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主人公はとにかくやってみる

 チチチッ チチッ


 魔物とは違う、小鳥らしき声が聞こえる。

 窓から入る薄日と共に、夜が明けたと告げるのだ。

 

「うん……」

 

 思いつく限りのアイデアを書き留めているうちに、そのままテーブルに突っ伏して寝てしまったようだ。

 足元には珍しく床でゴロリと横になったクロノがいる。

 ミアはゆっくり体を起こし両腕を上げて背筋を伸ばすと、机に広げた何枚もの紙を束ねてトントンと整えた。

 

「なんや、もうお日様出てきたんか?」


 音に反応したクロノはくわぁっと大きなあくびをすると、ミアの膝に飛びのり紙束に目を向ける。


「これでどこまで出来るかはわからないけど、やってみる価値はあると思うの」


 ミアはクロノの背を撫でながら口角を上げた。


「昨日よりスッキリしてそうやな」


「書いたお陰で頭の中も整理する事ができたからかな? とにかく今は出来ることを全力でやるの。 クロノも力を貸してくれる?」


「勿論幾らでも協力するで。 でも今まで隠してきたのに、オレが人前に出るようになってもええんか?」


「竜王様から授かったって言えばいいのよ。 誰も細かい詮索なんてしないわ。 それにこれがうまくいけば楽しい事が始まるんだからそんな暇ないわよ」


 ミアは紙の束を手に取り立ち上がると、廊下で掃除をしていた侍女に声をかけ、ランセルの居場所を訪ねた。




「こんな早朝になんだその紙の束は」


 そう呟くランセルも既に部屋で公務を開始していた。


「一度読んで頂けませんか?」


 ミアは力作と思われる企画書をランセルの前にバサリと置いた。

 夜通し考えた結婚回避の為の策が書かれている。

 ランセルは言われた通りその文書を手に取り少しずつ目を通していく。


「どうでしょうか」


「良い方法だとは思うがなかなか実現が難しそうだな」


「やっぱりそうですか……」


 ランセルはしゅんと俯くミアを一瞥すると、口元に手を当て暫く黙り込む。

 そして再び口を開いた。


「だがこれが叶えば竜王の意志も変わるかもしれない。 一度これを軸にじっくり考えてみてもいいかもしれないな」


「ありがとうございます! では早速取りかかりましょう!」


「ダメだ。 君は少し休むんだ」


「嫌です。 こういう時は『善は急げ』ですよ。 だから……」


 ランセルはすっとミアの前に立つと、ミアの額に指を当てた。

  

「また私を寝かそうと……」


「あぁそうだ。 その顔はろくに寝ていないのだろう。 この策には君の体が必要になるのだから今からしっかり整えておくんだ」


 そうしてミアは再びカクン、と眠りにつきランセルがそれを抱きとめた。


「この先は俺が可能な限りやっておく。 だから君は幸せな夢でも見てるといい」


 ランセルは眠ってしまったミアを抱えソファへ寝かすと、企画書を広げ再び机に向かった。


 

 ◇



 同日ジュエルスタンでは魔物対策に頭を抱えていた。

 凶暴化し国境を超える魔物が後を絶たず、早期から行われていた昼夜討伐の長期化も伴い、負傷者は既に昨年を越え尚も増加傾向にある。

 兵士達の疲弊も限界に迫っていた。


「まだ序盤だろう。 これが続けば最後まで保たないかもしれないな」


 会議室には宰相、各騎士団長が集まっていた。


「ラロウド様! 大変です!!」


 そこへ兵士が一人慌てた様子で入って来た。


「何事だ。 また大物でも現れたか」


「違います!! 竜族と思われる方と少女が一人国王陛下に謁見を要求しております!」


「なんだって!?」


 報告を聞きこの場にいた者全員が立ち上がり兵士の方を向いた。

 

「その情報は確かなのか?」


「城門にいる兵士全員がそのように申しております」


「……わかった。 すぐに向かう」


 先に対応に走るラロウドを見送ると、騎士団長達は更に険しい顔つきに変わる。


「まさか竜王……ではないよな。 こんな時に一体何を考えてるんだ」


「しかも少女が同伴ということは……」


「恐らく連れ去ったミアの事だろう。 解放するために来たのならいいが」


 昨日の件は既にリディ達から聞いており、彼等の胸内は穏やかではなかった。


「とにかく俺達も向かおう」


 男達も足早に会議室を後にした。



 ここまで読んで頂きありがとうございました。

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