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【番外編付】転生したらウサギでした。〜めげずに(人間の)歌姫を目指したら、イケメン騎士団長達に愛されてました~  作者: 夢屋


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主人公はイベントに参加する 

(ぎゃーーーー!!)


 生活の拠点を森の奥へと移してからは、毎日一回は叫んでいたと思う。


 歌を聞きに来てくれた魔物が、街近くの森に現れたというだけで討伐されてから、ミアは歌を聞きに来る動物や魔物を街からできるだけ遠ざけようと、森の奥へとやってきたのだ。


 しかし、それはやはり無謀だったのか。

 それとも〈人間ルート〉から外れたのか。


 森の奥にはこれまで以上に魔物が多く、追いかけられる頻度が増えてしまった。


 まるで〈食用ルート〉の上を綱渡りしているような気分だ。


 それを今日も何とかギリギリで渡り、命を繋ぐ。


 お陰で度胸はついてきた気がするが。


「やっぱり前の所に戻ろうやぁ」

 

 共に追いかけられるハメになった使い魔のクロノは、項垂れながらその場に座り込んだ。


(いやよ。 戻りたきゃ一人で戻って頂戴)


「お前やって何回も叫んで逃げ回っとるんやないか」


(そんなの、発声練習と思えば良いのよ)


「相変わらずポジティブやなぁ。 まさかMなんか?」


(んなわけないでしょ! さぁ、そろそろここらで始めるわよ)


 人間が住む街から離れたところにあるこの森は、大きい木々が生い茂りそれが日差しを遮り薄暗い。

  

 その中でミアは、薙ぎ倒された切り株を見つけピョンとその上に立つと、声出しの為に歌を歌い始めた。


 すると光が届かない森の中を、ミアの声がまるでラジオから流れるBGMのように、自然に溶け込んでいく。

 日差しの量に変化はないのに、心地良い声とリズムから、殺伐とした空気が和らいでいく。


「グァオーーーー!!」


(ぎゃーーーー!!)


 けれど歌えば、魔物や動物に自分の存在を知らせてしまう事になるので、以前よりもゆっくりは歌えなかった。

 それでも人間の出入りが殆どないこの森にいれば、前のように魔物が目の前で殺される確率は低い。

 ミアは、無意味な殺生に心を痛めていたのだった。



(あ、今日は角の生えたウサギさんだ)



 歌を聞きに来る動物に混じり、魔物も少しずつ顔を出すようになっていた。

 たまに自分よりも大きな魔物も来るが、人間の時と同じようにこれ以上近づかないでとアピールをする。


「こうやってると、路上ライブやってるみたいやな」


(そうね。 すごく懐かしい)


 人間だった頃のミアは、人通りの多い場所でギターの弾き語りもやっていた。

 初めは前を素通りしていくだけだったが、定期的にその場に来れば足を止めてくれる人も増え、声をかけてくれて貰えるようになった。

 そこで知り合った仲間もいた。


 動物も同じじゃないだろうか。

 勿論言葉はわからないから真相はわからないが、そうであってほしいと模索する毎日を送っていた。



 

 そんなある日。


 

 ピロリロリン♫



 また頭上で電子音が鳴った。


「クロノ、今のって!」


「あぁ、なんか進展があったんや!」


 クロノはステータスを開き、ミアもワクワクしながら横から覗き込んだ。


________________


〈人間ルート〉継続中 

『ヒトの言葉を話せる』スキル習得 


________________



「やったぁ! ルートからは外れてなかったんだ! でも何がきっかけで習得できたんだろう?」


「そこまでは書いてへんから謎やな」


「沢山喋ったり歌ったりしてたら、もっとレベルが上がるかな?」


「ある程度ウサギでおったから、とかちゃうか? ……っあ!」


「なになに?」


「オレの魔法の項目も増えとる〜!」


________________


使い魔クロノ : 『収納魔法』習得


________________



「これだけかいな!」


「まぁまぁ、一応は使える魔法が増えてるんだから良いじゃない」


 ミアは悔しそうに地団駄踏むクロノを何とか宥めた。



 ピロリロリン♫



 二回目の電子音が聞こえた。


「あれ、また?」


「続けて鳴るなんて、何やろなぁ」


 二匹はドキドキしながら、再びステータスを開いた。


________________


お知らせ : まもなくイベント開催!


________________



「「イベント……?」」


 思わず声が揃ってしまった。


「なになにイベントって。 なんか楽しい事起きるのかなぁ!」


「そうやったらええな! またそれをクリアしたら、きっとオレらのスキルも上がるんちゃうか!」


 

 生前ゲーム等殆どしてこなかった初心者の二匹は、ワクワクと胸を踊らせながらその時を待った。



 しかし通常ゲーム中のイベントといえば、大きな報酬を得るために、ハードなクエストが待ち構えているのがお決まりだ。



 ここでもそれは同じで、この数分後に起こるイベントに、二匹は文字通り生死をかけて挑まなければならなかった。

 

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