主人公はとにかくやってみる 2
再び侍女達によって飾られたミアの姿はまさに一国の王女のようだ。
だが内心は挙動不審で心拍数も上昇中である。
まさか自分が国王と会う日が来るとは夢にも思わなかったが、一先ずキリッと顔を引き締めてランセルの後ろに立つことにした。
「それで……竜王様のご子息が何故ここへ?」
国王はやはり本の世界で見るような風貌だが、その表情は困惑気味だ。
「この度国王陛下にお願いしたいことがありまして」
「はぁ……」
「竜王様の目覚めを祝う宴を開いて頂きたい」
「え?」
国王、宰相や臣下達は思わず目を丸くする。
竜王が目覚める時期の魔物はその魔力に惹かれ活動的になるのが通常だが、今年は竜王の魔力の弱体化で感情のコントロールが出来ない魔物が増えているという見解だ。
この不安定な状態を治める為にも国を上げて目覚めを祝う宴を開き、竜王の魔力の回復を図りたいというのだ。
「歌を聞いた後の竜王様はとても朗らかな様子でしたが、やはり心身ともに弱っているようです。 この時期のジュエルスタンは危険もありますが、竜王様が起きているこの時期にこそ魔法の恩恵に感謝を伝えてもいいのではと考えたんです」
「しかし外に出ればいつ魔物に襲われるか分からない中で宴の準備を行うなど危険過ぎて許可は出来ません」
現在進行系で討伐に追われている状況下では確かに実現は不可能だ。
しかしランセルは顔色一つ変えずにさらりと言ってのけた。
「その件でしたら後一日お時間を頂ければ後は我々で何とかしましょう」
ほぼ同時にミア以外の人間からその言葉に耳を疑いどよめきが起きる。
「私と彼女の魔力で魔物達を抑えますので、その間に準備をして頂ければ問題ないと思うのですが如何です?」
ランセルの金色の瞳がギラリと光った。
相手は竜族。
ここまで来て断ればどんな報復があるのかと戦慄が走る。
国王は宰相と慎重に話し合いを重ねた後、国王は大きな溜息をつき重い口を開いた。
「……宴の内容はどんなものでも構わないのでしょうか? なんせ時間がないので手の込んだものは難しいので」
「えぇ、急な事ですし竜王の目覚めを祝う『宴』であれば良いのです。 必要なものがあればそれも届けましょう」
「承知しました。 魔物の件については実際我々だけでは限界を迎えていた所です。 そこを救って頂けるならご協力致します」
交渉は無事に成立したのだった。
ミアもホッと胸を撫で下ろす。
「後は私が詳しい説明と取り決めをしてくるから、その間君は何処かで休ませてもらえ」
ランセルはミアを気遣い声をかけた。
「では我々が姫君をご案内しましょう」
するとそこにレオが現れランセルに深々と頭を下げた。
「……侍女はいないのか?」
「はい。 女性は安全な所へ避難させていますので何卒ご容赦ください」
「手厚く願いたい所だが、下手な気を起こせば容赦しない。 よろしく頼む」
「仰せのままに」
「……では行ってくる」
そう言ってミアの方を振り向いたランセルは、ミアの頬にふわっと唇を落とした。
「ラ、ランセル様! 何をするんですか!!」
ミアは熱くなった頬に手をあてながら慌ててランセルから身を離す。
「今の時点では君は俺の婚約者だろ。 悪い虫が付かぬようにしたまでだ。 では後で」
ーー聞かれてしまった。
ミアはグッと口を噤んだ。
「……それでは姫、どうぞこちらへ」
側で一部始終を見ていたレオはミアに微笑みかけると『大丈夫だから』と囁いた。
最後まで読んで下さりありがとうございました。
次回更新は明後日を予定しております。
良ければ評価、レビュー、ブックマーク等もどうぞよろしくお願い致します。
大変励みになります!




