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「ごめんね」のその先は   <魔女と弟子の最後の時の過ごし方>            作者: 文月みい


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魔女と弟子 《最後の日》

 今日は、レントの17歳の誕生日。


 あっという間の3年間だったな。彼は、出会った頃は、あんなに反発してたのに、今では近くに居て当たり前で、隣に居ないと何だか寂しくて、私の大切で大好きな人だ。


 私は、誕生日が悲しい日になるのは嫌で、なるべく悲しいことは考えないようにしていた。


 最後の日だから、楽しい思い出を残したい。




「レント17歳の誕生日おめでとう!」


「おめでとう!」


「ありがとう。二人とも」


 今日は、朝から誕生日の準備に大忙しだった。いつものように、ラピスにお願いして、レントを連れ出してもらい、飾りつけから料理まで準備する。得意のアップルパイが誕生日ケーキなのは変わらずで、凝った料理は…無理なので、サンドイッチなのも一緒。ギリギリ私が準備できるおもてなし料理です。レントは、それを嬉しそうに食べてくれる。


「こっちに来てから、誕生日は毎年これだから、アップルパイとサンドイッチを食べないと誕生日が来たって気がしないんだよな。」


 ラピスも、最初は嫌がってたけど、これなら食べられると満足そうだ。


 今年も変わらず喜んでくれてよかったな。


「レント、これは私とラピスからのプレゼントだよ。」


「ありがとう。まさか、この花は神殿のところの花?」


 まだ、花が咲いてる間に、魔法をかけて枯れないよう保存していたものだ。ラピスに相談して、ルドが咲かせてくれた花のように永遠に残る物をあげたかった。


「神殿の花畑がお気に入りって言ってたから、そこの花で作った永遠に枯れないブーケだよ。気に入ってくれたら嬉しいな。」


 神殿の花畑は、季節によって枯れちゃうけど、この花はずっと同じだから、レントが寂しくないように側に置いて欲しかった。


「ありがとう。すごく嬉しい。大事にする。」


 それからは、三人で食事をしながら楽しい時間を過ごした。


 誰も別れの話しはしない。これで、最後なんて考えられないくらい、普段と変わらない日がそこにはあった。

 

 だから、私も何も言わない。何も考えない。



♢♢♢♢♢♢♢


 

 翌日、普段通りの時間に目が覚める。いつもなら、そのまま一階に下りて、レントの作った朝食を食べて、今日の予定を報告する。


 でも、今日は…、身支度を整えると、そのまま転移魔法で神殿へ飛んだ。


 神殿の中には、青白く輝く魔法陣が見える。

私は、ゆっくりと魔法陣に近づいていく。


 ふぅ…と、息を吐く。魔法陣に触れようと手を伸ばした。


「ルーナ!何をしてる!」


 あぁ、今一番聞きたくない声が聞こえる。


「どうして、来たの?」


 決心が鈍るから、黙って出てきたのに、どうしてわかっちゃうの。


「ルーナが何か隠してるのは知ってる。何か悩んでたのも。だから、ルーナのことは気をつけてたんだ。転移魔法を使ったのも気配で直ぐに分かる。一体何をしてるんだ。」


 バレないように最後の1ヶ月は気をつけてたのにな。


「こっち来ないで。私はもう決めたから、この連鎖を断ち切る為に、こうするしかないの」


 あぁ、レントの顔が悲痛に歪む。こんな顔させたくなかったのにな。


「これからも、二人で、隣で一緒に居るんじゃなかったのか!離れないんじゃなかったのか!ルーナ!」


 レントが私を引き留めようと、走り寄ってくる。

 

 そして、レントが手を伸ばした瞬間、私はそのまま一歩後ろに下がり、魔法陣の中に入った。


「…っ、ルーナ!嘘だろう!待って!どうして…」


 私に触れようと手を伸ばすが、レントの手は、魔法陣の周りで弾かれて届かなかった。


「これが一番いいんだよ。これで、全部が終わるの。あとは、レントに全て任せてしまうけど、ごめんね。信じてるよ。」


 私は、魔法陣の中央に立ち、光の魔力を流し込む。


「レント大好きだよ。ごめんね…あとは…」


 そのまま、私の体は光に包まれて、そこで意識が途切れた。



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