこの時には能力の話をしていなかった事を。


「えーとね、私の能力は時間を操る能力なんだ」

私は何故か笑顔で言っていた気がした。


「で、その代償は?」

「記憶だよ、使った分の記憶が消えるの」

そう私が言うとミユは頷いた。


「それで、過去に戻るために使って記憶を無くしては同じ事を繰り返してたって事?」

ミユの質問に私は、あははと笑った。


「でもその能力を使ったら記憶がなくなるんでしょ?なのになんで今の時音は記憶があるの? それに私が貴方に能力を渡したって事は私も記憶を取り戻してたって事だよね?」

ミユが悩んだ顔でそう言うと私はポケットに手を突っ込んだ。


「多分、今の私みたいに思い出したんじゃないかな?」

私はそう言いながらポケットからロケットを出した。


「多分これが原因で記憶が戻ったのだと」

ミユがそれを見ると驚いて私に近づいた。


「こ、これどこで!?」

突然のミユの声に私は驚いて心臓がバクバクになった。


「え、あ、へぇ?」

「えぇっと、過去?未来?のミユに貰ったんだけど……」

私は過去か未来か分からなかったがとりあえず、話した。


「それが私の何なのかも、思い出してるんだよね?」

ミユがそう言うと私は頷いた。


「形見……だよね?」

ミユは頷いた。


「えっと、返そうか?」

私はそう言うとミユは首を横に振った。


「私から貰ったならそのまま持ってて」

私はミユにそう言われるとポケットにしまった。


「あ、それで、私達はあの魔王の城に行ってデスペアって奴とディザイアって奴を倒そうと城によく向かってたよ」

私はそう言うとミユは立ち上がった。


「どうせ、返り討ちにあって何度も繰り返してるんでしょ?」

ミユがそう言うと私は、あはは……。と笑いながら立ち上がり背伸びをした。


「なんかもっと無いのかなぁ〜……。 伝説の武器とか」

私がションボリしながら言うとミユは突然立ち止まった。


「伝説の武器っぽいの……あるよ?」

ミユがサラリと言うと私はキョトンとした。


「へ? あるの??」

ミユは私の言葉に頷いた。


「それがあれば! 今どこにあるの!?」

私はミユの肩を思いっきり掴むとミユは肩をビクつかせた。


「え、えっと……わかんない……」

その言葉に私は愕然とした。


「そ、そんな顔しないで、まだ取るのが不可能なんて言ってないでしょ」

ミユがそう言うと私は首を傾げた。


「場所を知ってる人がいるの、アーガスって人だけど、会った事は?」

ミユがそう言うと私は幻紫龍に襲われた時に手当てしてくれたドワーフの事を思い出した。


「知ってる!」

私がそう言うとミユは頷いた。


「じゃあ、早速行こう」

ミユがそう言いながら外へ歩き出すと私は山から帰ったらここディザイアがいた事を思い出し、私はミユの肩を掴んだ。


「ここに敵が来るの、だからみんな避難させて!」

私の言葉にミユはすぐに頷いた。


「ミユのお婆ちゃんは?」

私は家の中にいない事を確認し、ミユに言うとミユは外にいるのでは? と言い街の人に避難するように言いに行った。


私も家の外に出て家の周りを探すと家の裏に、お婆ちゃんが杖を持って準備していた。


「話は聞いたよ、けど、私はミユや時音と一緒に行くよ」

お婆ちゃんがそう言うと私は頷き馬車の方へ歩いて行った。


「時音、避難させたよ」

ミユは馬車に乗りながら言った。


「よかった、それじゃああの里に行こう」

私はそう言うとミユとお婆ちゃんは頷いた。

私達は馬車で山の里へ向かった。


ーーーーーーーーー


「そろそろ着くよ」

そうミユが言うと私は空を見上げた。


「ドラゴンが来てない……」

私はそう呟くと里の方から爆発音が聞こえた。


「びっくり!?」

私は変な声を上げてそれに驚いた。


「里の方から、いそぐよ!」

ミユがそう言うと馬車を全力で走らせた。

山を登り、里が見渡せる場所まで到着すると馬車から降りて里の様子を私とミユは見た。


悲鳴が聞こえその光景に私は目を疑った。

里の中心にドラゴンがおり、そのドラゴンは体から生えた液体の様な触手で里の人達を取り込んでいっていた。


触手は生えているが、あの時のドラゴンには間違いなかった、幻を見せると言う煙は今は出ていない様だった。


「どうしよう」

わたしがそう言うとミユは何か呪文を唱え始めた。


「何をするつもりなの?」


「多分あのドラゴン、普通に攻撃したら全く効かないと思う、だから大きいのをってね」

そうミユは言っているが私は少し嫌な予感がした。


「これなら……」

そう呟くとミユは右手に持つ杖を前へ突き出し、杖の先端が青白く光り始めた。


「disappearance(ディスアピアランス)

!!」

そう叫んだ瞬間、大きなドラゴンを貫ける程の大きさの槍がドラゴンを目掛け放たれた。


「こんな攻撃したらミユが……」

ミユが放った一撃はドラゴンの体を貫き、ドラゴンが叫び苦しむと同時に消滅する様に弾け消えた。


私はドラゴンが消えるのを見終えると隣で何かが光ってるのに気がついた。

私は急いで振り向くとミユの体から光り消えるように脚から段々と薄くなっていっていた。


「全く、付いてきてよかったよ」

ミユのおばあちゃんがそう言いミユに触れるとミユの光りはおさまり、代わりにミユのおばあちゃんが光り始めた。


「おばあちゃん?」

ミユはおばあちゃんの手に触れた。


「私はもういなくなるけど、頑張って生きていくんだよ」

ミユのおばあちゃんはミユの手を強く握りしめた。


「時音や、ミレイユがこんな変な事しないようにお願いね」

私はおばあちゃんの言葉に頷いた。


「ねぇ、どういう事……この技を教えたのは、おばあちゃんだよ……こんな技なんで教えるの?」

ミユは震えながら言った。


「確かに教えたのは私だ、この技を使えばお前はもう一人で大丈夫という証として教えたんだよ」

おばあちゃんはミユの頭を撫でた。


「意味わかんないよ!」

ミユは涙を流しながら言った。


「遅かれ早かれ私は消えるんだよ、だから今回はお前の技を見た後に消えることができて私は良かったと思ってるよ」

私はおばあちゃんが言っている事がよく分からなかった。


「時音、ミレイユ、この世界を元に戻してやっておくれ」

私はその言葉に驚いた。


「それはどういう意味ですか?」

私が聞くとおばあちゃんは首を横に振った。


「それは君達が自分で知る必要がある。 ミレイユ、これからも元気でね」

おばあちゃんがそう言うとミユは、おばあちゃんに思いっきり抱きついた。


「嫌だ、消えないで!!」

「二人とも、頑張るんだよ」

その言葉を最後におばあちゃんは光の粒子となって消えていった。

ミユは座り込み泣き叫んだ。


「ミユ……」

一体、元に戻すとはどういう事なのか。

この世界に一体何が起きたのか……。

私達は数分の間その場で立ち尽くした。


ーーーーー


ミユが泣き止むと静かに立ち上がった。


「ごめんね、時音……」

ミユは涙をこらえて微笑んだ。


「もういいの?」

私はそう言うとミユは頷いた。

私達はこの見渡せる場所で大きめな石を立てておばあちゃんの墓を建てた。

その石の前にミユが持っていた杖を刺した。


「いこう」

ミユがそう言うと私は頷き、馬車に乗ると、ミユは馬車を動かし里へ降りていった。

里へ降りるとアーガスさんがおり、里の人を仕切っていた。


アーガスさんはこちらに気づいたらしく手を振っていた。

アーガスさんの前につくと、私は馬車を降り、ミユは荷台に移動した。


ミユは荷台から袋を取り出しアーガスさんに手渡した。


「ありがとな、ところでアノおかしなドラゴンを消したのはお前か?」

とアーガスはミユに言うと、私たちはついさっきの事をアーガスさんに話した。


ーーーーー


「そうか、あいつが……。 ところでそちらは?」

アーガスさんは私の方を見て言った。

そういえば、まだ私はここに来ていない事になっていたのを思い出した。


「私は時音といいます」

私は自分の名前を言うと後ろから誰か走ってきてる音が聞こえた。


「時音お姉ちゃん!」

私はいきなり後ろから抱きつかれ驚いた。


「ふぇあ!?」

変な声が出て少し恥ずかしかった。


「あ、エリンちゃん」

私は後ろを振り向いた。


「時音、エリンと会った事あるの?」

私はミユに言われて気がついた。

時が戻ってるはずだから覚えてないはずだと。


「エリンちゃん、私の事を覚えてるの?」

私がそう言うとエリンちゃんは首を傾げた。


「あのねエリンちゃん、私の能力は時間を操る能力なんだけど、私は一度時間を巻き戻したの、だからエリンちゃんの記憶が消えちゃってるはずなんだけど……」

私はエリンちゃんに聞くと考え始めた。


「エリンの能力で効かなかったのかも」

エリンちゃんがそう言うと私は首を傾げた。


「エリンちゃんの能力って壁を作る能力的なのだったっけ?」

エリンはその答えに首を横に振った。


「エリンの能力は『ぜったいぼうへき』? って言うみたい」

「絶対防壁、って事は何でも防げて私の時間の能力も防いだってこと?」

私とミユは驚いた。 そんな事ができるという事は、エリンちゃんは一体何回繰り返しているのだろう。 いつから繰り返しているのだろう。


「お取り込み中すまないが俺は里の事で手がいっぱいなんだ、もう用がないなら俺はいくがいいか?」

アーガスさんがそう言うと私は慌ててアーガスさんを止めた。


「あ、待ってください!」

「ん? 何か聞きたいことがあるのか?」

「あの伝説の剣の話知ってますか?」

私は剣の話をした。


「あぁ、剣か、それならまだ1つ取られてない剣があるな、ここから東にずっと行けばその遺跡があるぜ」


「ありがとうございます!」

私はそう言うとミユの方を見た。


「行こう」

ミユがそう言うと私は頷いた。


「もう行っちゃうの?」

エリンちゃんは寂しそうな顔をしていた。


「ごめんね、いろいろ終わったら絶対会いに行くから」

私がそう言うとエリンちゃんは頷いた。

私とミユは馬車に乗り込むとエリンちゃんが何か袋を横で浮かせて持ってきた。


「あれ、なんか浮いてない?」

私は驚きミユに言うとミユ指をさした。


「あれ能力で持ち上げてるんだよ、なんか薄っすら見えるし」

言われてみれば何か薄っすらとしたものが見えた。


「お姉ちゃん達にこれをって」

ミユはそれを触った。


「あ、これって確かかなり重くてミユが苦戦してた気が……」

私はそう呟いているとミユが体全体を使って持とうとしていた。

そしてエリンちゃんの能力から荷物が離れるとミユはバランスを崩した。


「あぶない!」

私はとっさに能力を発動させた。


「エリンちゃんに馬車まで運んで貰おうかな……」

私がそう言ってエリンちゃんの方を見るとエリンちゃんだけ時が止まってなかった。


「本当に効かないんだね」

私は驚きながらエリンちゃんに言った。


「これ時音お姉ちゃんがやってたんだね」

エリンちゃんがそう言うと私は返事をしながらとりあえず、エリンちゃんの能力の上に荷物を乗せようとした。


「よいっしょっと!」

その荷物はかなり重かった。


「ふぅ……はぁ〜」

私は息を整えた。


「あの、エリンちゃん……これ、馬車の荷台までお願いできる?」

エリンちゃんは頷いてくれた。


「ふぅ、さてと時間を動かしますか……っと、忘れてた」

エリンちゃんに私が記憶をなくす事を言っておこうと思った。


「私はこの能力を解除すると止めていた時間の記憶がなくなっちゃうから、そこのとこお願いします」

エリンちゃんは首を傾げながらも頷いた。

私はミユが転ばないように後ろで支えてあげた。


「それじゃあ、解除!」

その時、ふと思った……。

重りが突然無くなった手は一体どう動くのだろう。


「これ痛いやつだ……」

その呟きを最後に記憶は途切れた。


「わぁ……」

ミユはバランスを崩したがどうやら私が能力で助けてミユは転ばずに済んだようだ。

それと同時に私の視界は真っ暗になり激痛が走った。


「ギャーーっ!!?」

ミユの両手が私の両目に直撃した。


「め、目がザクったぁー!!」

私は両手で目を抑え、しゃがんだ。


「うぅうぅぅ〜〜〜……」

私はほんの少し痛みが引いたから立ち上がろうとしたら頭に激痛が走った。


「い゛っだぁぁーー!!」

私は再びしゃがみこみ頭を抑えた。


「ご、ごめんなさい!」

エリンは手をアタフタさせながらそう言った。

どうやらエリンちゃんが誤って私の真上に能力である壁を移動させてしまった様だった。


「ちょ、大丈ーーっ!?」

私は心配してくれてるミユに大丈夫と言おうと上を見た瞬間、能力の壁が上昇してミユのアゴに激突したのが見えた。


「うぅ……」

ミユは涙目でアゴを抑えていた。


「ご、ごごごめんなさい!!」

能力の壁はエリンの方へ移動していった。

しかしその戻るスピードが異常な程早かった。


風邪を切る様な音を立てエリンちゃん頭スレスレを通り過ぎて後ろの岩の壁に能力の壁がめり込んだ。


「え、エリンちゃん大丈夫?」

私はなんとか痛みが引きエリンちゃんに呼びかける。


「う、うん」

エリンちゃんも体が震えていた。


「その壁はすぐに消せないの?」

ミユがそう言うとエリンちゃんは俯いた。


「エリンが触らないと能力は解除されないの」

エリンちゃんはめり込んだ壁を頑張って引き戻そうと手を内側へ引っ張る様に動かした。

しかし、微妙に動いてる気がしても全く動かなかった。


「もっと強くかな……」

エリンちゃんがそう言うと私とミユはお互い顔を見た。


「嫌な予感が……」

「するねぇ……」

私が言った後、続きの言葉をミユが言った瞬間エリンは尻餅をついた。


「きゃあっ!」

それと同時に風を切る様な音を立てながら壁がこちらに高速で向かってきたのを捉え体が勝手に動くように私とミユはしゃがんだ。


「あ、あああぶない!!」

「死ぬかと……」

私とミユは後ろを振り返ると壁は空遠くに飛んでいっていた。


「あ、あれ?どこいったの?」

エリンちゃんは周りを見て無くなった壁を探していた。


「エリンちゃん、向こうの方へ飛んでっちゃったよ」

と私は指をさした。

エリンちゃんは慌てた様子で壁が飛んで行った方向に手を伸ばした。


「エリンちゃん、できるだけゆっくり持ってきてね?」

私はまた同じ事にならないように言った。

少し待っていると半透明な壁が見え始めた。

ゆっくりとエリンちゃんに近づき目の前まで来るとエリンちゃんは壁に触れその壁は消滅した。


「時音お姉ちゃん、ミレイユお姉ちゃんごめんね……」

エリンちゃんは申し訳なさそうに言う。


「気にしないで大丈夫だよ」

私はエリンちゃんの頭を撫でた。


「ま、驚いたけど被害は出てないしね」

ミユはそう言うと馬車に乗った。

私も駆け足で荷台に乗った。


「じゃあね、エリンちゃん」

私とミユがそう言うとエリンちゃんは手を振り私達はその場を後にした。


ーーーーーーー


山を降りると私達の前には広い草原が広がっていた。

アーガスさんに教えてもらった里から東にある遺跡に私達は向かっていると、遠くに人が2人話し合ってるのが見えた。

片方は髪がセミロングで前髪で顔がやや見えない紫髪の女性ともう1人もセミロングの茶髪の女性だった。


おそらく歳は私とあまり変わらないと思う。

服装は私の世界と同じ様な見た目からしておそらく私と同じ転移された人だと私は思った。


馬車を近くで止めたが話に夢中で私達に気がついていない様だった。

私は荷台から降りて声をかけてみる事にした。


「あのぉ……」

おそるおそる話しかけると、ようやく気づいてくれてこちらをみた。


「あ、はじめまして!どうしたんですか?」

茶髪の女性がそういうと私は取り敢えず自己紹介をした。


「初めまして、私は時音でこっちはミレイユ」


「私は彩音っていいます!」

「私は(うみ)です」

片方は元気な感じだがもう片方は根暗な感じがした。


「あの、2人はここで何を話してたんですか?」

私の質問に2人は顔を見合わせていた。


「あぁー、えっとね、今から昼寝するかしないかで話し合ってたんだ!」

「あ、あぁ〜……」

思ったよりどうでもよかった。


「あ、そうだ、話すときは敬語じゃなくていいよ!多分同じくらいの歳だしね!」

彩音がそう言うのであれば私は取り敢えず合わせようと思った。


「わかった、あの、少し聞きたいことがあるんだけど、2人もやっぱり能力って持ってるんですか?」

私がそういうと2人は微妙に顔色を変えた気がした。


「そりゃ、持ってるよ?」

彩音がそう言うと隣の海も頷いた。


「やっぱり全員持ってるのか」

私はそう呟くとミユは口を開いた。


「ねぇ、2人はいつぐらいにこの世界にーー」

「待って」

ミユの言葉を止めて海が口を開いた。

ミユはその言葉に口を閉じた。


「2人とも、この世界に3つ国があるのは知ってるよね?」

海がそう言うと私とミユは頷いた。


「あなた達はどの街から来たの?」

私はその質問を素直に答えた。


「エルガンです」

「そう、なら多分大丈夫」

海がそう言うと彩音の方を見た。

彩音は海に頷いてから私達の方を見た。


「えっとね、トランジション・キラーって聞いた事ある?」

私は全く聞いたことがなく首を横に振った。

その時、私はミユはこの世界の人だから分かるんじゃないかと思っていた。


「私もわからない」

そもそも、私はトランジションの意味が分からなかった。


「トランジション……転移者、つまり転移者殺しだよ」

私達はそれを聞いて驚いた。


「そんな、なんで!?」

私はそう言ったが驚きすぎて余り頭が回っていなかった。


「転移者殺し、トランジションキラー、別名はプレイヤーキラーとも言われてるよ」

その言葉はまるでこの世界がゲームと思わせる名前だった。


「因みに私達はガルスから来たんだ、それで取り敢えずエルガンに逃げようかなってね」

彩音は海に微笑みながら言った。


「そんな事が他の国に起きてるなんて」

私は呟くと彩音が私の顔を接近して見た。


「な、なに……?」

私は驚いた。


「友達になろっ!」

それは突然だった。


「へ?い、いいよ??」

私は友達になろうと言われてつい承諾してしまった。


「やったー!」

彩音が喜んでいると海が私の方を見た。

するとミユが身構えた。


「何するつもり?」

私は何が何だか分からなかった。


「警戒心が強い……」

海がそう言うと彩音が海に抱きついた。


「もう!またやろうとしたの!?」

「邪魔……」

戯れているように見えて彩音は海を止めようとしているようにも見えた。


「どういうつもり?」

ミユが警戒しながら言うと彩音は頭を下げた。


「その、ごめんなさい!」

「実は今、海は能力を使おうとしてたんだ」

彩音がそう言うと海は黙っていた。


「海の能力はコピーなの」

「コピー?」

私はそう呟くと話を聞くことにした。


「そう、だけどコピーにはいろいろ条件が厳しくてね、コピーが出来るのはその人の距離が約100メートル以内じゃないと使えないし、その中に居ても能力の事をちゃんと知らないとそもそも発動すらできないんだ、それで今私がしたみたいに、友達になればその人の能力の詳細がわかるんだ」

私は彩音の説明でかなりシビアな発動条件なのがよくわかった。


「えっと、別に私は大丈夫ですよ?」

そう言うとミユは私の肩を掴んだ。


「バカじゃないの!?」

その言葉に私は驚いた。


「そうだよ!危険だとは思わないの!?」

彩音にも言われてしまった。


「へ?だって……友達だし?」

私の言葉にミユはため息をついた。


「彩音に似てるね」

海がそう呟くと彩音は少し顔が赤くなった。


「それで! 他の人に能力を知られるのは危険なの!!」

彩音は話を戻した。


「じゃあ、私の能力も言った方がいいよね」

彩音はそう言うと手を横に広げた。


「ちょっと失礼」

そう言うと同時に私にビンタを思いっきりした。


「いったぁぁーーー………くない?」

私は確かにビンタを食らったはずなのに全く痛く無かった。


「えっとどういう事?」

私は首を傾げた。


「私の能力は対象のダメージを自分へ移動させる能力だよ」

対象のダメージを自分に、私はそれを聞いた瞬間疑問ができた。

今ビンタをしたのに彩音にその痛みが伝わって無いことが不思議に思えた。


「あ、今ビンタしたダメージが私に来てないのに疑問を抱いたでしょ! 私にダメージが発動するのは任意にできるんだ! ま、上限はあるんだけどね」

そう彩音が言うと私は納得した。


「言ったら悪いけど使えないね」

ミユがストレートに言うと彩音はションボリした。


「そうなの、私の能力は全くつかえないんだよ!!」

彩音は悔しそうに言った。


「えっと、じゃあ次は私達?」

そう私が言うとミユは頷いた。


「私の能力は時間を操る能力だよ」

そう言うと彩音と海は驚いていた。


「いいなぁ! それってかなりのレアなんじゃない!?」

彩音が凄く物欲しそうな目でこちらを向いていた。


「でもこの能力は代償もあるんだ」

彩音と海は首を傾げた。


「能力を使った部分の記憶が消えるんだ」

そういうと彩音は少し首を傾げていた。


「じゃあ自分が能力を使ったかはわからないって事?」

彩音が言うと私は首を横に振った。


「自分の場所で使ったんだなってなんとなくはわかるよ」

「でも、確かに『時間を止める』はこれでなんとかなるけど、『時間を巻き戻す』方はなかなか気づかないかな、だからループしてしまう事があるから安易に使用はできない」

私は説明を終えた。


「なるほど、それじゃあそちらのミレイユだっけ?」

海がそういうと私とミユは顔を見合わせた。


「えっと実はミユには能力がないの」

その言葉に驚いたのか海は手を出した。


「触って」

そう言うとミユは手を触った。


「確かに能力は無い」

海がそう言うと彩音は驚いていた。


「なんで? まだ目覚めてないとか?」

「私はこの世界の人だよ」

その言葉にも驚いていた。


「ミレイユはこの世界の……」

海がそう呟いていたのを私は気が付いた。


「わかった、ありがとう」

そう海が言い、彩音の腕を引っ張る。


「そろそろ行くの?」

彩音が海に言うと海は頷いていた。


「じゃあ」

その一言で海は歩き始めた。


「じゃあね! また会ったらいっぱい話そー!」

彩音は元気よく大きな声で言っていた。

喋りながら遠ざかって行く二人を私とミユは見ていた。


「じゃあ、行こうか」

ミユがそう言うと私は頷き馬車に乗った。


「ねぇ、本当の事言わなくてよかったのかな」

「当たり前、親しくなっても信頼はできないからね」

「それに、海って子は信用しない方がいいかも」

ミユの言葉に私は首を傾げた。


「なんで? 何か隠してたの?」

「ううん、そんな感じがしただけ」

「そう……なんだ」

そうこう話していると前方に目的地であろう遺跡が見えた。


ーーーーー


「この遺跡、地下に続いてるんだね」

入り口を見ると下へ降りるハシゴがあった。

入り口があるだけで遺跡自体はかなり小さかった。周りには倒れた柱が数本あるだけだ。


「それじゃあ、中に入る?」

私がそう言うとミユは首を横に振った。


「もうすぐ夜になるし、今日は入らない」

私はミユに言われるまで気づかなかった。

もうすぐ夕日が沈みそうだった。


私はこの世界に来てから疲れたりしなくなったのだ。

お腹も空かず眠気もしない、何か変な気分だ。


ミユは柱にもたれ掛かりながら座った。

私もミユの前方に転がっている柱にもたれ掛かり座った。


ミユは手を前に出すと光だし、その中から、おにぎりが4つ出てきた。


「はい、2つあげる」

「ありがとう」

ミユがそういい私はお礼をいいながら貰った。


「今の何?」

私はおにぎりを食べながら聞いた。


「空間を歪ませて取り出す魔法かな?」

ミユは当たり前のように言ったが凄そうな事だと思った。


「ほうはんだ(そうなんだ)」

私はおにぎりを食べながら喋った。

そしてこのおにぎりが塩おにぎりなのに気がついた。


「ねぇ、時音」

私は口を動かしながら首を傾げた。


「時音は今疲れてないし、眠たく無いし、お腹も空かない、喉も乾かないんだよね?」

「うぐっ!?」

ミユがそう言うと私は驚き喉におにぎりを詰まらせてしまった。


「あ、ごめん!」

そう言ってミユは手を光らせて小さなツボのようなボトルを出した。


「水飲んで!」

私はそれを受け取り飲み込んだ。


「はぁ……はぁ……ありがとう」

私は飲み物を返しながら言った。


「ごめんね、でもそれが知れてよかった」

ミユは飲み物を受け取り飲み始めた。


「この状態って何かあるの?」

私は聞くと再びおにぎりを口に入れた。


「それは数人に一人起きる事なんだけど、ここに来た人は偶に疲労感や空腹感も全く感じなくなるんだ」

まさか私がその数人に一人だなんて、運が良いのか悪いのか。


「それでその状態で何も食わず、寝ず、体を休ませる事なくこの世界にいれば、その人は死ぬ場合があるの」

私は少し怖くなった。


「私は……どうしたら?」

「元いた世界の生活をここでしてたら大丈夫だよ」

その言葉を聞いて私は少し安心したような気がするが、何も感じない以上どのタイミングで疲れや空腹があるのかわからない。


「その何も感じない期間がおわるまでわね」

「期間?」

期間なんてあるんだと私は思ったが、私は繰り返しで身体の状態も戻っているのだとわかった。


「そう、この何も感じないのは、この世界に体が馴染んでないからなの、時間が経つにつれて体は慣れてくの」

「じゃあ、慣れたら」

私はきっと疲労も出るし眠たくもなると思った。


「時音のいた世界と同じく、空腹感や疲労感などと言ったものも出てくるよ」

ミユの言葉に少し安心した。


「でもそうなる前にどうやら酷く体が辛くなるらしいから気をつけて」

私はまた不安になった。


「どう言う感じなの?」

「なんか吐き気や頭痛など、かなり体が酷く辛くなるらしい」

私はかなり怖くなった。

辛いのが分かってると、その時が来るのが怖くなる。


「そんな……」

「大丈夫、きっと……」

ミユは私を必死に励まそうとしているのがわかったが、自信はなさげだった。


「そうだね」

私もなんとか頑張ろうと思った。


「ごちそうさまでした」

私とミユがそう言うと空には星が見え始めていた。

下に布を引いて私とミユはそこに転がった。


「綺麗だね」

ミユがそう言うと私は小さい声で返事した。


「プレイヤーキラーか……なんでそんな事できるんだろう」

私は星を見ながら呟いた。


「喜び……なのかな?」

私はミユの言葉にそんな人いるのかと疑った。


「私の世界に殺人鬼がいるのと……同じなんだよね」

私は再び呟くとミユがボソっと喋った。


「ねぇ……時音はいつか、この世界を出て元の世界に戻るんだよね」

「戻りたいって事はないけど、戻りたくないって事もないかな?」

私は顔を横に向けミユの方を向いた。


「時音は元の世界が嫌い……なの?」

「そうじゃない……けど、何もなくて」

「え?」

「何もなくてつまんないんだ……」

私とミユは再び空を眺めた。

今の言葉は、私の本心からくる言葉だけど……。 何処か他人事みたいだ。


「…………」

私達は口を開かず無言の時間が過ぎていった。


「そろそろ寝ようか」

ミユがそう言うと私は微笑んだ。


「そうだね、おやすみ」

「おやすみ」

そう私達お互いに言うとミユは目を瞑った。


「でも、本当に……綺麗だね……、お兄ちゃん」

「何か言った?」

ミユがそう言うと私は無意識の内に何言っていた事に気がついた。


「なんでもないよ」

そう言うと私とミユは再び目を閉じた。



見てくれてありがとうです!

誤字や変な所があったかもですが、これからも頑張って無くしていきたいと思います!ます!!

あ、英語間違ってましたかね?英語を調べながらやったのであってなかったらごめんなさいです!!

これからもよろしくです!!

(´・∀・`)顔文字ドーン!

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