魔女と魔法使い
【ルーナ視点】
気がつくと、そこは何処までも続く真っ白い空間だった。
(ここは…何処だろう。)
少し歩いてみるが、視界全てが真っ白で景色が変わらないので、どこに進んでいるのか分からない。
どうしようかと途方に暮れていると、後ろの方から聞き覚えのある声が聞こえた。
「ルーナ久しぶりだね。ここで何をしているの?」
(あぁ、懐かしい声だ…。)
いつも優しく見守ってくれて、どんな時にも頭を撫でて褒めて、慰めてくれた人。
「…っ、ルド!ルド!会いたかった!会いたかったよ!」
私が振り向くと笑顔のルドがいて、私は嬉しくて、思わずルドに抱きついて、声を上げて泣いた。
「おっと、ハハッ。ルーナはいつまで経っても泣き虫な女の子だな。ほら、泣かないでルーナ。言っただろ、ルーナには、笑顔が一番似合うんだから、笑顔を見せてルーナ。」
ルドの声に、別れの時の言葉を思い出す。
「ずっと、会いたかったよ。ルドが居なくなって、私ずっと頑張ったの。ラピスにも助けてもらって、3年前には弟子も出来たの。負けないように、笑顔を忘れずに頑張ったの」
あの頃と変わらない優しい表情。
「頑張ったねルーナ。さすが僕の一番弟子だ。」
あの頃と変わらない優しく大きな手で、頭を撫でてくれる。とても大好きな瞬間。
「ルドは、ここで何をしているの?これからは一緒に居られるの?」
ルドが逃げないように、私は、ルドの左手をギュッと握りしめる。
それを見て、苦笑するルドが、首を横に振る。
「一緒に居られたら幸せだろうね。でもね、僕はルーナと一緒にはいられない。ここは、ルーナが居るべき場所じゃないだろう。」
もう一度ギュッと、ルドの手を強く握る。離れたくないと気持ちを込める。
「ルーナがここに来たってことは、一応、全て終わったってことかな。ルーナありがとう。全て壊して解放してくれて。」
「全て壊して解放?どういうこと?私は何もしてないよ」
ルドの言っている意味が分からなくて、聞き返すと、ルドは私の胸の辺りを指差して言った。
「ルーナと結界の魔法陣との繋がりが切れているよ。きっと、ルーナの大切な人がルーナを守るために頑張ってくたんだね。その人の所に帰らなくてもいいの?」
私の大切な人…?
「ここは、生の世界と死の世界の狭間みたいなところなんだよ。僕は、ちょっと力を使いすぎちゃったから、まぁ休憩中みたいな感じかな。でも、ルーナは、大切な人の所へ帰らないといけないだろ。」
大切な……そう…だ。
「そうだ。レント…、レントの所に帰らなきゃ。約束したの。ずっと一緒にいるって、隣にいるって…約束した。私レントの所に帰らなきゃ」
ルドが嬉しそうに笑った。
「ルーナが大切な人と幸せになるのは、僕の願いだからね。」
ルドが、もう一度頭を撫でてくれる。
「最後に一ついいかい?」
ルドが、私の瞳の奥を、愛おしそうに見つめる。
「ルーナの中にいる、リアを僕の所に残していってくれる?繋がりが切れた今なら、リアも解放されたよね?」
ルドがそう言うと、私の中から光の塊がポウッと現れた。
そして、ルドの手のひらに近づくと、球体だったそれが、突然トゲトゲになり、ルドの手のひらをプスプス刺した。
驚いた私と痛いと言いながらも嬉しそうに笑うルド。
「ちょっと痛いよリア。あぁ、リア呼びしたのを怒ってるの?僕まだ許されてないのか。僕、結構、頑張ったと思うんだけどな。厳しいな。」
ルドのこんな笑顔は見たことないかも。とても愛おしそうに大事そうに光の塊を抱き寄せる。きっと、ルドの大切な人なんだね。
「リア、やっと、迎えに来たよ。遅くなってごめんね。こんな僕だけど、一緒に側にいてくれる?」
光の塊が一瞬強く光る。まるで喜んでいるように、優しく波打ってルドの手のひらで光り輝いている。
「ありがとうルーナ。そろそろ戻らないとルーナの大切な人や、ラピスも心配しているよ」
私は、最後にルドを抱きしめる。
光の塊が、私の頬にまるでキスをするようにそっと、触れた。
「彼女もありがとうって言っているよ。ルーナ、きっと、幸せになって…、ルーナがいつも笑顔でいられるよう祈っているよ。ありがとう。さようなら。ルーナ大好きだよ。」
ルドの姿が、少しずつ消えていく。目の前が暗くなっていく。
最後のあの日、ルドは私に''ごめんね''って言って別れた。悲しくて寂しくて、辛かった記憶。
でも、今は''ありがとう''に変わって、最後の記憶が幸せな記憶に変わった。
ルド、私こそありがとう。私を弟子にしてくれて、大切にしてくれて、ルドとの3年間は私にとって幸せな時間だったよ。
ルドとの時間があったから、私はラピスにも会えたし、レントという大切で、かけがえのない人に出会うことが出来たの。
私は、きっと、幸せになるよ。だって最強魔法使いルドの一番弟子だからね。
だから、見ていてね。ルド。
次で最後の予定です。ぜひ、最後までよろしくお願いします。




