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「ごめんね」のその先は   <魔女と弟子の最後の時の過ごし方>            作者: 文月みい


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弟子と水龍

 俺とラピス、それに精霊達で神殿の入り口までやって来た。

 しかし、また目に見えない何かに阻まれて扉に触れることが出来ない。


(そういえば、ルーナが光る膜が見えるっていってたな)


 以前は、光る膜に触れても何も起きなかったが、今は、その膜が神殿を守るように覆っているようだ。


「何か中に入る方法を見つけないと…」


 俺が、そう言って周囲を見回すと、頭に乗っている精霊が、コツコツと嘴でつつく。


「燃やしちゃえば?この神殿は邪魔だから燃やしちゃえばいいんだよぉ。」


「そうだねぇ。魔法陣を守るように建っているけど、無い方がいいねぇ」


「壊しちゃって、壊しちゃってぇ」


 燃やすなんて過激な方法に驚くが、中にはルーナがいるんだから、そんな危ない方法は取れない。

 それを伝えると、精霊達は、不思議そうな顔をする。


「ルーナは守られてるから大丈夫よぉ。」


「魔法陣の呪いを解いたときにぃ、黒い人が、少しだけ書き換えていたもの。」


「これも、ホケンよ。ホケン~。それよりも、神殿は要らないものだから消さなきゃ。」


 俺の魔法を使えばいけるのか…。でも、本当にいいのか。ルーナに影響はないのか。

 それに、ルナリアさんの記録も一緒に燃えて無くなってしまうんじゃないのか。


「壊さない以外で方法はないのか?燃やしたら、ルナリアさんの記録も無くなってしまう。そしたら、ルーナが悲しむかもしれない。」


 俺の言葉に、ラピスが驚いてこちらを見た。


「ルナリアの記録?ルナリアの記録が残っているのか?ここに?」


 そうか、ルーナは、ラピスに隠していたから知らなかったんだな。

 ラピスは、ルナリアさんのことを知っていたのか…。


「俺は隠し部屋が見えなかったから、実際には見ていない。でも、ルーナがルナリアさんの記録を読んでいた。それで、魔法陣のことも調べていたんだ。」


 ラピスの顔が、少し寂しそうに見えたが、何かを決心したように、俺に向かって言った。


「レント、神殿を燃やせ。精霊達の言う通り神殿が邪魔だ。これは、元々あったものじゃない。だから、壊しても大丈夫だ。ルドが言ってたなら、壊すことが正解だ。」


 それでも、迷っている俺に、精霊達が早く壊せと催促する。


「壊さなきゃダメなのよ。絶ち切らなきゃダメなのよぉ」


「ルーナは、ルーナで幸せにならなきゃダメなの」


「全部を新しくするのよぉ。だから、早く壊せぇ」


 ラピスと精霊達が揃って、俺の返事を待っている。

 

 優先すべきはルーナだ。神殿を壊すことでルーナが救われるのなら、選択肢はひとつしかない。それなら俺は、それを選ぶ。


「わかった。決めたよ。神殿を壊す。本当にルーナには影響はないんだよな。」


 最後にもう一度、精霊達に確認する。


「ルーナは、守られるから大丈夫よぉ」


「思い切りやっちゃって。」


「いけぇ、ルーナの為にぃぃ」


 精霊達の声を聞いて、俺は持てる力を発揮して、魔法を使った。


「ひゃっはぁぁ、すごぉ~い」


「あなた結構やるわねぇ」


「全部無くなっちゃったねぇ」


 あんなに守られて、俺達が触れることも出来なかった神殿が、嘘のようにあっという間に燃え尽きた。


「こんな簡単に燃え尽きるなんて…」


 俺が放心していると、精霊が笑って、何故か威張っている。


「それはそうよ。光以外がいいんだから。」


「光はねぇ、そのまま中に入っちゃうの」


「だから、光以外じゃないとダメよぉ」


 神殿だけが燃え、ちょうど中央に魔法陣が見える。魔法陣は、金色に光り輝いてその中にルーナが横たわっていた。


「ルーナ!よかった。ルーナは無事だ。傷ひとつついてない。はぁ、よかった。」


 神殿が、あっという間に燃え尽きたので、ルーナが無事なのか不安だったが、精霊が言うように、魔法陣に守られているみたいだ。


「ここからだ。俺は魔法陣の中に入れなかった。まさか、さっきみたいな乱暴なやり方ではルーナは無事に救えないだろう。」


 ラピスも難しい顔をして考え込んでいる。その時、肩に止まった精霊が俺の頬をつついた。


「光はね入れるよ。」


「あなたのそれ、光の魔法石でしょ。その魔力であなたの周りを覆ってあげる。そしたら入れるよぉ」


 それは、ルーナから貰ったペンダントだった。''光は入れる''とは、光属性の魔力や魔法が入れる、吸収されるってことなのか?


「でもね、出る時は光以外じゃなきゃダメよぉ。だから、ルーナは、あなたの魔力で包んであげて。簡単だから、その魔法も教えてあげる」


 俺があげたペンダント。それがあれば、魔法陣を出る間は、ルーナを守ってくれる。

 その時、ラピスが口を開いた。


「ルーナが魔法陣から出たら、俺が預かる。今までルーナの時間を犠牲にして結界を維持してきたんだ、魔法陣から出たら命が持たないかもしれない。俺がルドから預かったこれで、命を繋ぐ。」


 ラピスが、黒水晶のような物を取り出し見せた。


「それじゃあ、俺が中に入って、ルーナをそのまま外に連れ出す。そしたら、ラピスにルーナを託す。これでいい?」


 これからの手順を話すと、精霊達がひとつ訂正した。


「ルーナだけ出してぇ。あなたはそのまま魔法陣を壊すのよぉ」


「光を纏ったままなら、たぶんあなたは無事に魔法陣を壊せると思う。たぶんねぇ」


「光では壊せなくても、他の魔法なら一瞬で壊せるからね。また、やっちゃってぇ」


 簡単に壊せる…か。その後の事を考えると、恐くて動きが一瞬止まるが、今は信じてやるしかない。


 俺は、精霊に魔力の纏い方を教わって、そのまま、自分自身もルーナの魔力を全身に纏う。


(なんだか、ルーナに守られてるみたいだな)


 そのまま、魔法陣に触れると、ゆっくりと手が中に入った。何か引っ張られるような、きゅっと締め付けられるような感覚がするが、そのまま体も難なく入り、無事に結界の中に入ることができた。


 ルーナに近寄ると、さっき教えてもらった魔法を使って、火属性の魔力でルーナを包む。

 俺は、そのままルーナを抱き上げた。全身の力が抜けていて、顔色も青白く見え生きてるのか不安になる。

 そのまま急いで、結界に触れるとルーナの体は外に出ることが出来た。


「ラピスあとは、よろしく。」


「ああ、任せろ」


 俺は、ラピスにルーナを任せて、全員が魔法陣から離れたのを確認して、陣に向かって魔法を放った。


 赤い炎が立ち上がり、少し魔法陣にヒビが入る。もう一度、魔法を放つ。

 

 ピキピキと音がして、魔法陣が炎に包まれる。特大の魔法をもう一発放つと、魔法陣は大きな音と共に破壊され消えていく。


 その時、外の世界では、国を守る結界が端から少しずつ消え去り、数千年ぶりに国境から結界が全て消えた。


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