魔女と弟子 《最後の一年》
鏡を見ると、直ぐに目に入るお揃いのペンダント。レントの瞳と同じ赤色の魔法石は、キラキラ輝いて、とても綺麗。
これは私の一番の宝物になった。
レントが誕生日プレゼントに、お揃いのペンダントが欲しいって言った時には驚いたけど、正直言うと嬉しかった。
初めは、あんなに私のことを嫌ってたのに、お揃いの物まで持ちたいと思う程、仲良くなってたなんて感激だ。
お揃いなのは、少し恥ずかしいけれど、レントが喜んでくれるなら私も嬉しい。
やっぱり、毎日行動を一緒にしてると、連帯感?みたいな、何かが芽生えるのかもしれない。
ラピスにこの話をしたら、信じられないという顔で私を見ていたが、「ルーナは変わらずそのままでいい」と言われた。
なんか、バカにされたように感じるのは気のせいかしら。
♢♢♢♢♢♢♢
「レント今日は少し離れたところに採取に行くから、お弁当持っていこうよ。」
「いいけど、それじゃあ準備するから待ってて」
「畑見てくるから、ゆっくりでいいよ。久しぶりのお弁当楽しみだな。」
料理はレントに任せて、私は庭の畑の手入れをする為に、外に出た。
畑に行くと、いつもの鳥さん達が薬草を引っ張って遊んでいる。
「鳥さん達だめよ。そんなことしたら薬草が枯れちゃうから、他の…あっ!あれなら雑草だから引っ張って遊んでもいいよ」
私が雑草を指さすと、違うと首を横に振る。
「ルーナ違うの。遊んでたら夢中になっちゃって、ボクの仲間が家の壁に激突したの。」
「そうなの。それで怪我をして消えちゃいそうなの。この草で怪我治るんでしょ。だから、草ちょうだい。」
''消えちゃいそう''って、大怪我して意識がないとか?
「それだけでは怪我は治せないよ。私なら魔法で治せるから、お友達のところに案内して!」
急いで向かうと、1羽の鳥が地面でぐったりして倒れている。でも、何か、おかしい。鳥の姿が少し…透けてる?
「ルーナ、こっちだよ。わぁ!消えちゃいそう」
「あぁ!大変だ。ルーナお願い。助けてあげて」
私は直ぐに治癒魔法をかけた。すると、消えそうだった鳥がハッキリした姿に戻り、目を開けた。
(よかった。目を開けた)
私は安堵して、ゆっくり鳥を地面に降ろした。「ピチチッ」と鳴いて小さな羽を広げる。
「助かった。よかった。ありがとうルーナ」
「ほら、あなたもよ。ルーナが助けてくれたのよ。お礼を言いなさいよ」
元気になった鳥さんが、私に向かって小さくお辞儀する。
「ありがとうルーナ。ボクを助けてくれて。もう駄目かと思ったよ。はぁ、よかった。」
そんな風にみんなで話していると、庭の方からレントが走ってくるのが見えた。
「ルーナ!畑に居ないから心配した。どうした?何かあったのか?」
息を切らして駆け寄って来たレントは、私を見つけると、はぁと息を大きく吐き、呼吸を整えてから、私と鳥さん達を交互に見ている。
「畑に行ったら、鳥さんが怪我をしてるって聞いて、急いで治してたところだよ。もう元気になったから大丈夫。」
鳥さん達もレントに「ルーナのおかげなんだよ」と報告している。
「…はっ?鳥…さん?」
驚いた顔のレントに、目の前の鳥さん達を紹介する。
「ルーナ、ちょっと待って。その…鳥さん?は、鳥じゃなくて、何か他の…例えば…精霊の類いじゃないか。」
「えっ?精霊?」
レントに言われて、私が鳥さん達に目を向けると、みんなで頷いている。
「そうだよ。ボクたち精霊だよ!」
「風の精霊なの。言ってなかった?」
えっ!聞いたことないよ。それなら初めて会った時に言っといて欲しかったな。
変だなとは思ったけど、魔法使いは、動物とも話せるようになるんだと思ってたよ。
あぁ…だから、さっき透けて見えたの?自分の目がおかしいのかと思ったよ。
「ルーナは、知らなかったのか?鳥が話してる時点でおかしいのに?鳥だと信じて……。プッ…フフ…アハハハ」
レントがお腹を抱えて笑ってる。こんなに笑うレントは滅多に見られない。
普通に恥ずかしい。確かに、鳥が話すなんて有り得ないから、冷静に考えたら鳥じゃないって気づくかも。
「レント!笑いすぎだから!魔法使いだから、話せると思ったんだよ。まさか精霊だなんて」
精霊は高位の存在だから、そんな簡単に姿を見せない。だから、精霊なんて思いもしなかったのに、こんなに普通に近くにいるものなの。
「アハハ…ごめんごめん。フッ…ハハ、やっぱりルーナだな。」
本当に笑いすぎ。笑顔になるのは良いことだけど、この笑いは何か違う。
少しムッとして、レントを見ると、深呼吸して笑いを抑えている。
「それで、鳥さん達は、みんな風の精霊なの?」
レントは放っておいて、鳥さん達に聞いてみる。
「そうだよ。ボクたち風の精霊なの。よろしくね」
本当なんだ。私、よく指示して外の様子を確認してもらってたんだけど、これって大丈夫なの…。
「あの、精霊って知らなくて、いつも外の様子を見てきてもらってごめんなさい」
高位の存在に何て事をお願いしてたのか、申し訳なくて謝ると、精霊達はクスクス笑って私の肩に止まって言った。
「ルーナは友達だからいいんだよ」
「そうだよ。ルーナは友達だもん。お願い何でも聞くよ。だから、また遊んでね」
よかった。友達って言ってもらえた。これからも、友達で居てくれるようで安心した。
「ボクも助けてもらったから、ルーナに秘密教えるね。えーとね。ルーナと同じ光がね、あっちにあるんだよ」
精霊が羽を広げて、森の中を示した。
(私と同じ光?)
「あっちにあるって、どこの方?」
「うんとね。白いちっちゃい建物。前はね黒いのと光がね、混ぜこぜだったけど、今はね少しだけどね、光だけなの。ルーナと一緒だよ」
白い建物は…神殿のことかな。黒と光ってなんの事だろう。
「じゃあ、ボクたちもう行くね、」
「またねルーナ」
もう少し詳しく聞きたかったけど、精霊達は、そのまま帰ってしまった。
「神殿の光?って、何のことだ?ルーナは何か聞いてる?」
精霊の言葉を聞いて、レントも気になったらしく、真面目な顔で私に聞いてきた。
「私も知らないの。ルドもラピスからも聞いたことない。」
私と同じ光って光魔法の事なのかな。神殿と関係あるなら、結界の魔法とも関係があるかもしれない。
(ラピスに聞いても教えてくれないかも。まずは、自分で調べてみよう)
レントと話して、まずは明日、神殿へ向かい中を調べてみることにした。




