表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
華の高校ライフは異世界で!  作者: 手掴み猫
1/1

試験会場はどこ?



「ゴメズカ・ソーマ。君はこの学校に相応しい…ようこそ、我がアドベンシア・マジック・ユニバーシティへ」


俺はついに高校試験に合格した…が



「あの…ここ、どこですか?」


俺の受ける高校はここじゃない。それに



多分ここ日本じゃない





﹌ ﹌ ﹌ ﹌ ﹌ ﹌ ﹌ ﹌ ﹌ ﹌ ﹌ ﹌ ﹌


平成20年。小さな病院で産声があがった

産声の主は彼、五目塚 漱磨(ごめづか そうま)である


今年 16歳になる漱磨はこの16年間、シングルマザーの母に深い愛を注がれて育った。

漱磨の父親は漱磨がお腹に宿ってすぐに蒸発、母の注いだ無償の愛は漱磨を「心の優しい子」に育てあげた


そして彼は今日、華の高校生活を夢見て、高校受験の会場へと足を踏み出した



だが──試験前に大きな問題が立ち塞がった



彼はこの16年間、1人で電車に乗った事がなかったのだ



「───すみません、この駅ってどの電車に乗ればいいですか?」


漱磨が駅員に向けて、4つ折りの型がついたメモを指差す


「この駅に行くにはここの改札を通ってね。ちなみにどのに行くんだい?」

「ありがとうございます!これから杏林大高等学校に受験しに行くんです」


「えぇ?杏林大はあっちの改札だよ?」

駅員は眉をひそめると、先程伝えた改札とは反対方向を指を差した。


俺ってこんなに方向音痴だったのか、と何故か腑におちた









「間に合え、間に合え!」

人でごった返している階段をあえぎあえぎ駆け上がる



すまん、どいてくれ日本の侍達!



「電車は……電車ってどれ乗ればいいんだ!」

漱磨は本日2回目の絶望を叩きつけられた



───足元にある黄色い線の内側までお下がりください、というアナウンスと一緒に響き渡る発車メロディ


だんだん血の気が引いていくのがわかった



事前に行き方をちゃんと調べておけばよかった、と後悔の念に駆られながらスマホで行き方を検索する


駅の時計に目をやると、本来電車に乗っている時間を15分過ぎていた。


唇がガタガタと震える、このままだと試験に間に合わない。受けて落ちたならまだしも、 試験会場に間に合わず落ちるなんて



母さんが聞いたら泣いてしまうだろうな


この3年間の努力と応援が全て水の泡…


目頭がグッと熱くなった





その時だ



視線の先、ちょうど自分の真下にひらりひらりとメモ用紙が落ちてくる。漱磨は咄嗟に紙を拾った

人差し指の関節で気づかれないようそっと涙を拭き、落とし主に声をかける


「どうぞ」

そう言って手渡そうとした時、ふとそのメモ用紙が目に入った



──受験番号2061___杏林大高等学校──



思わず声が出る。だが落とし主は気にもとめず、紙を受け取ると無言でその場を走り去った

「すみません、!ちょっと待ってください!」


落とし主は一向にペースを落とさない



「あの──!俺もそこ受験するんだ──!とまって──」


すると落とし主は何を思ったのか駅の階段を駆け下りて行った。



もしかして、俺そもそも駅間違ってた?!


そんな不安感が疲労と共に襲ってくる。落とし主は未だ走り続けている。



俺は駅を出て落とし主の背中を追った




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ