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第十四話

サウナを普段はいらない人でも意外なところにあると進んで入ろうとする現象の名前というのは存在するのだろうか。

そんなくだらないことを考えている余裕は今の俺にはなかったが、パニックな状態である時こそ、なんか逆に冷静になるというものなのだからしょうがない。

とりあえずないものねだり症候群に侵されて、部屋に地味ながらあったサウナの扉を開けた瞬間、倒れこんだミノルはとても湯気だっていて色っぽかった。

彼女が開けた瞬間倒れこんだサウナ、というのは異常そのものなので俺はミノルと同じようにサウナの扉を恐る恐る開けてみると、普通のサウナだった。

おかしいのはミノルの方だった。

なるほど、ロボットにサウナはダメ、か。そうなってくると温泉も危うそうだが、まぁ家でも風呂は入ってるし大丈夫か。でも万が一という場合もある。

俺は彼女の温泉プランを考えつつ、首元に冷たいアクエリアスを置いていたが、いつしかそれはぬるくなっていたので新しい冷えた水に取り換えに冷蔵庫に向かった。

冷たい二本目を彼女に当てつつ、ミノルの額に手を当ててみるとなんとそれはすごい熱だった。

ちょっと焦って心臓の鼓動を確かめた。するとそれも凄いもので、とんでもない速さで振動していた。

俺はそこでようやく焦る。とりあえず彼女を全裸にして、俺は冷えタオルを絞りに洗面所へ行った。

全身に布をかぶせると、いたるところからこげの匂いがした。なんとタオルが焦げてきているのである。

おかしい、ロボットのミノルがサウナに入ってしまうと出てしまう症状なのだろうか。くそっ、こういう時に開発者の声が聞きたいのだが、なんか癪に障る。

それに彼女の恥部にためらいがあるし………あっ、彼女の目覚めさせる起動スイッチがあるじゃないか。

こんな形でサービスシーンというものをやりたいわけじゃなかったなぁ、と思いつつ俺は彼女のピンク色にとんがって膨らんだ柔らかいものを二回押す。

すると目覚める彼女。ほぼ垂直に背をピーンと張り、かつ垂直に手を使わずに状態お越しをする様子はさながらロボットのようだった。

そしてとろんとした目つきで俺を視認するや否や、俺の胸もとに飛び込んでくる。

甘えん坊の声の極致を俺は今までの十九年間の中で耳にした。

「ねぇ、ミノル、体があっついの。どうしてかわかる?責任取ってよね」

と、一瞬ぐらつくぐらいの完璧な甘えを前に、チェリーでボーイな俺は彼女の体温がまるうつりしたかのようにドギマギとして一瞬なんだかいけないことも想像してしまった。

が、とにもかくにも体同士で密着して分かったが、かなりの体温の熱さだ。

これは早急に手当てをしなければいけない。

俺は彼女を肩で引き離し、かつ冷蔵庫に歩み寄りて、キンキンに冷えたアクエリを取り出しつつ、また戻って彼女に手渡した。

ミノルはおとなしく受け取り、それを一気飲みし始めた。

するとどんどん顔が潤いに満ちてきて、元気を取り戻したかのように見えた。

寝ている間は水が飲ませられなかったからな、そのために起こしたというくらいだし、やはり喉が渇いていたか。

と感じつつ、顔はまだとろけ顔、しかし前とは違いのぼせてるのは顔だけのように見えたので俺は額に手を押し当てると

「えっ」

それは適温、まさに常温だった。

俺はいきなり治った彼女に驚きを隠せなかった。すこしよろめいてしりもちをついてしまう。

ミノルはそんな俺をくすくすと笑いながら、またしりもちをついたほぼ弱冠の情けない男性に近づいてくる。

ほぼ押し倒されるような形となって俺は今ミノルの下にいた。

するとにんまりと笑ったかと思うと、いきなり俺に接吻をしてきた。

そしてなまめかしい音を残しながら、唇を話し、また手をそこに当てながら彼女は語り始めた。

「私はミノルの本心、決して性欲が解放された彼女ではありません」

いきなりなんだ、と思ったが彼女の顔は色気に満ちながらも目は至極まじめな様子だったので俺は黙って聞くことにした。

彼女は続けて

「そんな表の私は好きな人との旅行ということで緊張していました。吉野家の牛丼だって好きな人とこんなにも近くでいたら耐えられないということで急いで食べました。

それにあの喧嘩だって急に怒って出ていったように見えますが、それも緊張で一人で外の空気を吸いたかったからなのです。まさか追いかけてきて浴衣が可愛いなんて言われたものですから

表の私はさらにオーバーヒートしてしまいました。なのでこの倒れ具合はサウナの性ではありません、本当にあなたのせいなのです」

「君は、表のミノルと言うが、普段のミノルとは違うのか?」

俺はこう質問すると彼女は首肯しながら

「はい、ちがいます。彼女は奥手です。だからなかなか愛情の裏返しをしてしまってついつい手が出てしまいます。なのでたまに積極的な私が現れてきて、彼女の願望をかなえてあげるのです。

知らないでしょうが、彼女がいつも私を呼び出す瞬間というのは乳首を用いながらする自慰行為の最中なのですが、その際おかずとしてつかっているのはいつも旦那様なんですよ」

ととてつもないことをカミングアウトして見せる彼女。その顔は一点の曇りもなく、むしろ至って真剣に俺に聞いてほしいという願望すら見受けられた。

ミノルはまた顔を赤らめて、浴衣の上半身をあらわにしながら、俺にすり寄ってきながら

「だから旦那様、彼女の気持ち、それに別として好意を寄せている私の気持ちを汲み取ってください」

と言ってくる。

なるほど、確かに彼女の気持ちを全くくみ取れなかったのでその責任はあるかもしれない。

けども知らないうちに侵される表のミノルがいるのに対し、そんなことはまるで、できない。

俺は彼女を肩で引き離した。

怪訝な表情をする彼女。俺はそんな彼女に対して堂々と宣言した。

「俺に非がることを伝えてくれてありがとう。でもそれとこれとは別として、俺はそもそもロボットには全くと言って興奮しないんだ」

それに、と言いだそうと思ったが、ビンタでそれは遮られた。

見ると、目の前に涙目になりながら怒った顔をしたミノルがいた。

「ロボット差別クソ男!もういいです!表のミノルにこってり絞られてください!」

彼女はそう叫びながら、いきなり乳首を二回押したので俺は逃げる暇もなかった。

部屋にはほぼ浴衣ではだけて半裸な男と上半身全裸な自分という状況にミノルが俺にした行動と言えば、まぁいうまでもあるまい。

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