10話目
魔王が復活してるなら、あの神にあいつ(大樹)が召還された目的(確か魔王の復活阻止だったけ?)が即効でつぶされてしまった。いったい何のためにあいつは召還なんてされたんだ。普通、この手の話は復活はしてもそれは最後のほうなのが筋だって言うのに。
まあどうでもいいか。俺が召還されたって訳でもないんだから、倒すのはあいつにまかせよう。俺がやることは、
1あいつに会うことと
2この体(スライム状態)をどうにかする(人間に戻る)
3元の世界に帰る方法を探す
なかなかに無理そうな状況だな。現状では最弱のスライムでろくな情報がない。俺の予定では、あいつと一緒に召還されて、帰る方法を探すこととか、あいつに適当な手助けするお助けキャラ的なものになると思っていたんだが。
「とりみだしてすまなかった。」
そう言ってその場から離れはしたが、マジでどうしよう。
この村をほかの村から襲われないようにする方法
一番簡単なのは強い武器を持たせることか、自分の現状がこんなじゃなければ何とかなったかもしれないが、問題はどの程度の武器を与えるかということになるだろう。
俺は普通の現代人とは違い、なんとなくでその気になればその物質が何であるかがわかってしまう。それを使えば、すぐには無理だが時間があれば銃や爆弾、果ては兵器の類も作れてしまうだろう。
だがそれは可能ならば避けたいところだ。俺は銃があまり好きではない、ミサイルはさらに嫌いだし、核爆弾や毒ガスにいたっては嫌悪すら感じる。
あんな殺した感覚もわからなくなるようなものを異世界から来た俺のような存在が伝えてもいいのだろうか。いや、絶対によくないことだと感じる。だとしたらどうすればいいか、か。
「必要最低限の知識の伝達か、下手したら死ぬな」
いや、それはなんとなくでわかるから大丈夫か
「適当に言い訳をしてどの程度与えるべきかを考えよう」
そう思いながら働いている村人たちを見ていると、自分がひどく、そうひどく下種のように感じた。