陽炎を背に笑うもの
木箱を抱いて歩く。
紫の風呂敷は手汗で黒く色を変えている。
暑い。
中天から燦々と、正面から焼き尽くさんとばかりの太陽が日射を撒き散らしている。
それがただ一本の道を途方もなく引き伸ばしているかのようだった。敷き詰められた砂利が日光を反射して下からも念入りに炙られる。
手荷物も独自に熱を持っているように感じられる。手の間に籠もった熱が煩わしい。
滑り落ちかけた箱を抱え直し暑い息を吐く。吸う息も乾いている。
呼吸するほどに水気が奪われていく。唾液も水を強烈に意識させるだけだ。
暑い、熱いとしか考えられない。
時折、あの一滴の墨のような藍染の暖簾を思い出し、視線を上げて目を配る。ラムネのしゅわしゅわとした潤いが喉を冷やして落ちていくのを思い出す。
色の薄い和やかな瞳。その印象が過る。
あの道だ。戻ってきた。
今、意地のみで歩んでいる。辛い、茹だった意識が右、左と繰り返し、砂利を引き転がしながら進む。
足が縺れ、トトとかしいだ体が柔らかいものに包まれた。干された布の香りがふわりと鼻につく。
紺に染まった菓子屋の大暖簾。ぽっかりとあいた地下への入口。まろびるように体を投げ入れれば、すっと暑さが遠のいた。
見上げれば極光のように吊るした菓子の袋が揺れてる。硝子の大瓶に様々な小袋か、あるいはイカの足のようにそのまま詰め込まれた駄菓子が子供の背丈に合わせて棚に陳列されている。
光源は採光から落ちて、ところどころを白く浮かび上がらせ、細やかに舞う埃がキラキラと浮かぶ。
「いらっしゃいませ」
頭を撫でるように甘やいだ声に顔を上げても、ここからその姿は見えない。光と、菓子と模型で出来た暖簾の向こうに箪笥の木肌がかろうじて見える。
汗を手ぬぐいで拭うて背筋を伸ばす。
ふぅと深呼吸をすれば、残っていた熱がはけていった。
「おや、旦那。お久しぶりでございますね。ラムネになさいますか?アイス?」
親しげのある笑顔と、わたしを覚えていたことに安堵してラムネを貰った。
張り付くような喉を炭酸が剥がしていくように美味い。
「いつぶりかのお仕事ですか?」
「前回の支払いをなぁなぁにしてしまったからね。店主の顔も見たかった。今日はちゃんと用事があるわけだ。お幾らだったかね」
「あらまあ、まぁ、お気遣い頂きまして有難う御座います。道楽ですから、お気になさらなくてよろしかったのに。計算しますね……ええと、こちらで」
「……安いね。商売上がったりだろう。時流に合わせてもいいんじゃないかね」
「道楽、道楽です」
小銭を六枚渡す。それを小振りの金庫に仕舞うのを横目に、彼の座る高座にわたしも腰掛けた。
「息災だったかい」
「お陰様でございます。旦那は商売の程は如何でしたか?」
わたしは涼しい顔の店主を観察しながら顎を撫でた。
瓜実顔、目はやや特徴を外してぱちりと幼子のようなまるやかさがある。頬骨の高いところにある黒子が肌の白さ故に特徴的で目立って見えた。
視線を咎めて店主がもの問う。
「失礼した。終わった話を引きずっていてね。まぁ、仕事は失敗してしまったよ。幽霊を祓えんかった」
「聞いて物忘れしていたらお恥ずかしいのですが、どのような幽霊でしたか?」
「女だそうだ。」
「お遭いできなかったので?」
どう答えるべきか迷い。まぁ、そうだ。と生返事に返した。店主は話のお愛想で問かけただけで、追って何言うことはない。
「店主にもう一度話をききたくてね」
「なんでしたでしょう?」
「例の火事の事だよ。まぁ、あれだ。わたしは道楽者で探偵じゃなかったからね。情報収集でしくじってしまったわけだよ。わたしには無理だ。
自分はそこいらを歩いてるやつと違うぞと、得意になっていたんだよ。一般人だと痛感したねぇ」
ははぁ、と店主はまた生返事をした。
思い付きで話しているのを分かっていて、呆れているように感じ、気恥ずかしくなった。
「それで今更話を蒸し返されるので?」
今日の店主は少々棘がある。怒っているだとか、機嫌が悪いという風体ではない。
「気にならないかい?何があったかということをさ」
わたしが主張するために小脇の箱を抱え直したため、店主の視線がそちらに向く。
「見てみたくはないかな。件の面だ。肉付の面だ」
ほぅ、と吐息を吐いて店主が手本のように微笑む。
「蓋を開けて頂けるので?」
「勿論。怪談が終わったらのトリさ」
店主とわたしの間に箱を置く。
紫の紐の結び目を、店主がさらりと撫でる。
「楽しみです。さて、何から話せばよろしいでしょう?」
「最初からやろうじゃないか。」
︙
︙
翌日、唐突に訪ったわたしに女主人は時間をくれた。
推測する年齢よりも老けた顔は依頼を失敗したと伝えた途端に、より萎れたように見えた。
ぴしゃりと跳ね除けた七日前の印象はない。
霊は払えなかったが、引き取ることは出来る旨を伝えた。何度手放しても不幸の報とともに戻ってくる。
恐ろしくなってわたしを呼んだ。
死者の中に息子とそれを助けに向かった女が死んだろうと伝えると、女の眦がつり上がった。
誰から聞いたかと問われ、適当に人物をでっちあげた。
焼死したあの女、とは旦那の愛人だった。
女の産んだ跡取り息子を愛人が救助に飛び込んで逃げ切れず、焼け死んだ。
実の母親より親らしい。
女の中に消えない憎悪を残した。
そもそも夫婦に愛はなかった。家同士の損得勘定の縁組だった。
夫はもとより愛した女がいたが石女だったために、跡取りを産む嫁が必要だった。
家の方針で取らされた女によって、恋人は愛人と後ろ指さされる身分になった。女のせいではなかったが、夫は加えて冷淡に女に当たった。
子が出来なけば離縁が出来るが不運に子供を授かった。産まれたのは跡取りであったが、足が悪かった。失望の目に晒された。
夫は役目を果たしたろうと、小うるさい義母が亡くなってすぐに愛人を招いて離れに暮らすようになった。
子供がいるから離縁できない。不具合持ちの息子を置いて家を出るなどと外聞が悪い。
二人目を期待されても、夫は不具合持ちがまた産まれても困ると女を悪し様に言う。
ふとした時に、人目から隠れて息子を可愛がる愛人の女を目撃した。それから息子を屋敷の奥へと押し込んだ。
愛情はなかったが、当たり散らすように憎しみたくない…唯一の親心ではあった。
火事がおきた。
作業場の方だった。消火に当たる間に反対の、屋敷の奥からも火の手が上がっている。
なんとなく、火元は息子だろうと直感した。
夫が手に入れてばかりの骨董を置いておく部屋にあの子はよくいた。それらを眺めて一人遊んでいる。
夜など火鉢が消えていてるものの、ほんの温みを欲しがって身を寄せている姿を見た。
足した炭が爆ぜたのだろう。
聡い子であったから、火鉢の扱いを見様見真似で覚えてはいたが、しかし危うい事を教わっていなかった。
燃えるさまを眺めていると愛人が息子を案じで無事だろうかと走り寄ってきた。
魔が差したのか、初めからそのつもりだったかも知らん。女は息子を助けてと愛人に泣きついた。
彼女は一つ返事で火の中に飛び込んでいった。
愛人は何を思ったのかは解らない。
死体を守るように抱えて死んでいた。子供の死体には何故か夫が骨董で買い求めた面が被されていた。
面は奇跡的にすす汚れた程度だったが、その内側に顔の肉が焼け付いて癒着した。
二度焼くのは忍びない。暗黙にそう思われた。
夫とは会話する仲ではなかったから、それがどうなったか近日まで知らなかった。夫は大事にしまい込んでいた。
彼はその後、気を病んで亡くなった。
屋敷は女の采配で解体されて土地を売り払った。
火災の被害に耐えた蔵とを貰い、他に行きようのない使用人のみを数人のこして隠居を始めた。
道楽に駄菓子屋でもどうか、と提案されて漠然と商売を始める。
いつかの折、女の不在時に菓子を買ったという者が現れた。
瓜実顔の黒子の女。足の悪い少年やがては青年。
時々でどちらかに証言が変わるが特徴を聞いて堪らなくなった。
︙
︙
「店主。火事で亡くなったのは何人だったかね」
「九人ですよ」
「幽霊が現れて数年の間に、近所の児童が二人行方不明になっているだそうだ。昨日一人、捜索中だ」
「物騒ですね」
「うん」
「あまり恐ろしくもない怪談でしたね。亡くなられた女性か、成長しながら息子さんがお店番する。
楽ができてありがたいじゃありませんか。
開けたら駄目ですか?お先に何か食べますか?」
確かに怪談としては微妙だろうか。
肉付の面の謂れとして話したほうが趣があるやもしれん。
「アイスがいいね。前は溶けちゃったからね。同じのがいい」
どうぞと差し出されたアイスを口に含む。喉が痒くなるような濃さの果汁の塊が溶けながら喉を滑るのが心地よい。
「店主はどう思う。死んだのは母親だろうか愛人だろうか」
「母親のほうが正しいじゃありませんか。母というのはそういう性でしょう。愛されて亡くなったのですよ」
「坊っちゃんがかい」
「そうです。憐れんだでしょう。そのほうが幸せだと思いませんか?」
「そうだね。そう思うよ。わたしも」
あの時、そうしてやれば正しかった。
だが、わたしは正してしまった。間違っていたために。
あの火事の関係者は雇い止めで散り散りになってしまった。
死んだのが愛人か、正妻かなどはっきり覚えている者は実のところ夫人と残った三人の使用人くらいなものだった。
常識的に考えて、我が子のために火に飛び込むのは母親だろう。生き残るのは愛人で後妻であるべきだ。
坊っちゃんは母親を求めたのではないか。
そうあってほしいと、死ぬ間際に希望を夢見たのではないか。
わたしが美談を信じれば、それで決着した。
坊っちゃんは愛され、愛人が生き残る。歪めた話を信じて女主人と相対するだけで、満足したのだろう。
自らを救済しようとする幽霊など前代未聞だ。
「店主は坊っちゃんかい?」
コトリと蓋を開けて店主は面を取り出す。
自然な動作でそれを顔に重ねる。その指はくすまずに残った木肌と同じ色をしている。
「さあ。」
はぐらかされた。さもありなん。店主は坊っちゃんでも愛人でない。どちらかでもあるなにかだ。
あるかなしかの微笑みは面の有無で変わらない。
木彫りとは思えぬ、木肌とは思えぬ作品である。
「私は誰も恨んでおりませんのに」
妙齢の女か中性的な男にも見える。
表情は顔の伏せ方で微笑みか、悲しんでいるように
印象を変える。
「好奇心なんだがね、坊っちゃんはなんで面を被っていたんだろうか」
「面が、肉が欲しくて食い付いたのかもしれませんよ?そのほうが怪談らしいと思いませんか?」
「どうでもいいことかい?」
「死人のことですから」
面は微笑みを見せる。
「わたしの所へ来ないか。あんたと話してね、気に入ってるんだ。こんな稼業だ。話し相手が足らん。どうかね。わたしは楠木という。友人が欲しい」
「さて、旦那は私を燃やして下さいますか?」
「わたしが死ぬときに棺桶に一緒だ。どうだろうか」
「ご来店はご随意に。ただし菓子を召し上がってください。長居も、私が駄目というまで。お子様は連れてきてはなりません。」
「子供は嫌いかい?」
「坊やはほしいもの」
華やいだ女の声と同時に何かが足に抱きついた衝撃があった。
驚いて視線を落とすと、子供が足にすがっていた。
縮れた髪、剥き出しの頭皮。肌の表面には黒、肉、赤、白に黄の濁り、焼き爛れた色彩が目を貫いた。剥き出した部分は体液に濡れている。
遅れて鼻についた臭いに総毛立つ。
肉付の面を被った顔が此方を見上げ、かあちゃんも、と呟いた。
面の奥からグズグズと焼ける音が微かにする。
少年は未だに燃えているのか。
痛かろうか。頭を直に触れなように撫でてやる。
チリチリとした毛が手のひらに触れた。
慈しめることに安堵した。出来ることに驚いた。
少年はうれしそうな声を上げて身を翻す。脚が歪であるために浮き沈みながら棚の向こうへと姿が消えた。
視線を戻す。
「あら、なんでしょうか」
奥の戸が開き、老婆のような女に見下される。
青年店主の姿はない。
備品は変わらぬ。ただ彼の姿が消えている。
あの時、横にさせてもらった。背にした戸の向こうは渡り廊下が続いている。火災の後に作り直したのだろう。それを思わせる痕跡は見えない。ただ、記憶が煤けた臭いを呼び起こす。
今しがたまで長い幻の中にいた。神隠しのような、特異な空間なのかもしれぬ。
そこに脚の悪い青年の店主が在って、彼とわたしは約束を交わした。
店の造りも菓子の並びも同じだ。だが彼の店は子供の夢のようにキラキラとし、明るくさえ見えた。
現実は陰気だ。ただそこに瓶があり、菓子がある。
陰とした蔵の中、土壁と埃の臭い。
「幽霊と遭いました」
女主人は身を震わせてわたしを凝視した。
「あれは、何か、語りましたか?」
「いえ。ただ影のようです。店主の真似事をしているだけの」
「そう、そうですの?」
口端が上り、歪な笑みを見せる。安堵か歓喜の心を不審心が蓋をしているのだろう。
「本日は借り出した面を返しに。そしてお返事をと思いましたが、これを譲って頂きたく。怪異を引き受けたく存じます。」
「焼いてくださるのね?」
頷いてやる。
はぁ、長いため息をついて顔を覆った女は更に萎んだように崩折れた。
「あぁ、先生、ご相談してよかったわ。安堵しました。ようやっと。面はお引取り下さいな。よろしくおたのもうします」
「一つ、どうして面なんか被せたんでしょうかね。」
後ろから俺一番、と声がする。
お菓子お菓子、と歌う声がする。
子供が瓶をあけて、菓子を選び笑う声がする。
「…さぁ。詮無いことではございませんか?」
晴れやかな顔だった。どうでもよいとばかりに今しがた放棄したのだ。目線は子供を監視している。
一礼して去る。
蔵から出る。しばし一本道を進んでいると、竹箒を携えた爺と会う。手紙を代筆した、火事の当事者の一人である。
「先生」
今日も来るとは思わなかったろう。
幽霊に遭遇するために、面を借り受けた翌日だ。
どうもと会釈する
「どうされました?何か…?」
「前回失敗しましたので、せめても怪異を引き取らせて頂きました。数日経ってよろしいければ、あー、謝礼を送っていただきたい。面を譲り受ける一筆も。」
面を得て、謝礼もとる。面は曰くがありすぎて忌々しい物だが、猿我盲・草一銘入りの骨董だ。本物であれば国宝に値する。珍しい友人を手放す気は毛頭ないが、儲けすぎだ。
謝礼は直接貰わない。払われなくとも今回は良いだろう。
爺も肩の荷がおりたように晴れやかな顔をする。
恐らく脚の悪い坊っちゃんは皆、意識の片隅で気づいていた。
誰もが早々に諦めた。関係のない、愛人の女だけが気にかけて命を張った。
幽霊は罪悪感を煽った。自責が自罰だろう。
女主人の言ったように後ろめたさが霊を呼んだのかもしれない。
歩きながら、つらつらと考えてしまう。
腑に落ちないことがある。しかし生者も死者も語らぬ。もはや分からぬ。
火災があった。逃げ遅れた脚の悪い子供がいた。
誰もが諦めた。
母親が縋り、それを助けに関係のない女が命を張って二人共亡くなった。それだけを面がややこしくした。
俯きかげんの目線が添って歩く足を見咎めた。
立ち止まって見やると、青年店主が居る。
「まろびますよ旦那」
「やぁ、歩けるもんだね。どうだね外は」
その顔に面はない。童顔に和やかな色の瞳。だが表情に嘲りがある。
どうでもいいような心持ちに変わった。
「寒い、寒い。いやになりますね。私は足が悪うございますから、帰るのも一苦労なのに。」
店主はうんざりとした顔をする。
寒がる言葉に白息は上がらない。着物も麻のままで羽織もない。苦笑する。
ふと、着物に隠れた足が細いのか、気にはなる。
確認できたのは着物の裾と白いタビだけだった。
「もう帰らないで済みそうかい?」
店主は二歩ほど先行する。
「執着に呼ばれておりましたが、もう宜しいでしょう」
さっぱりとしたもの言いだ。
あの女の雰囲気が変わったのは語らなかったと答えた時からだ。あの人が恐れていたのは、影が何かを語り漏らす事だったのだろう。
「店主、これは好奇心なんだがね。幽霊じゃないだろう。妖怪というやつか。」
「私は道楽の菓子屋でございます。ちょっと所在があやふやな」
この店主は調子がいい。にやりと笑い返す。
抱えた箱を撫でる。本当に良いものを得られた。
「餅の焼ける匂いがするね。食べたくなってきた」
「火鉢で?」
焼くなら火鉢だろう。見返り、ケロリと口にしたこれは真のところ何なのだろう。
わたしはこれが面白い。
「そうだ、店の前の一本道だが奥に何があるか知ってるかい」
「さぁ」
「馬鹿に広い墓地があるんだ。松林が立派でね。見ごたえがあるもんだよ」
「墓ですか、松がですか。ご機嫌ですね旦那」
現実の一本道はさほど長くはない。道の先に松の頭が見える。その程度だ。
振り返り指さそうとすると、白い道が灼熱の日差しの下に延々と続いていた。
なんてことだ、じっとりと汗が吹き出してきた。
暑い。
「寄って行かれませんか旦那」
わたしを戻り越して菓子屋が誘う。
一瞬で引き込まれ、肝が冷えた。
「妻が戻る前にお前を隠さんとならん。駄目だ」
コン、と叱る気持ちで木箱を叩いてやる。
うん、と菓子屋が顎を撫で思案顔になる。
「友人というより愛人のようですね」
いいざまに憮然とする。
菓子屋はケラケラと笑う。あるかなしかの笑みでなく。
灼熱の陽炎を背に生きているように笑っている。
読んでいただきありがとうございます。
狢駅の話で別離した二人組みの始まりの話です。
菓子屋
子供の前では女の姿。他は青年で現れる。
生と死の境に店を構え、迷い込んだ者にルールを敷いて取り込んでいく。取り込まれた者は火災の屋敷で火にまかれる。救いと仲間を求めて手を伸ばす。
火の熱気や水を求めた死者の苦しみが真夏となって現れている。
複数の霊、生者の罪悪と妄執が集約した悪霊の面。
子を求める女、母を求める子が主体。炎に巻かれて助けを求めた四人の霊もいる。
坊っちゃんが面を被っていたために、何かのメッセージかと女主人が疑念の迷路に囚われた時、集約し悪霊化した。
幽霊が真実を語るのではという恐怖と妄執が、手放した面を出戻らせ謂れを強化していった。
物語の終盤時点で3人の児童を引き込んでいる。
旦那
拝み屋家業の壮年の男。
報酬を貰うこともあれば、幽霊の憑いたとする備品を引き取って売却し、生計を立てている。