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なろうラジオ大賞参加作品

ランドセル型アイテムバック

作者: 蒼田

「完成だ」

「おめでとさん」


 一人の転生者が歓喜を上げた。それに出資者が祝福を述べた。


 ここはある商会の研究所。

 様々なものを取り扱うこの商会だが今のこの研究所ほど奇怪なものを開発している部署はないだろう。


 興奮のあまりか踊りそうな立案者に、本当にできるとは思っていなかった出資者は笑みを浮かべて周りを見る。

 掃除がおろそかになっている悲惨な部屋だ。それに苦笑しながら少し足を前に進めた。


 床には多くのドラゴンの鱗が飛び散っていた。彼が自分で狩ってくると言って持ち込んだもので一枚売るだけで富を得ることができるだろう。

 男はそれを拾い上げた。

 彼は商会の長。これでも鑑定眼を持ち合わせている。

 そんな彼をしても「この鱗はもう使えない」と思わせる程に鱗から魔力が漏れて脆弱になっていた。


 異臭漂うこの部屋を更に彼は進む。

 少し目線を上げると机の上には魔導書が目に入った。

 これは商会が彼の要望で取り寄せたもので時空間魔法が記載されている物だ。

 記載されていると言っても殆ど使い手はいない。

 何せ書かれている文字は古代言語。まずもって解読できるものが限られているからにして。


 やっと転生者の元へ辿り着き「そろそろ落ち着いてくれないかな」と思いつつも彼の肩に手をやった。


「で起動実験はいつからだ? 」

「もう済ませている! 故に! 「完成」なのだよ!!! 」


 ギランとした瞳で見つめられ半歩後ろに下がった。

 がその結果を確かめるべく箱状のアイテムバックに目をやった。


「これはどうやって使うのかい? 」

「基本は普通のアイテムバックと同じだ。だが違う点がいくつか。まず背に背負う。前に話したがこれによりすりによる被害を少なくすることができる」

「ふむ」

「で箱のカバーを上げると中が取り出せる仕組みだ。これは売れるぞ! 特に王侯貴族の金持ちたちに! ある時は防具として、ある時はアイテムバックとして使える! 加えるのなら——」

「それも聞いているよ。じゃぁ、お披露目と行こうか。兄弟」


 こうしてランドセル型アイテムバックが異世界に解き放たれた。

お読みいただきありがとうございます。

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