表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

あーかい部! 5話 ネガティブ談義

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立池図女学院。

そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。


3度の飯より官能小説!池図女学院1年、赤井ひいろ!

趣味はケータイ小説、特筆事項特になし!

同じく1年、青野あさぎ!

面白そうだからなんとなく加入!同じく1年、黄山きはだ!

独り身万歳!自由を謳歌!養護教諭2年生(?)、白久澄河(しろひさすみか)


そんなうら若き乙女の干物4人は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。

池図女学院部室棟、あーかい部部室。




「ねえねえあさぎちゃん、『変身願望』ってあるよねぇ?」


「唐突だなぁ。」




学年集会から解放されてすぐの部活、きはだはちょっとハイになっていた。




「で?『何になりたいの』って聞けばいいわけ?」


「はぁ……。あさぎちゃんには失望したよ。」


「とんだ当たり屋だよ……。」


「で?で?あさぎちゃんは何に変身したいの?きはだお姉さんに言ってごらん?」


「そう来たかぁ。」


「え?なぁに?魔法少女?プリンセス?」


「あ、魔法少女いいかも。」


「マジか……。」


「言っといて引くのか。」


「魔法少女ってアレだよぉ?お仕事は救急外来だし、時間外手当なんて出ないし、変身中を抑えられたら猥褻物陳列罪だよ?」


「ブラックだな……。じゃあプリンセスは?」


「プリンセスっつったらアレだよぉ。てっぺんまで夜勤は当たり前、顧客は選べないし、職質されたら経歴詐称でしょっぴかれるよ?」


「王子様を顧客って言う人初めて見たよ……。」


「えへへ♪」


「っていうか魔法少女とプリンセスをここまでネガティブに表現できるのすごいなぁ。」


「すごいでしょ〜、さあもっと望みを言うてみい。」


「望み?」


「あ、ひいろ。」




ひいろ入室。




「何になりたいかを言うと、きはだがネガティブに変換してくれるんだよ。」


「ネガティブに?」


「見ててひいろ。……きはだ、私は海賊王になる!」


「や〜い197ヶ国出禁。」


「ね?」


「な、なるほど……。」


「ほれ、ひいろちゃんもなりたいものを言うてみい?」


「え?ワタシは……なんだろうな?」




ひいろが考え込むような仕草をすると、部室が静まり返った。


少しして、ひいろはわずかに口角を上げ願望を口にした。




「トゲアリトゲナシトゲトゲになりたいっ!」


「なにぃっ!?」


「お……?」




想定外の回答にきはだは動揺した。




「どうした?ワタシはなりたいものを言ったぞ?トゲアリトゲナシトゲトゲになりたーーいっ!」


「くっ……!」


「ふふん♪」


「あさぎちゃんパスっ!」


「ええ!?」


「さあ、来いよ……私はトゲアリトゲナシトゲトゲになるぞあさぎぃ!」


「ええっと……私は、人間のひいろの方が好きかな〜……なんて。」




・・・・・・。




「……あれ?」


「「負けた……ッ!!」」




きはだとひいろが揃って膝から崩れ落ちた。




「え?え……!?」


「……なるほど。確かに楽しいな、これ。」


「でしょでしょ〜。」


「よおし!次はきはだだ!さあ、願いを言え!」




学年集会から解放されてハイになっているのは……きはだだけではなかった。




「よおし、わたしは人間をやめるぞ!ひいろぉ!」


「何っ!?願望から否定で入られると、ネガティブにしようが……ッ!?」


「何と戦ってるの……。」


「くっ……!あさぎ、頼む!」


「とんだキラーパスだなぁ。」


「「……!」」


「欲しがるな欲しがるな。」




きはだとひいろがキラキラした目で物欲しげにこちらを見つめてくる。




「えっと、人間って……いいな?」


「「ぐわぁぁあ!?」」




回答すると2人がダメージを受けるまでがワンセット。




「ネガティブのネガティブが、ポジティブに……、


「お尻を出した子……一等……賞。ガクッ。」


「……勝っちゃったよ。」


「ま、まだだよ……!わたしは先生に、なるんだーー!」


「あら、そうなの?」




白ちゃん、入室。




「本物来ちゃったよ。」


「本人の前では、やりにくいな……。」




聞かれないようにヒソヒソする2人をよそ目に、白ちゃんは口を開いた。




「懐かしいわねぇ。私もきはだちゃんくらいの頃、楽してお金を稼げる仕事について早く自由になりたいって思ってたっけ。」


「あ、はい。そうなんですか……。」




黄昏る白ちゃんを前にきはだは日和っていた。




「そうよ?でもなったらなったで書類仕事はめちゃくちゃ多いし、香水付けないと薬品の香りがデフォになるわ、盛りのついたメスガキどもの恋愛相談所にされるわでぜんっぜん楽なんてできないし、養護教諭は楽そうで良いわぁって、周りが全人類京都人化するしで……はぁ。」


「京都への風評被害がすごいなぁ。」




※白ちゃんの感想です。




「実体験だと、私たちのとは比べ物にならない重みだな……。」




あさぎ、きはだ、ひいろの3人はお互いを見合わせて頷いた。




「白ちゃん……。」


「え?……あ!ごめんなさい。私ったら先生目指してる人の前でネガティブなこと




ひいろが白ちゃんの右腕を持って、選手の勝利を宣言するレフェリーのように高く掲げた。




「「「優勝。」」」


「……え?」




訳がわからない白ちゃんを拍手で称える3人であった……。







あーかい部!(4)




ひいろ:投稿完了だ!


白ちゃん:あ、私が優勝したやつ


あさぎ:白ちゃん先生目線だと訳わかんないですよね


きはだ:解き放たれた学生のテンションの高さを侮るでない


白ちゃん:解き放たれた?


あさぎ:学年集会やってました


白ちゃん:それで午後やたら1年生がサボりに来てた訳ね……


あさぎ:ぬかった

きはだ:その手があったか

ひいろ:羨ましい(けしからん奴らだ)


白ちゃん:おい


きはだ:でも何だかんだサボらないわたしたち良い子だよねぇ


ひいろ:違いない


あさぎ:でも将来はトゲアリトゲナシトゲトゲなんだよね


白ちゃん:何それ


ひいろ:本編を読んでくれ!


白ちゃん:了解


きはだ:はい景品表示法違反


あさぎ:読んだところで結局トゲアリトゲナシトゲトゲが何かわからないの酷いwww


ひいろ:良いことしたなあ


きはだ:良い子とは


あさぎ:白ちゃん先生来ないなぁ




白ちゃん:みんな面白そうなことやってたのね……


きはだ:来た!

ひいろ:おかえり

あさぎ:きたきた


白ちゃん:で、結局トゲアリトゲナシトゲトゲって……?


あさぎ:www

きはだ:草ァ!


ひいろ:ハムシ→トゲハムシ→トゲナシトゲトゲ→トゲアリトゲナシトゲトゲ

ひいろ: [画像を送信しました]


白ちゃん:トゲトゲだ!

あさぎ:トゲあるんだ……


きはだ:で、ひいろちゃんは今どこなの


ひいろ:?


あさぎ:トゲアリトゲナシトゲトゲになるんじゃないの?


白ちゃん:言ってたわね


ひいろ:いや、あれはきはだが知らないものを言ったら面白そうだと思って言っただけだぞ


あさぎ:じゃあトゲナシトゲトゲで


ひいろ:ほぼトゲアリトゲナシトゲトゲじゃないか!?


白ちゃん:ツンツンしてるとトゲアリになっちゃうわよ?


きはだ:ここでトゲアリをひとつまみ

きはだ: [画像を送信しました]


あさぎ:なんでいるのwww


白ちゃん:この子トゲアリって言うんだ


きはだ:白ちゃん知ってるの?


白ちゃん:名前は今知ったけど、よく見かける子じゃない?


あさぎ:公園とかで見るアリってもっと丸くなかった?


きはだ:トゲアリは雑木林とかにいるみたい


あさぎ:白ちゃんの出身地特定来たか?


白ちゃん:やめろやめろ


ひいろ:面白そうなことやってるな!


あさぎ:おかえりキリギリスじゃない方


きはだ:雑木林民キタキタ


ひいろ:勝手に人をアリにするんじゃない!


白ちゃん:そうよ、ひいろちゃんは将来立派なトゲアリトゲナシトゲトゲになるんだから!


ひいろ:もうハムシでいいトゲ……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ