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「ごめんね」のその先は   <魔女と弟子の最後の時の過ごし方>            作者: 文月みい


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魔女と弟子 《最後の一年》

 ラピスと話した後から、私は、変わらず普段通り過ごした。


 一人になると、これからの事を考えて、心は沈んでいくが、二人の前では笑顔でいるように頑張った。

 

 あの日、ラピスと何を話したのかレントには伝えていない。レントに心配をかけたくない。

 それに、私は、レントに代わりを押し付けていくのだから、今は罪悪感でいっぱいだった。


 今までの魔法使い達も、みんなこんな気持ちだった?

 

 考えれば考える程、心はぐちゃぐちゃで、何がしたかったのか自分でもわからなかった。



♢♢♢♢♢♢


「はぁ、眠れない」


 眠れず、ベットから起き上がる。窓の外には綺麗な星空が広がっていた。


「眠れないし、少し庭に出てみようかな」


 少し夜風に当たりたくて外に出てみる。


「うわぁ…きれい」


 見上げると、空いっぱいに星が広がり、キラキラと輝いてどこまでも続いている。

 まるで星空に吸い込まれてしまいそうな感覚に、手を伸ばすと、「ルーナ」と名前を呼ばれる。


「どうしたんだ?眠れないのか?」


 レントが心配そうな顔で私を見つめていた。


「少し目が覚めちゃって、星が綺麗だったから庭に出てみたの。レントも眠れないの?」


「俺も眠れなくて、外を見てたらルーナの姿が見えたから。」


 レントが、冷えるからと上着を掛けてくれた。二人でしばらく星空を見ていた。


「そうだ。ちょっと俺に付き合ってくれる?」


 レントは、そういうと、私の手を掴んで、そのまま転移魔法を使った。

 

 一瞬で視界が変わる。目の前には、神殿の花畑が広がっていた。


「あの日から、ここが俺のお気に入りの場所なんだ。どこまでも続く花々を見てると、悩みなんて馬鹿らしくなって、全部忘れられるんだ」


 隣を見ると、レントも私を見ていた。


「最近のルーナ元気がないから、気になっていたんだ。俺では頼りないと思うけど……そうだな、今みたいに一緒に散歩に付き合ったりは出来るよ。あと、美味しいもの作れるし…それから…」


 自分に出来ることを、一つ一つ挙げながら、真剣に考えるレントに、何だか可笑しくて笑ってしまった。


「美味しいもので元気になるって、それって私が食いしん坊みたいじゃない。」


「あれ?違った?」


「うぅぅ、違うって言いたいけど、違わない。」


 それから、二人で一緒にたくさん笑った。


「ルーナは、そのままでいいよ。たまに思いも寄らない事をしたり、無茶をしちゃうけど、俺が隣にいるから。ルーナがいつでも笑顔でいられるように…近くにいる。一人では無理でも一緒になら、出来ることもあるだろう?」


 最近よく見る優しい眼差し。


 (あぁ、やっぱり…好き…だな)


 好きって気持ちが、ストンと心に落ちた。


 今まで、考えないようにしていた。気づいたら駄目だと思っていた。ルドやラピスの好きとは違う。レントの言葉に視線に仕草に一つ一つにドキドキして、胸が苦しくて……愛おしい。


 (私は、レントと離れたくないんだ。これからも、一緒に居たい。だから、諦めたくなかったんだ。)


 私も、ずっとレントと一緒に隣で笑っていたい。レントにも隣で笑っていて欲しい。レントにも幸せになって欲しい。

 

 そのために、諦めたくない。


「ありがとうレント。私、最後まで頑張ってみる。だから、ずっと隣にいてくれる?」


「もちろん。」


 ラピスは、私に幸せになって欲しいと言ったけど、私の幸せは、レントじゃないと叶えられない。


(もう一度、書庫と神殿を調べてみよう。)


 残りの時間は、そう多くない。それでも、レントとのこれからの為に、今出来ることをやる。


 


 

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