手を伸ばせる距離なのに、彼女の気持ちが判らなくて、後一歩が踏み出せない。
目元に口付けて「だいすきっ」と言ったのは隣に住む四歳の女の子。
笑うとソバカスが散った頬にエクボが出来る、大きな目がキュートな。
大丈夫、僕はその時五歳だった。トキメいても犯罪じゃない。
吃驚して突き飛ばしたのも、泣かせて「ダイキライ~!」と言われたのもご愛嬌……。
「シンヤ~! 早く出ないと遅刻するよ~!」
高校になっても毎朝一緒に登校する彼女はもうソバカスは無いが、あの大きな目に今、もっとドギマギしてる。