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【番外編付】転生したらウサギでした。〜めげずに(人間の)歌姫を目指したら、イケメン騎士団長達に愛されてました~  作者: 夢屋


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主人公は提案をする

「ミアと二人で話がしたいのだ。 他の者は早く下がれ」


 竜王はミア以外部屋を出るよう命令を下した。


「竜王様、それは危険です! 私だけでもこの場に残ります!」


 ランセルが慌てて申し出たが、竜王はそれをやんわりと拒否した。


「心配は要らぬ。 だが呼んだ時にすぐ来れるよう、部屋の外で待機しろ」


「……承知しました」


 ランセルはそれ以上は何も言わず、部屋にいた兵達を連れて部屋を後にした。

 そして扉が閉められると、洞窟内は静寂に包まれる。


「ミア、私が恐ろしくないならもう少し側で歌ってくれるか?」


「いいんですか?」


「あぁ。 約束を果たそう」


 ミアは顔を綻ばせると、靴を脱ぎオーガンジーの上で滑らぬよう気を配りながら竜王の腹辺りで腰をおろした。

 

「竜王様、次はどのような歌が良いですか?」


 ミアは頭上高くにあると思われる竜王の顔を見上げた。

 

「お主は怖いもの知らずだな」


 竜王はゆっくりとミアの元に顔を寄せた。

 明かりに照らされ竜王の素顔が露わになる。

 その全貌にミアは驚いたが、竜王は目を伏せていたので、きっと怖がらせぬように配慮してくれたのだろう。

 

「竜王様はお優しいです」


 ミアはふふっと笑い竜王の肌をそっと撫でる。

 

「……もう一度さっきの歌が聞きたいのだが」


「喜んで」


 歌に込めた想いが伝わったようだ。

 そうして二人は魔法の成り立ちや人々との関わり等、様々な話を歌と共に語り合った。



 ◇



「竜王様は、眠っている間に夢を見たりするんですか?」


 それからどれ程時間が経っただろうか。 

 竜王の金色に光る大きな瞳ももう怖くない。

 けれどミアの顔に少し疲れが見え始める。


「夢などとっくの昔に見飽きてしまった。 目を覚ましても同じことの繰り返し、つまらぬ人生だよ」


(夢は見飽きた……同じことの繰り返し……)


「ミア、どうした?」


「いえ、少し考え事をしてただけです」


 そう呟くとミアは竜王に自身の身を寄せた。


「竜王様、やはり私だけでは竜王様の寂しさを埋めることは出来ないと思います」


「寂しさ? ……何故そう思う?」


「私が居なくなれば、竜王様はまた寂しい思いを繰り返すのではないですか? それでは意味がないと思うんです。 私は竜王様に……また夢を見たくなるような事を……」


「それはどういう……と、ミア?」


 竜王は腹元でスースーと眠ってしまったミアに気づき、起こさぬようフッと小さく笑った。


「ランセル、まだそこにおるか?」


「はい、ここに」


 ランセルはゆっくり扉を開け竜王の元へ近づくと、その光景に目を見開いた。


「竜王様! 人間をそのような所に置いては!」


「大きな声を出すな。 ただ疲れて眠ってしまっただけだ。 ミアを丁重に運び出してくれ」


「……かしこまりました」


 ランセルは少し眉を潜め眠るミアを見る。


「それで竜王様、お加減は如何でしょうか」


「あぁ、魔力が戻っているのかは分からぬが心は軽い。 心配は要らぬよ」


「左様ですか……。 ではこの者を連れて行った後にまた話をお聞かせください」


 ランセルはミアを抱き上げ竜王に頭を下げると、ミアが寝ていた部屋へと足早に運んだ。


「ん……」


 途中小さな声に気づきミアへと視線を落としたランセルは、眠ったまま胸元の服をギュッと掴み身を寄せてくるミアに思わずたじろいだ。


「おい、何をする!」


 起きているのかと思い声をかけたが、ミアの目は閉じられたままだ。


「ジル……」

 

 そしてポツリと甘えるような声に更に動揺する。

 

(人の名か……?)


 ランセルはミアがその相手と自分とを勘違いしている事に気づくと、暫くミアの寝顔を目を細めて見つめた。

 そしてミアを抱いた手に力を込め更に抱き寄せてやると、眠ったままのミアは薄っすらと笑みを浮かべる。

 

「……なかなか可愛いところがあるじゃないか」


 ランセルはミアの頭部に頬を寄せると、再び長い廊下をゆっくりと歩き始めた。



 ◇



 眠りから覚めると既に日が落ち星がでていた。 

 

(どれぐらい寝てたんだろう……)


 部屋の中を見回すと、テーブルの上に来たときとは違う種類の焼き菓子が置いてある。

 ミアは自分が空腹なのに気が付き、手を伸ばし焼き菓子を一口含んだ。

 

 ドンドンドン!


「失礼する!」


 ノックに返事する間も与えず慌てた様子で入ってきたのはランセルだった。


「!?」


 ミアは驚き口に入っていた焼き菓子を一気に飲み込むハメになった。


「君は竜王に一体何を言ったんだ!?」


「?」


 ランセルは困惑した表情でミアを見る。

 ミアはむせながらも何か気に障るような事を言ったのかと首を傾げた。


「竜王様はどういった事で怒っているんですか?」


「そうじゃない! 先程竜王が私と君とを婚約させると言い出したんだ!!」


「えぇ!?」


 ミアは何とか呼吸を確保した口から大きな声を上げた。

 それは竜王の気まぐれだろうか。

 ミアはランセルと共に竜王の元へと急いだ。


 

 最後まで読んで下さりありがとうございました。

 次回はまた明日更新予定です。

 良ければ評価、レビュー、ブックマーク等も大変励みになりますのでどうぞよろしくお願い致します。

 

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