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その世界は本物ですか?  作者: おでん
第一章:『記憶と記録』
1/23

第1話:異世界転移

初心者です。

楽しく見て欲しいです。

これからも頑張ります!

ゆっくり楽しんで行ってください!!


何度か書き直しで修正を加えていきます。


これからもよろしくお願いします。


私は普通の高校2年生。

制服を着て、手下げ鞄を持ち、夕日が見える道をただ友達と歩いている。

部活帰りの途中だ。


まぁ、部活帰りの途中と言っても、特に目立った人ではない。 特技も特にないし、なんなら成績もそれほどよくない……はず。


そう言えば、部活って……。

私、なんの部活してたんだっけ……。


「ねえ時音、あの噂知ってる?」


空を見上げながら歩いていると突然オカルト好きな友達は私に話しかけてきた、突然な事で私は驚き身体がビクっと跳ねた。 友達はいつも『知ってる?』と聞くが、私が知らないと知っていながら聞くことが多い。


「噂って?」


特に興味はなかったが私は友達の方を向き聞いた。


「紙とペンで簡単にできるアレだよ!」


友達は少し大きな声で言うが、私はアレと言われても分からない。

そして紙とペンでできると言うことは何かのゲームなのだろうか。


「まあ簡単な話、紙とペンである記号を描いて、枕元に紙を置いて寝ると異世界に行けるって話なの」


友達は指で空に向かって模様のようなものを描きながら言うが、その模様がどんな形か分からなかった。


「それ凄く嘘っぽいんだけど、異世界に行ける〜とか、今時そんな噂信じてるの?」


私は笑いながら少し馬鹿にする様に言った。

心霊的な現象ならまだしも、異世界というのは少し信憑性が低すぎる。


「もー、本当に時音はロマンがないなぁ〜」


友達は私の反応が予想どうりで少し不満げな顔をして言うと私は苦笑いした。


「前から私はあんまり信じてないって知ってるでしょ?」


そう言ったところで友達の不満げな表情は変わらなかった。


「まぁ、帰ったらやってみるけど……」

その言葉を聞くと友達は嬉しそうにして私の前を歩き出した。


「約束だよ! じゃあまた明日!」

友達は二つの分かれ道で右側を走って帰って行った。


「全くもう……」

私は友達の後ろ姿を見ながらため息をつくと家方面、左側の道を進み始めた。


「ただいま〜」

家へ帰り癖で言ってしまったが、今は誰もいないんだった。


「そういえば誰もいないや」

親はクジで当てた旅行券で旅行に行っている事を思い出しながら自分の部屋へ向かいドアを開けると荷物を投げ捨てベッドに転がった。


「はぁー、部活疲れた」

私はため息をつきながら天井を見上げた。


「何か……楽しい事ないかなぁ〜」

ボーっとしながら周りを見渡すと、ふと思い出した。


そういえば、異世界が何とかって噂やる約束してたっけ?


「やる……かな?」

私は暇つぶしに紙とペンで出来ると言う異世界に行くための儀式のようなものをやる事にした。


机に紙とペンを置き、記号を描こうとした……が、そういえばどんな記号か聞いていないことに気がついた。


「……」

めんどくさいと思いながらスマホを取り出して検索した。


検索して出てきたのは二重丸の中に漢字の七という文字を入れるだけだった。


記号がわかり、私は紙に描いた。

言われた通りに枕元に置いて少しの間、目をつむる事にした。


ちょうど眠たかったし、丁度いい奴かも。

眠気がだんだん強くなっていった。




ーーーーーーーーーーーーーー



「…………いで」

誰かの声が聞こえる。


「ねぇ、そんな所で寝ないで」

女性の声が聞こえてきた。 私は聞き間違いだと思い再び寝ようとしたが、女性の声がハッキリと聞こえていた事に疑問を思った。

だって私の家には今誰もいないはずだし、いたとしたら泥棒だろうか、不安になりながら私は目を開ける事にした。


「眩しぃ……」

目を開くとそこには、青い瞳に青い髪、ローブを着ていて杖を右手に持つ私より背と歳がやや低く見える少女がこちらを覗き込みながら睨んでいた。


「やっと目が覚めた? こんな道の真ん中で寝ないでくれる?」

青い髪の少女が迷惑そうな顔をして言うと後ろに止めてあった馬車に乗る。


「……え?」

私は起き上がり少女にも驚いたが、周りの景色がいかにもファンタジーな場所だった。

緑広がる草原、城、そして綺麗な青空。

夢みたいだ……。


「どこ……ここ?」

困惑しながらも少女に聞いた。


「何言ってるの? 頭大丈夫?」

ただ場所を聞いただけなのに頭がおかしい人と思われるのは少し気になる。


「え、あ、えっと……」

私は何を聞くべきなのか分からず下を向いた。


ポツリと膝の上に水が落ちた。

雨でも降ってるのかと思ったが、すぐに自分が泣いていることに気が付いた。


「あれ……?」

異世界に来て不安なのか、よく分からず涙が出てきた。


「な、なんでいきなり泣いてるの」

青い髪の少女は突然泣いた私に驚き戸惑っていた。


「ご、ごめん……泣くつもりじゃあ」

涙を拭って立ち上がろうとすると視界の端にチラッと自分の髪が見えた。 しかし、その色は記憶と違い困惑した。


「髪の色が変わってる!?」

私は異変に気付くと驚きながら言った。

私の髪の色は元々黒色、白髪ではなかった。

私は急いで、髪以外の変化がないか自分を見渡し、特に何も変わってない事を確認すると少し一安心した。


「ねぇ、情緒不安定なの?」

青い髪の少女がムスっとした顔で言うが、私はそんなつもりもなく慌てて謝った。

「あ、ご、ごめんなさい」


「貴方はどこから来たの?」

青い髪の少女はため息混じりで言うと私は少し戸惑りはしたが本当のことを答えた。


「日本って所から来たの」

信じてもらえるか分からなかったが、他に言う言葉が見つからない。


「わかった……乗って」

青髪の少女は一度降りて、私を荷台に案内した。


荷台に乗り、青髪の少女は再び乗ると馬車を動かした。

荷台には木箱が2個やタル1個、合わせて3個置いてあった。


「……まえは?」

青い髪の少女が何かを言ったが、私はその言葉をうまく聞き取れなかった。


「へ?」

私は首を傾げ青い髪の少女が少しイラっとした。


「な・ま・え・は!!」

そう大声で言われると私はすかさず答えた。「と、時音です!」


「ミレイユ」

青髪の少女は私の言葉に間髪入れずに名乗った。


「よろしくね、ミレイユ」

私は何故だか嬉しくなった。


「ねぇ、時音」

ミレイユの言葉に私は荷台から身体を出して前屈みになった。


「なに?」

こちらをチラっと見た気がする。


「ここに、この世界にどうやって来たの?」

その質問に私は一度頭の整理をして答えた。


「えっと、私の世界には今噂があって、紙に印を描いて枕元に置いて寝ると異世界に行けるってやつなんだけど」

指で空に印を描きながら言うがミレイユは横目で見て頷いた。


「そう」

聞いて来た割に、そっけない返事だった。


「あ、そういえば何処に向かってるの?」

私は周りを見渡して言うとミレイユは前を指差した。


「あそこ、あの小さい村」

ミレイユに言われ指が差されている方を見ると家が5件しかない小さな村があった。


そう離れていなかった為、すぐに村に辿りついた。


小さな村の中に入ると一つの家の前に止まった。


「ついた、降りて」

ミレイユは馬車から降りながら言う。

私も馬車を降りると何故だか私はこの村を見てから少し違和感を感じた。

初めて来たという感じがしない……。


「ここは…」

私が呟くとミレイユは家の中に入っていった。 私も急いで後を追い中に入った。


中に入ると青髪のお婆さんが座っていた。


「お、おじゃまします」

私は恐る恐る言うとミレイユが私の手を引っ張り座布団に座らせた。


真ん中に鍋がありそれを囲むように3人が座布団の上に座っていた。

家の中は昔の古い感じで江戸時代とかそんな感じに見えた。

まぁ、江戸時代とかよくわからないんだけど。


「初めまして、ゆっくりしていってね」

お婆さんはお茶を3つ出しながら言った。 私はお茶を受け取りながら頭を一度下げた。


「ミレイユ、お仕事ありがとねぇ」

お婆さんがミレイユに言うとミレイユは少し照れていたように感じた。


「それで、そちらの子はどうしたのかね?」

お婆さんが私の方を見て言う。


「この子は異世界から来た子、時音って言うんだって」

ミレイユが私の事を説明してくれるとお婆さんは頷いた。


「そうだったのかい、まぁ安心しなさい、なんとかなるよ」

お婆さんが私を励ます感じに言うと私は取り敢えず頭を一度下げた。

どう反応したらいいのかイマイチよくわからない。


「さて、ご飯にしましょう、時音ちゃんも沢山食べてね」

お婆さんがそう言うと皿と箸を出し鍋を開け皿に注ぎ始め、3人分の用意ができると、頂きますの合図で2人は食べ始めたが、私は二人の食べているところを見ていた。


「食べないの?」

ミレイユが言うと私は首を横に振った。

何故だか私はこの食べ物に抵抗があった。


「取り敢えず一口だけ」

私は呟きながらそれを口に含めた。

その瞬間、味は美味しかったが何故だか口から出してしまった。


「ゲホっ!」

私はどうして口から出したのか分からずにいた。


「ど、どうしたの?」

ミレイユは驚きながら私の背中を摩った。


「あ、えと、味は美味しいんですけど、何故か口に含めなくて……」

私は申し訳なさそうに言った。

何で食べられないんだろう、異世界の食べ物だから?


「気にしなくていいよ」

お婆さんは微笑みながら言う。

そう言われれば気持ちは楽だが、やっぱり申し訳なかった。


「これも異世界から来た人特有の症状なのかな?」

ミレイユは私が落ち着いた事を確認すると、再びご飯を食べ始めた。


「無理して食べなくていいよ」

お婆さんが私に気を遣って言うと私は頷いた。

皿を床に置いた。


「ごちそうさまでした」

そう言うとミレイユは立ち上がった。

今食べ始めたばかりなのに早いと私は感じミレイユの方を見るが、その行動に感づいたのか口を開いた。


「あぁ、私は少食だからね」

皿を私の皿の下に置き台所へ持っていき、皿を洗い始めた。


座りながら眺めていると蛇口から水を出しておらず、空中から水を出していた。


「え、もしかして魔法?」

ミレイユは洗いながら頷いた。

「そうだよ、時音ももしかしたら使えるかもだけど」

洗った皿を隣のカゴに入れて私の隣に戻ってきた。


「また行くのかい? いつもごめんね」

お婆さんが申し訳なさそうに言うとミレイユは首を横に振った。


「気にしなくていいよ、私は好きでやってるから」

ミレイユは私の前に手を出した。


「行くよ」

その言葉に頷きつつ、私は手を握って立ち上がった。


「怪我しないように気をつけるんだよ」

お婆さんがミレイユに心配の言葉をかけると少し不機嫌になった。


「大丈夫だって、お婆ちゃんは休んでて」

恥ずかしがっているのか、ミレイユは早歩きで家の入り口まで向かった。


「ミレイユ、本当に……」

「大丈夫だから」

お婆さんの心配の言葉を遮りミレイユは言葉を発した。


「いってきます」

ミレイユが言うと私も続いて同じ言葉を言い家を出た。


「いいお婆さんだね」

私は微笑みながら言うとミレイユは目線を合わせなかった。


「別に、過保護なだけ」

なんだか微笑ましかった。


「そうだ、これから何処に行くの?」

私は馬車に乗るミレイユを見ながら言うとミレイユはこちらを向いた。


「エルガンってところに行く」

ミレイユがそう言うと早く乗ってという目線をこちらに向ける。

その視線に気づき私は急いで乗り、私が乗った事を確認すると馬車は動き始めた。


「あれ?」

乗ってから気が付いたが荷台にあったタルが無くなっていた。


「タルは村の人が回収したよ」

聞くまでもなく私が気になっている事を言ってくれた。


そして、村を出て私はボーっと周りを見渡していた。

広くどこまでも続く青い空、自然豊かな草原。 とても綺麗だった。

モンスターが沢山いると思ったが見渡す限り何もない……。

空に飛ぶ鳥くらいしか生きてる生物は見つけられなかった。


「時音、貴方にこの世界の事を少し説明しとくね」

ミレイユはそう言うと私は頷いた。


「この世界には三つの城があって、その一つが今向かってる『エルガン』でもう一つが『エスティーユ』で最後が『ガルス』、この三つの国のようなものは本当は戦争していたんだけど、今は突然現れた魔物のせいで一時休戦してる感じ。 それで、その魔物のボス、今は敢えて魔王とでも言っとく。 で、その魔王がいると思われる城が現れて、より魔物の被害が増えたって感じ」

この世界の状況的に私は魔王を倒せばいいのかと考えた。


「その魔王には名前とか無いの?」

ミレイユはこの質問に首を横に振った。


「わからない、だから仮に魔王って呼ぶ」

この世界に名前が広がってないと言う事は魔王は誰にも名乗っていないのか。

そもそも、誰とも出会ってないのではないだろうか。


「この世界の事は少し分かったよ」

私はその説明を頭に忘れないように記録した。


「あと、この世界の人にはエリスと言うのが備わってる、貴方にもこの世界に来たことによってそれが備わってるよ」

ミレイユが言うと私はエリスがなんなのかよく分からず首を傾げた。


「簡単に言うと、貴方の世界のゲームに魔法を使う時マジックポイントってあるでしょ、それだよ」

ミレイユから異世界の人とは思えない言葉を聞き、私は聞き間違えだと思った。


「えっと、なんでゲームの事を?」

私は即座に聞くことにしたがミレイユはため息をついた。


「別に、この世界には貴方のような異世界から来る人がよくいるから、それでその知識がついて使ってるだけ」

私はそんなに人が来てる事を聞き少し驚いていた。 エルガンにも私と同じ転移した人がいるのだろうか。


「もうすぐエルガンの城下町に着くよ」

ミレイユの言葉に前方を見るといつの間にか門の前まで来ていた。


「あれ、いつの間に」

驚きながらも馬車は門をくぐり城下町へと入って行く。


屋台が沢山あり、人も多かった。

人の比率の方が多いが流石異世界と言うのか、獣人のような格好をした人もいた。

身体が毛で覆われていて顔は人と獣を合わせたような見た目だ。

武装をしている人もいれば、獣人もいる。


「凄い沢山、これが城下町」

私は初めて見る城下町に感心していると、段々と人気のない場所に進んで行っていることに気がついた。


そのまま進んで行くと路地裏で止まった。

その路地裏に座っている人が数人いる、その人たちは服装がボロボロだ。 雰囲気も相まって少し薄暗かった。


ミレイユは荷台に移動し、木箱から袋を持ち出すと馬車から降りた。 私もそれに続いて降りた。


「ここからどこ行くの?」

私はミレイユのすぐ後ろをついて行きながら聞くとミレイユは近くにある階段の前へと移動していた。


「この近くに依頼主がいるから、薬を届けに行くの」

階段を上がり、右側の家の扉をノックし始めた。


ガチャりと扉は開きお爺さんが出てきた。

とても服がボロく生活をしていくのがやっとのように見えた。


「おぉ、ミレイユか……いつもありがとう」

2人はお金と袋を交換していた。

ミレイユは何かを売っているのだろうか。

でも、見た感じ一枚のコインしか貰っていなかった。 一枚が高いのだろうか。


「では」

ミレイユは一言言うと階段を降りる。


「ミレイユ」

お爺さんが階段を降りる彼女を引き止めた。


「あの事は……」

その問いかけにミレイユは首を傾げ何かあるのかと、思い出そうとしていたが、結局わからなかったみたいだ。


「そうか……」

ミレイユの反応にお爺さんは1人納得をしていた。

一体何なんだろうか、ミレイユは再び挨拶をして階段を降った。


「お嬢ちゃん」

呼び方的に私の事だと思い振り返った。

ミレイユの次は私を引き止めた、何かあるのだろうか。


「ミレイユを頼む」

お爺さんは深くお辞儀をしていた。

いきなり頼むと言われてもどうしたらいいのかわからない。


「あ、えと、はい……」

私は苦笑いで答え階段を降りた。


「…………」

少し気になり振り返ったが扉は閉まっており、そこには誰もいなかった。


何だったのだろうか……。

まぁ、今はわからないことより、気になる事が。


「ねぇ、そのコインっていくらぐらいなの?」

ミレイユは階段を降るのを一度やめ、私の方に身体を向かせた。


「貴方の世界で10円くらいかな」

思いの外安かった。 ガムでも売っているのだろうか。


「あの袋の中身って何なの?」

再びミレイユは階段を降り始め、私も降りながら聞くと荷台の中に入っていった。


「中は薬だよ、普段お金を払えない人達を回って渡してるの」

木箱の中身を整理しながらミレイユは言う。


「それってミレイユがキツくなるんじゃ」

お金的にマイナスになっているのではないだろうか。


「お婆ちゃんは魔法で薬を作れるからタダみたいなものだよ」

魔法って便利なんだなと思った。


「ねぇ、私も魔法って使えるの?」

魔法と聞くと、やりたくなるに決まっている。

ミレイユは木箱に蓋をして私の右手を掴んだ。


「貴方の場合……今は難しいかな」

私はショックを受けたが何故なのか目で訴えた。


「エリスは確かに流れてるけど、身体がついて来れてないの」

身体が変化に追いつけていないと言う意味なのだろうか。


「気長に待つことだね」

そう言いミレイユは再び木箱を整理し始めた。


「…………」

私はずっと整理するのを眺めるのも退屈だと思い、人通りの多い場所を見学しようと歩いた。


「少しだけ覗く程度なら」

私は城下町と言うのを近くで感じたくて覗くことにした。 そこには沢山の店があり賑わっていた。


「やっぱり城下町って凄い」

私は初めて見た城下町に感動をしていつの間にか思っていたより前に出てしまっていた。


「あ、戻らなきゃ」

それに気づき戻ろうとした時、人混みに巻き込まれ流されてしまった。


「わわ、ちょ、も、戻れない……」

手を前に出して戻ろうとしたが力が足りず流された。 その時誰かが手を掴み人混みの隙間を通って元の路地裏に戻ってこられた。


「もう、勝手にあるかないで」

手を引っ張り助けてくれたのはミレイユだった。


「ご、ごめんなさい」

私は謝るとミレイユは一安心したような顔をした。


「すぐ見つかってよかった、今度からは気をつけてね」

ミレイユの言葉に私は返事をして頷いた。


「じゃあ、行くよ?」

ミレイユは馬車に乗ろうとすると地面に何かが落ち、私はそれを右手で拾った。


「これは?」

私は裏表マジマジ見て聞いた。


「ロケット」

それは少し錆びれたネックレスのロケットだった。


ロケットを見ていると目眩がして、私は左手で頭を押さえた。



ーーーーーーーーーー


声が響いてくる……。


誰の声?


「これで何回目?」


「もう数えてない……」

物悲しい声を誰かが発している。


「貴方はどう思う?」

誰に問いかけてるの?


「ミユ」

誰かを呼ぶ声がする……。


誰が呼んでいる? 私?


ーーーーーーーーーー



私は我にかえり周りを見渡した。


「今のは?」

私の行動に不信がったのかミレイユは少し距離をとった。


おそらく聞いていたのは私だけみたいだった。 私はすぐにロケットを返した。


「大丈夫?」

ミレイユは私の心配ではなく、自分に害がないかの心配をしている気がした。


「ごめん、大丈夫……」

今のは何だったのだろうか……。


「大丈夫ならいいけど」

そう言いながらミレイユはロケットを開き、写真に3人の人が写っていた。

あまりよくは見えなかったが、見た目的にお父さんとお母さんではないかと思った。


「それは?」

さっきの事もあり、少し気になって聞くことにした。


「両親と私の写真、形見なの」

ロケットを閉じて首にかけ直し、服の中に見えないように入れた。


私は一体何を見たのだろうか……。

どうしろと言うのだろう……。


「うっ……」

また目眩がする……。

いったいなんなの……。


ーーーーーーーーー



「おやぉやぁ? メをサまさないとシんじゃう

誰かの声がする……。

男の声だ……。


何故だか、この声を聞くと心の底から怒りの感情が湧いてくる。


「だ……れ?」

ゆっくりと目を開けると目の前は黒いレンガの壁だった。 手を伸ばせば届きそうではある。


「ばぁあ!」

白色の鬼の顔に近い仮面を被った人が突然左の死角から出てきて、私の身体はビクっと跳ねた。


「おメザぁめぇ〜?」

笑い混じりに言葉を放つ。


気味が悪いと思い離れようとしたが手足が拘束されていて逃げ出せなかった。


「あ、貴方は誰!」

そう質問をし、私は周りを見渡した。

周りは黒いレンガの壁で覆われていて扉が一つしかない、何も無い部屋だった。


「おぉ〜ん、ナマエをキくトキはまずジブンからってオソわらなかったぁ〜?」

時々混じるカタコト喋り、頭がおかしいと思う。

私は彼を睨むと両手で仮面を押さえた。


「おう! ナマイキなぁ〜カオ!」

そう彼が言うと私の左指、小指に激痛が走る。


「あ゛あ゛あ゛あ゛ああぁぁー!!?」

私は叫び声を上げた、小指が突然捻れた。

骨が小指から突き出し私は見るに耐えなかった。


「ねぇ? ワタシのイうコトワかる?」

顔を私の顔に近づけた。

何が言いたいのか全くわからない。

痛い……。


「わ、わかります! 私の名前は時音! 名前を聞いてもいいですか!?」

私は咄嗟に答え、そして名前を丁寧に聞いた。

今は相手を怒らせない方がいい、そう思った。


「ボクのナマエかなぁ? オシえなぁ〜い!」

そう言い彼の顔は180度回転し、右足首に激痛が走り、素早く見ると足首から下が無くなっていた、あるのは足首から流れる血だけだった。


「ぎゃあ゛あ゛ぁぁあぁぁーー!!」

痛い、痛い。 痛い痛い……。

意味がわからない気持ち悪い痛い。

コイツ完全に壊れてる!


「あな……たは」

言葉を発すると私の左側を通る黒いモヤが見えた。 それは、仮面の人に近づき消えた。


「ジカンギれのヨウだぁ〜」

仮面の男が首を左右に振りながら言うと私は恐怖した。


「じゃあ、さよならぁ〜」

その声の次に天井からガチャっと音がし、上を見上げると巨大な斧があった。


「い、いやあぁぁーー!!」

私は叫ぶことしか出来ず、斧が私を切り裂いた。 視界が赤くなり、段々と歪んでいった。



ーーーーーーーーー


「あぁぁああぁぁあぁ……」

痛い。 怖い。 助けて。

もう嫌だ!!


「落ち着いて、何も無いから!」

突然のミレイユの声で再び我にかえった。


「あっ……、ミレイユ……ここ」

私は周りを見渡した。

ミレイユが心配そうな顔でこちらを見ている。


「夢……?」

まだ痛みが少し残っている、今のは夢なのか。


「もう……大丈夫」

私は深呼吸をして汗を拭った。


「いきなりどうしたの?」

ミレイユは私に優しく聞いてくれて、私は今見た事をミレイユに話した。


「仮面の男……」

ミレイユは呟き考え始めた。

何か心当たりでもあるのだろうか。


「そいつの事は知ってる、魔王の仲間の1人なのは確か」

会いに行く事を避けたいと思っていたが、いつかは会うしかないのかと思った。


「取り敢えず、移動しようか」

私はミレイユの言葉にゆっくりと馬車に乗った。


馬車は動き出し、真っ直ぐ門に向かってエルガンを出た。



私が見た夢は予知夢ではないかと不安になって来たが、どうなるのか分かっているなら対処のしようもあるのかな……。

読んでくれてありがとうございます!

文字がおかしな所とかあったと思いますが、これからも成長しつつ頑張っていきたいとおもいます!

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