「マニア、印象操作、消化器」
「あ、当たってる!」
何回も確認した。何回も何回も確認した。頬もつねってみた。夢じゃない!宝くじ一等賞に当たっている!これで泥沼の生活ともおさらばだ!
私は本田太郎。45歳。消化器を作る仕事をしている。一度マスコミの取材を引き受けたが、彼らの印象操作のせいで信用を失ってしまった。挙げ句の果てには消化器の中に麻薬を入れている。薬物マニアなどとなってしまった。
しかし、もうこの生活にも終止符を打てる。仕事なんてやめてやる!さて、初めに何をしよう。そうだ、ラスベガスにカジノに行こう!...
「以上で体験版、フルダイブ型人生大逆転ストーリーは終了です。完全版を購入しますか?」
男は事態を飲み込めない。
フルフェイスマスクの外側から声が聞こえる。「いらっしゃいませー。こちらの機械は一部記憶を消去してあたかも宝くじが当たったかのような体験をすることが出来まーす!興味のある方はこちらにお並び下さ〜い。」
男は思い出した。これは、夢じゃ、なかった。