第七話
「あのー、これ別のお店に行くわけじゃ、、ないですよね」
「当たり前だ。あ、運転手さん、そこを右でお願いします」
俺たちはその後、ユニクロにはいかず、オタクたちを避けながら、駅前でタクシーを拾った。
そうして手持無沙汰の二人組として、車の振動に身を任せていた。
出費は確かに痛かったが、流石にあの手紙が気になる。
俺はミノルに対しては何にも責任を取る必要はないのだが、目の前で殺人事件なんて起こったとしたら目覚めが悪いだろう。
たかが十日くらいの付き合いで全くこんなタクシーなんて呼んでしまって、、全く、俺も心配性である。
「着きましたよー」
そんなこんなで俺は諭吉を二人、車に運ばれていくところを目の前にして、少し後悔の念が起こる。
「あの、大丈夫ですか?」
「いや、問題ない。そうだ、、、、涙は俺には似合わないな」
俺の家の前になぜだか少し、すぐ乾くであろうが水たまりができた。
そうだ、何を考えていたのか。
今の時代、ネットショッピングというものがあるだろう。
なぜそれを利用しなかったのか。
全く、愚かであった。
ということで俺はプライム会員でもあるので早速、ミノルにそのアマゾンのページを見せつつある。
「はえー、すっごい。すごいですね!これ!商品がたくさん!いくらでも買えちゃえますね!」
「いや、流石に俺の財布にも限度があるからほどほどにしてくれ」
「あっ、そうでした。すみません」
「あぁ、ということで俺はバイトに行ってくる。なんかあったらすぐにこの家電から呼ぶんだぞ。じゃあ戸締りはよろしくな」
「はい。いってらっしゃいです!」
俺はその声を後ろに今日も今日とて、バイトである。
とほほ、女性の服って高いからなぁ。
これから行く牛丼屋のバイトを何時間働けばいいのだろう。
「へー、凄いなそれ。マッチングアプリでオタクをいっぱい呼んで襲うか。まるでyoutuberみたいだな!」
俺はそのミノルと共にした事件をバイト先の先輩、高梨さんに話すとそういわれた。
「確かに、youtuberにからかわれたのかもしれません。でも僕の行く先がわかってるなんて、ちょっと異常じゃないですか?」
すると高梨さんは腕を組み、また深刻な顔をして
「そうだな、お前盗聴器でも仕掛けられてないか?確かに異常だ」
「盗聴器、ですか」
「うん、最近は物騒だからな~。まぁ、流石にそこまではないにしろ用心しろよ。ここは東京なんだから何でもありだぞ。あとお前、ネットで変なこと書いたりしてないか?
それで行動が推測されたりだな~………」
それからは地獄だった。
ツイッターで炎上したり、開示請求が届いたり、その実際に起きた経験からネットに関して話し始めたら止まらない高梨さんのマシンガントークは止まることを本当に知らず、
だからと言って親身になってくれてるので嫌とは、簡単に言えずそのまま愚痴半分のネットに関しての説法を聞き続ける事二時間半。
一応、バイト中だったのだが、あいにくの雨で全く客入りが悪く、また店長はウーバーイーツで出張中のためこうやっておしゃべりを続けても問題なかったというわけで
その先輩の話がパカ弁の事を話し始めるあたりで俺のシフトは終わってしまい、俺は逃げるようにして先輩を残し、牛丼屋を去るのだった。
全く、仕事をした感じが全くしない。