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ゴングは常に鳴っている
――もはや死ぬしか道はない。
毎秒、誰かが自分の死について考えている。だから『そんなこと』で思い悩むのは、珍しいことではない。ならば問題なのは、その『珍しくない悩み』を、未だに合理的に解決する手段を構成できていない社会だ。人間は社会を形成することで長期的に生き抜くことを選択した種族なのだから、自殺は社会が解決に取り組まなくてはいけない課題なのだ。
「……どうしたら今も生きていたのか」
だから、自殺を誰かのせいにして恨む、なんていうのはどこまでもお門違いだ。自殺は誰かひとりのせいにできる問題ではないのだから。
だけど私はこの時、目の前の男に対して、そんな正論を言うことだけは、どうしてもできなかった。




