⭕ 隣の水魔法使い
◎ 読者の皆さん、御早う御座います。
ホラーとは離れてしまいましたが、水魔法を使う魔法使いに弟子入りした少年の物語に挑戦してみました。
アニメの【 水属性の魔法使い 】が切っ掛けです。
脳内でOPをリピートしながら書きました。
期待して読んでは駄目な作品です。
僕の家の隣には、水魔法の使い手が住んでいる。
雨が降らず、カンカン照りが続き、井戸が枯れてしまうと、水魔法の使い手──水魔法使いが、得意の水魔法で清潔な真水を出しては提供してくれていた。
勿論、善意ではない。
ちゃっかりと水代を取る確り者だ。
だけど、村民達は水代を取って水を提供する水魔法使いの事を「 罰当たりな奴だ 」と言っては非難して陰口を叩く。
村民達は「 助け合いの精神を持て! 」とか「 困った時は御互い様だろ! 」とか「 奉仕の心を持て! 」とか「 尊さが無い! 」とか「 金にがめつい守銭奴めっ! 」とか腹を立てては乱暴な言葉を発して野次を飛ばす。
早い話が必要な量の水を無料で提供してほしいんだ。
水魔法使いは「 それがどうした 」と言わんばかりに何処吹く風で、村民達が責め立てる度に水代を値上げするんだから、図太い神経の持ち主だ。
無料で水を提供してもらえない恨みからか、井戸の水が枯れてしまうのは、「 水魔法使いが井戸を枯らしているからじゃないのか 」とか「 魔法で雨を止めて、干魃を起こしてるんじゃないのか 」とか、とんでも無い事を発言しては水魔法使い対して不満を吐き出す村民まで居る。
水魔法使いは、そんな事を言われても知らん顔をして、悠々自適に暮らしている。
村民達が文句は言っても水魔法使い対して危害を加えないのは、水を提供してもらえなくなる事を恐れているからだ。
水魔法を使える魔法使いは稀少で、他の属性の魔法使いと比べても人数が少ない。
≪ ファルダパ大陸 ≫には水魔法使いは10人も居ない。
そう、彼女が≪ ペトマ村 ≫から出て行ったが最後──、≪ ペトマ村 ≫は水不足の為に廃れてしまう事になるんだ。
生まれ育った≪ ペトマ村 ≫から出て、旅をしながら新しい土地を探さないといけなくなるんだ。
皆、それだけは嫌だった。
だからって事もあり、水魔法使いに文句を言って責めたり、八つ当たりはしても決して危害は加えたりはしなかった。
あの日までは────。
村民の若者が水魔法使いを責めて文句を言った事により、再び水代が上がり、とうとう金貨1枚となった。
これは完全に村民側の自業自得なんだけど──、村民の若者は自分が “ 正しい ” と思っているから、水魔法使いに謝ったりはしない。
水魔法使いは何処迄も寛大だった。
だけど、とある事件が起きてしまった。
反抗的な若者達が、水魔法使いの家に、何を思ったのか放火したからだ。
メラメラ,ゴゥゴゥと勢い良く燃えていた水魔法使いの家は、水魔法使いが呼び出した水で無事に鎮火した。
反抗的な若者達は、家を無くした水魔法使いに対して謝りもしない。
「 欲張りで守銭奴のごうくつ魔法使いが悪いんだ! 当然の報いだ!! 」と言い、謝る処か文句を言う始末。
水魔法使いが小さく「 チッ 」と舌打ちをしたのが聞こえた。
「{ ≪ ペトマ村 ≫の村民は恩を仇で返す奴ばかりだな。この≪ 村 ≫は駄目だ }」
小声で呟く水魔法使いの言葉を僕は聞いてしまった。
「 あの……野宿は物騒だから……僕の家で…………夜を…………寝ませんか!? 」
「 お前は隣の坊やじゃないか 」
「 僕は1人だから──、大丈夫ですっ!! 」
「 ふむ? 子供にしては殊勝な心掛けだな。折角の誘いだ。受けてやろう 」
ニヤっと笑った水魔法使いから、上から目線で偉そうに言われた。
放火で家を無くした水魔法使いは、粗末な僕の家で一夜を過ごす事になった。
大したおもてなしが出来なくて恥ずかしかったけど、水魔法使いは気にしてないみたいだ。
翌朝になると魔法使いに連れ出されて、≪ ペトマ村 ≫が一望出来る場所へ連れて行かれた。
水魔法使いは息をするみたいに水魔法を使う。
何処からか渦巻く水の竜巻が現れて、≪ ペトマ村 ≫を襲うと流してしまった。
≪ ペトマ村 ≫が在った場所は何も無い平地に変わっていた。
「 あの……一体何を── 」
「 うん? 恩を仇で返す恩知らずな村民ばかりだったからな。壊滅させてやっただけだよ 」
「 な……なんで………… 」
「 放火がトドメだった。放火をされて迄、村民達と仲良くは暮らせない。私には無理だねぇ。坊やは幸運だぞ。身寄りの無い1人身だろう。私の弟子として世話してやるから尽くせよ 」
「 え…………弟子?? 尽くす?? 」
「 そうさ。水魔法使いの弟子なんて凄い名誉な事だぞ。私は≪ ファルダパ大陸 ≫で1番の水魔法使いだからな 」
そう言われた僕は、水魔法使いに魔法を掛けられた。
「 な……何をしたの?? 」
「 坊やには一宿一飯の恩義が有るからな。私の正式な弟子にしたのさ。これで坊やは私の所有物だ。私からは逃げれないからな。確り尽くせよ 」
「 そ…そんなぁ~~~~ 」
生まれ育った≪ ペトマ村 ≫を目の前で無くしてしまった僕は、≪ ペトマ村 ≫を壊滅させた水魔法使いの弟子にされてしまった。
≪ ファルダパ大陸 ≫で1番の水魔法使い( 自称 )を師匠として、尽くさないといけないなんて──。
悪魔の悪戯か──、大陸神の気紛れか──。
僕の人生はどうなってしまうんだろう──。
不安しかないんだけどぉ……!!
◎ 訂正しました。
責めたりも八つ当たりはしても ─→ 責めたり、八つ当たりはしても