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風待月の瞳に、映るほたる星とアンタレスの宙

作者: 逢乃 雫

夕立の午後の


人波をかき分けて



風待月(かぜまちづき)


街並みを彩りゆく



紫陽花の


階段を登るその先に



ふと見つけた


アナベルの花は



映す瞳に


やわらかに白く



夕凪の小径に


萌えゆくサルビアの



花びらは紅く


夏へと


息吹を燈すように




銀河のほとりで


せせらぎを聴きながら



彼方から


流れくる天の川の



せせらぎに


耳を澄ませながら



夏という


ジグソーパズルを



空に少しずつ


埋めていくように



南天に浮かび上がる


さそり座の星々



夜空を紅く


焦がす星のフランベ



アンタレスは


(そら)に夏への


鼓動を響かせながら




銀河のほとりで


星のほたるを見つめながら



風待月の


夜空を舞うように



地平線の


彼方に見つめる蛍星(ほたるぼし)



やさしい光で


夏へと


こころを導くように




走りながら


瞳を流れゆく景色も



歩きながら


瞳を彩る景色も



立ち止まるとき


瞳に語りかける景色も



見上げれば


広がる空が、いつもそこに




星のほたるが空に舞う


やわらかに


あたたかに



そっと


こころを照らす


星のほたるのような



その光を


やさしさと


言うのかも知れない



星のほたるが風に舞う


いまはただ


いまはまだ



風の中に


吹かれるばかりの


青時雨にそよぐ葉のように



その葉で


浴びる陽射しを


木洩れ陽に変えていけるように




風待月の


街並みに咲きゆく



白紫陽花の


花びらは瞳にやさしく



夕凪の小径に


萌えゆくサルビアは紅く



夏への鼓動を


アンタレスのように



風待月の瞳に


星のほたるが、舞いゆく宙に






















黄道十二星座の一つ、さそり座は、6月頃から南の地平線近くの夜空に浮かび、中心には紅い星・アンタレス(ギリシャ語で「火星に対抗するもの」)が輝きます。


さそり座の尾に輝く星々は、「蛍星ほたるぼし」とも呼ばれます。6月頃が見頃とされるホタルが川辺に舞うように、天の川のほとりに浮かびます。


6月頃から咲くサルビアの花言葉は「燃える想い」です。白い紫陽花には「優美」の花言葉があり、アナベルなどの種類があります。風待月かぜまちづきは6月、青時雨あおしぐれは青葉に雨が滴る様子です。


季節の星や花をモチーフに詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
サソリ座の尾に輝く星々が蛍星と呼ばれることが、サソリのイメージとは違った優しい輝きが魅力的に思えました。 夏のジグソーパズルを、埋めるように導く蛍星のひとつひとつが 今の景色に散りばめられているように…
これから梅雨を経て巡ってくる夏に、最近はどうしても高温多湿な辛いイメージがついてしまっているのですが、逢乃様の詩の世界では、不思議と優しく爽やかな夏が訪れそうな気配がありますね。 移動する速さで、目に…
 サルビアの青いブルーサルビアをラベンダーと混同していた私は、白紫陽花も最初に見た時は土壌が中性かアルビノか等と勘違いしそうでしたが、葉の緑が薄っすら色付く柔らかな白をふわふわ浮かべる姿に、しっとりと…
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