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序章―完璧だったはずなのに―
自分の欠点のせいで好きな人に嫌われたくない。
まとめて言えば好きな人に嫌われたくない。
これって皆が抱く感情だよね。
過去に友達があった例を出すとつまりこうだ。
付き合っていた彼氏に自分の字が汚いことを知られ、別れる羽目になってしまった。
私はこんな目にあいたくない。
だから、勉強、スポーツに性格。
さまざまなことを完璧にしてきた。
なのに、私の好きな人は家事重視って言っていたんだ。
よりによって私の一番嫌いで、できない家事を。
「日文ー。コレもお願い。」
母が私に洗濯された服が入ったかごを渡してくる。
たぶん、干して来いという意味だと思う。
面倒くさいなぁ。
もちろんこんなことが楽なはずが無い。
ため息をつきながら、私は階段を歩く。
「終わったら此処のもよろしくねー。有言実行。」
「はーい。」
有言実行というのは、昨日私が家事を頑張るといってしまったからである。
もう一度言います。
本当に面倒くさいです。
やっとの思いで、ベランダの前まで歩いてきた。
「干すか。」
箱に山済みになっているハンガーを手に取り、一着一着服にかけて干していく。
「完璧ってどこまでよ・・・・。」