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蜘蛛の糸をこの手に

作者: らいらい

幼少期頃の少年とは如何に恐ろしい者か


このころの少年にとって「命」とは?等考えることはない


踏ん付けたら潰れた


バッタの足が伸びるから引っ張たら千切れた等々数え上げればキリがないほどに


それでもまだ良かったのだアレに出会うまでは



中学生になったその少年は、本を読むのが好きになっていた


行ったことのない場所の風景を頭に描き


飲んだことのないお酒で酔っぱらいの気分を味わい


女性の真理を理解し


哲学者の考え方に、理解を・・・・は、まだ無理だったが


歴史の偉人の為人を考察したり


読めるものは手当たり次第に読みふけっていくうちに


一冊の本に出合う


宗教系の本だ


カルトっぽい物ではなく 普通の仏教系の教えみたいな本


そこに怖い事が書いてあった


人の命も、虫の命も同じだと その上で悪い事に小さいも大きいもない事


一律で悪い事は悪い事1つで積み重なり、良い事は良い事で積み重なる


そうして考えてみた時に僕は天国にはいけない事に気づいた


人は生きてるだけで様々な命を奪うからだ


トンカツを食べたとしよう、豚1頭を殺しているようなものだ


1食に付き1回良い事をする これだとプラスマイナスゼロだ


朝ハムエッグを食べる、育ち盛りなので2個の卵とハム2枚


卵2個の命と、ハムになった豚の命を食べたことになる


必然午前中に3回良い事をしないといけない


学校に行くまでに、蟻をや虫を踏み潰さないといえるだろうか


そうして給食 今日は大好きなカレーだ


牛肉が入っていたので、牛の命を奪っているようだ


そうして家に帰って、夕飯がトンカツ


小学生の頃なんかは、数えきれないほど昆虫を捕まえて虫かごに入れておいて


気が付いたらなくなっていたりもした


それじゃぁ、良い事って何かしたかを考えると


思いつかない・・・


全てにおいて、食事だとか虫とか思っちゃうから、あんまり気にならないけど


僕はバカだから、これを全て人間って仮定しちゃったんだ


しちゃったんだよな・・・


本を読みながら、思わずキラキラを吐き出してしまった


保健室に運ばれ、ベットに寝かされながら考えてみた


僕は天国に行きたい!それだけを考えていた


それでも日々の生活は過ぎていく


あぁ今日は10人食べた、30人殺した


良い事は・・・・


どうすればいい・・・


そうしてまた出会った、運命の一冊


芥川先生の「蜘蛛の糸」


な、なるほど蜘蛛を助ければ良いのか


どこかに蜘蛛がいないか探して


虫一つ捕まえていない蜘蛛の巣を見つけた


あぁ、きっとこいつはお腹を空かせて困っているのだろう


僕は、近くを飛んでいた蝶を見つけると手早く捕まえ


蜘蛛の巣にくっつけてあげた


揺れる巣に気が付いたのか、蜘蛛は素早く出て来て


蝶を素早くグルグル巻きにしていく


そんな蜘蛛を見ながら、俺の事覚えておけよ!とその場を後にした


しばらく歩いていると


あぁ・・・違う違うぞ 糸を垂らしてくれるのはお釈迦様で、蜘蛛じゃない


また一人殺してしまった事に気づいてしまう


もう、天国はあきらめようかと思ったときに、空から声が聞こえた


空を見上げれば、お釈迦様が雲の隙間から顔を出して


「その気持ちで励め」と仰ってくれた


見ていてくれたんだと嬉しい気持ちになったが


あの時のお釈迦様の顔は笑顔と言うより


苦笑いぽかったのが、今でも思い出される


解せぬ・・・

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