主人公は提案をする 2
「竜王様!!」
ミアとランセルは息を切らし竜王の元へと走り寄る。
「どうした? 血相をかえて」
「私とランセル様を婚約させるってどういう事ですか!?」
「お主がいなくなってしまうと敵わんからな。 ちょうど年格好が似ているランセルと夫婦になってくれればと思ったんだ」
「先程も申しましたがそもそも我々は竜族であり、そこに人間が介入するのはよくないと以前話していたではありませんか。 彼女は人間です。 この地に留めておくのも如何かと」
「人間といってもミアは使い魔がいるのだから我々の血を分けた者だ。 問題はない」
今の竜王にはランセルの言葉も耳に入らない。
(このままじゃ本当に結婚させられちゃう……!)
「でも私は……」
「次目覚める時にはお前達の子どもがいると思うと、私はそれが待ち遠しくて仕方ない」
竜王は大きな瞳を細めて二人を見つめた。
ミアは必死に思考を巡らせるが、焦れば焦るほど言葉が見つからない。
「……竜王様、少しお時間を頂けませんか」
結局、結論を先延ばすのが精一杯だった。
◇
「すまない、こうなったのは竜王の為にと君を連れてきた私の責任だ」
部屋へ戻る道中、ランセルはミアに頭を下げた。
「いえ、きっとそれだけ竜王様は寂しい思いをしていたんだと思います。 ……だから、ランセル様だけの責任ではないです」
ミアは今にも泣きそうな顔で笑った。
「ただ、あの国には私の大切な人達がいます。 申し訳ないですが、この話はお受けできません」
「私もそのつもりだ。 とにかく早くこの事態を何とかしよう」
「はい……」
ミアは重い足取りでそのまま部屋へと戻った。
「クロノ、小さくなって出てこれる?」
一人になったミアの呼びかけに、クロノは普段通り猫のサイズになってミアの前に現れた。
「心模様は最悪やな。 大丈夫か?」
「大丈夫なわけないよ……」
そう言ってミアは話の顛末をクロノに詳しく聞かせた。
「クロノは使い魔だけど、私とは別の存在なのよね?」
「そうやな、外部契約ってヤツや。 ジュエルスタンの奴らの使い魔は魔力そのものやから騎士団長クラスはあんな立派なんや」
「ということは私は普通の人間ってことよね?」
「転生者な上にウサギスタートやったから常識じゃ普通とは言えんかもしれんけど、中身は魔法の使えない普通の人間や」
「じゃあそれを竜王様に説明すれば……」
「それは逆に危険や。 あの様子やと謀り者言うて怒りを買うやろう」
「そうか……」
ミアは窓を開け、バルコニーに出た。
森に囲まれている為、境目がいまいち分からないが、空には沢山の星が輝いていた。
(力を回復させるのは無理かもしれないけど、私達が結婚するよりもずっと幸せな事があれば、竜王様の寂しさを埋めることはできるはず)
じわりと滲む目元を腕で抑えた。
(自分にできること……歌うこと、ギターを弾くこと。 私にはこれしかない。 でもこれじゃダメなんだ)
ギターという単語に、ミアはお披露目の時の様子を思い出した。
(あの時は楽しかったな……)
賑やかだった人々の声が恋しくなり思いを巡らせた。
「あ……」
ミアは抑えていた腕で涙を拭うと、顔を上げ遠くを見つめた。
(もしかしてこれが出来たら……)
ミアは急いで部屋に入ると、机の中をあさり紙とペンを出して何かを書き始めた。
「ミア、何してんや?」
「思いついたことをまとめてるの。 これがうまくいけば回避出来るんじゃないかな」
ミアは書いては消してを繰り返し、アイデアを言葉に変換させていった。
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