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「ごめんね」のその先は   <魔女と弟子の最後の時の過ごし方>            作者: 文月みい


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弟子と魔女

【レント視点】


 俺が、ラピスに初めて魔法を教わった日、ラピスは俺に言った。


「お前は、3年後に結界の魔法使いになる。そしたらルーナは、役目を終えてこの森を出て行くことになる。だから、勘違いするなよ。」


 結局、そう言うことだ。俺はただの代わりで、自分が解放されるために必要な身代わり。


 あの時の、嬉しそうな顔も、優しい眼差しや声も、全部魔女自身が自由になる前提のものだ。

 俺自身に向けられているものじゃない。


''勘違いするなよ''なんて、いちいち言わなくても、分かっている。


 今までもそうだっただろ。魔力を持ってることで利用してくる大人は沢山いたし、実の父親にだって売られる子供だ。利用価値があるから、傍に置くし、優しくするんだ。

 今までと、変わらないだろ…。

 

 3年後に出ていくなら、別に関わらなければいい。魔女のことも、別に相手にしなければいいだけだ。


 そう思っていたのに、あれから毎日のように俺を見つけると、魔女は嬉しそうに話しかけてくる。

 どんなに無視しても、冷たい返しにも変わらず話しかけてくる。だんだん、腹が立ってきた。ただの身代わりに、そんな顔向けるな!


 そんな時に、またお茶になんて誘うから、我慢できずに、酷いことを言ってしまった。

 

 魔女の泣きそうな顔を見て、その場にいられず、すぐに部屋を出た。

 投げつけた言葉に後悔した。あの時の魔女の顔を思い出すと、胸がズキズキ傷んだ。


 それから、魔女は俺に話しかけなくなった。顔を合わせることも減った。

 

 自分から突き放したくせに、話しかけられないと寂しく感じるなんて、勝手だな。



 「レントお前、ルーナと何かあったのか?」


 俺たちの態度に違和感を感じたラピスが、その日俺に問いかけてきた。


 正直、ラピスに話すのは遠慮したかったが、結局、しつこく聞いてくるラピスに全て話した。


 その瞬間、ラピスから物凄い怒りが伝わってきた。


(ヤバい。俺死ぬ…)


 咄嗟に防御の魔法を使ったが、ラピスの攻撃に耐えきれず、勢いよく後ろに吹っ飛んだ。


「勘違いするなとは言ったが、ルーナの気持ちを踏みにじるヤツは許さん。しかも、ルーナを泣かせるなんて、絶対にゆるさん」


 何とか、防御に反撃にと、ラピスに対抗するも、人外に勝てるわけもなく、俺は途中で意識を失った。


 目覚めると見知った天井と、泣いている魔女の姿が目に入った。


 泣いてる魔女を見たくなくて、魔女の頬に手を伸ばす。


 魔女は、心配したことや、無事でよかったこと、俺が生きてるのが嬉しいと、余計に泣き出した。

 そんなこと言われたのは初めてで、何だか恥ずかしくなって、手を離したら、魔女に両手で掴まれた。ギュッと手に力が込められる。


 そして、謝る俺に、一緒にいたいと言ってくれた。魔女は俺が大切だと言った。大切だから最後まで一緒にいたいと言ってくれた。

 それは、身代わりだからではなく、俺自身が大切ってこと…。


 全身の力が抜けて、何だか安心して、魔女の姿を見て、嬉しくて笑ったら、吃驚してこちらを見ている魔女と目が合った。


「あと2年と少し、別れの日まで私の全てで、レントを大切にしてあげるから、楽しい思い出たくさん作ろうね。」


 それって、凄い殺し文句じゃないか。

全てで大切にしてくれるなら、魔女のこと信じてみても良いかもな。


 あと2年ちょっとの付き合いでも、最後までずっと一緒にいられたら、それは、それでいいと思えた。


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