弟子と水龍
ここからは、主にレント視点になります。
【レント視点】
ルーナが光り輝いて、眩しくて思わず目を閉じた。次に目を開くと…、そこは神殿の中ではなく、知らない場所だった。
(どこだここは?)
辺りを見回すと、どこかに続く整備された道が見えた。そして、反対側には森が見える。森に近づこうとすると見えない壁に阻まれ前に進めない。
(まさか、森の結界から外に出されたのか…?どうしてこんなことが…。)
本当なら代替わりして、ルーナが外に出るはずだった。でも、変わりにルーナが残って俺が外に弾かれたらしい。
考えられるとしたら、ルーナが魔法陣に何かして、俺の身代わりになったのか。
何か悩んでるとは思ってたけど、まさか身代わりになるなんて、思いもしなかった。
解決策が見つからないからって、こんな結果俺は望んでない。
早く中に戻らなければ。でも、どうやって?
「…そうだ、ラピス。この状況をラピスは気づいてるのか…」
ラピスなら、ルーナに何かあれば動くはず。俺の気配も森になければ異変には気づくだろうから、まずは、神殿の近くへ移動してみるか。
俺は、見えない壁に沿って森の周りを歩いて回った。どうにか中に入れないか試してもみたが、結界は強固で壊すことも出来ない。
随分と歩いて、やっと神殿が見える位置まで移動してきた。飛ばされた場所は神殿とは反対側だったらしく、思った以上に時間がかかった。
(ルーナは大丈夫だろうか。)
ここからは、神殿が少し見えるだけで、当たり前だが中の様子は確認できない。
気持ちだけが焦って、何も出来ない自分の不甲斐なさに嫌気がさす。
大切な人の近くにいて守りたいのに、何も出来ないどころか、その大切な人に守られるなんて、男としてどうなんだ…。
ルーナは最後に''大好きだよ''と言ってくれたが、それは、どういう意味だったんだろう。
弟子として?弟みたいな家族みたいな気持ちか?それとも…俺と同じ気持ち?
このままじゃ終われない。ルーナを助けることは第一だが、もう一度ちゃんと聞きたい。俺の気持ちもまだ伝えてないし、ルーナに会ってちゃんと俺の気持ちを伝えたい。絶対に諦めることなんてできない。
何とかラピスに気づいて貰えれば、森の中に入る手段が分かるかもしれない。
(ラピス頼むから俺に気づいてくれ)
俺は、ラピスに気づいて貰うため、結界に向かって連続して攻撃魔法を放った。神殿の近くに居れば、俺の魔法に気づくはずだ。
「おい!お前!レント!何で外にいるんだ!ルーナはどうした!」
やった、気づいてくれた。
「ラピス頼む!森の中に戻りたいんだ。どうにか出来ないか!」
ラピスは俺を見ると、眉間に皺を寄せ、考える様子を見せると、溜め息を吐きながら不機嫌そうに俺を見る。
「そういうことか…。本当にルドといい、アイツらは自己犠牲が過ぎるぞ。ルーナのヤツあれ程言ったのに、何も理解してないな。」
ラピスは結界に触れるが、案の定、弾かれてしまい森から出ることは出来ない。
「レントちょっと離れていろ」
俺は慌ててその場から離れる。ラピスは、それを見ると、直ぐさま特大の攻撃を結界に放った。直撃したら即死だろう威力の攻撃だが、結界には無意味だった。
「はぁ、やっぱり無理か。おい、レントお前はどうやって外に出た。ルーナはどこにいる?」
ラピスがイライラしながら、こちらに向き直る。これは、めちゃくちゃ怒ってるな。
俺は朝の出来事をラピスに話した。ラピスは最後まで話を聞き終わると、そのまま考え込む。
「ルドは、どこまで予想していた…?全て終わるまではアレを渡すなって事は、こうなることも予想していたのか…。なら何かルーナを救う方法があるはず…」
小さくブツブツと何か呟きながら、考えていたが、ラピスは真剣な顔でじっーと俺を見る。
「レントお前…何か特別な…その…何て言うか…、あ…愛の…愛の魔法的な何か使えるように…なってたり…しないか?」
一瞬何を言われたのか分からなかった。ラピスは何て言った?ラピスの口から、愛の魔法とか言葉が聞こえたような…えっ?聞き間違い…だよな。
「…ごめん、ラピス。ちょっと、分からなかった。もう一度言ってくれるか?」
聞き返す俺に、顔を真っ赤にして怒ったラピスが、さらに大きな声で怒鳴ってきた。
「何度も言えるか!!いや、普通に考えてあんな恥ずかしい意味の分からん魔法あるわけないだろう。ルドの事があるから、俺の思考もおかしくなっていたんだ。レント、さっきの事は今すぐ忘れろ。」
ルーナのことでラピスも混乱してるんだな。今は、そう言うことにしておこう。
何やら混乱中のラピスは、結界の中に入る方法は知らないようだ。ラピスの攻撃でも壊れない結界なんて、何をやってもダメじゃないか。
(一体どうしたらいいんだ。)
こうしている間にも、ルーナが一人で結界を維持しているんだ。本当なら俺の役目だったはずなのに、早く彼女のところに行きたい。
そう思った時だった。
「あれぇ~。見たことある子がいるよ。何してるのぉ~。」
今この状況を解決してくれる、予想外の救世主が現れた。




