現代知識無双ファンタジーとSF
小説家になろうで一つの要素として使われてる現代知識無双について一つの見解が出た。これまでは戦国自衛隊だと思っていた。私はコンラッドの闇の奥は読んだ事が無い。ただそれが源流になったと聞いてる地獄の黙示録を映画で見た。この両作品実は昨今の異世界ファンタジー現代知識無双にすごく似ている。
地獄の黙示録は戦国自衛隊ほどシンプルじゃない。それでも戦国自衛隊と地獄の黙示録はなろうファンタジーとは一線を画する。似てるといえばオーバーロードが微妙にそういう所がある。ピカレスクロマンの香りがするか?となる。
分かりやすい例ならコードギアスかと。コードギアスは置いておいて、大事なのはファンタジー世界=遅れた文明。これと現代人の進んだ文明を対決させて原住民を支配する構造は全く同じ。
まずここがポイント、ただしここでこの2作品と決定的に違うのは、ちょっとだけ正義の味方風の主人公がなろう小説には多い事。もちろん本人は好き勝手遣ってると言い訳を常に用意するけど…。私が見る限りオーバーロードほど突き抜けたヒトデナシな部分を持つ主人公はそうそう居ない。ただそれでも戦国自衛隊のえぐさには適わない。
戦国自衛隊の自分の好き勝手やる自由奔放さはなろう小説と一線を画するから。これは2時間程度で終る物語なのも大きいかもしれない。長期で展開するには破滅的だから。地獄の黙示録はやってる事は非道だけど、その先こそ描きたいもので趣旨は違う。
描き方の違いで近いのはオーバーロードぐらいしか思いつかないのはある。ただオーバーロードもそこまで主人公ひとでなしな事アニメの範囲じゃしない。後でするからアニメ化されないのかも。
さてここまでならパッと見戦国自衛隊を見た事がある人なら誰でも思うしGATEを知ってる人ならより判ると思う。だがそれだけでは紐解けない描写が多い事に気がついた。最初は文字小説ゆえの字数稼ぎか?と思っていた。悲しい事だが連載更新がPT稼ぎの有効な手段となるなろうでは無意味な字数稼ぎをするような手抜き回を作る作品が多すぎる。それでも違うと分かってきた。
この手法はSFだと気がついた。海底2万マイルを読んでるような気持ちをふと思い出して、ああ時間軸を過去に戻してSFしてるんじゃないか?と気がついた。異世界転生転移は世界の移動だけどこれ実質時間移動にも近い。おそらく源流となるトールキンにその意図があったんじゃないか?と見てる。オカルト要素と相性が良い時代を作品のターゲットにしたのじゃないか?と見てる。
それを使って中世へのタイムトラベルとして使ってる。海底2マイルを出したのは原子力潜水艦は後に実際発明されたから。まるで海底2万マイルだなと思う漫画で沈黙の艦隊がある。潜水艦が一つの国の様に振舞うところが良く似ている。海底2万マイルはいろいろと発想が古い。それは何故か当時の科学技術で描かれてるから。だから中世をベースにしたSFだとして見ると現代知識無双はSFのロジックで綺麗に描かれてるのが分かる。
当時の人が科学知識をベースに未来を夢想したSFとしてみるととても精密な作品だと言うのが分かる。
はっきり言えばこれは似非SFだと言えると思う。誤魔化し。でも海底2万マイルを見て面白かった気持ちが蘇る。SFの真髄みたいな面白さは無い。でもワンランク落ちる面白さなら十分にSFの面白さを実現できてる。
それは現代人がそれほど科学知識を熟知してないのが大きい。知ってる科学知識も大量に出てくると思う。でも未知の知識も多々あるだろう。作家はおそらく調べて書いてるのだろう。科学のプロでもジャンルが多岐に渡ってて他人の庭の知識は知らない事多すぎるから。
似非SFだと言ってるのは肯定と批判の2つが混じってるから。面白さは認めるけど、だからSFが廃れたんだと馬鹿にするような気持ちがある。今の時代を軸にして展開するSF作品が作れないから軸と成る時代を過去に戻す。これは手抜きだ。ただその否定的な気持ちで見えなくなっていたけど、なろう現代知識無双は劣るSFの楽しみとして十分に楽しめるものだと言える。