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【番外編付】転生したらウサギでした。〜めげずに(人間の)歌姫を目指したら、イケメン騎士団長達に愛されてました~  作者: 夢屋


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主人公は慌てふためく

 三日後にミアが店で歌うことが決まったある日のこと、ミアは複雑な表情で教会前の階段に腰掛けていた。

 

(この後ジルが来るんじゃないだろうか……)


 暫くしまっていた自身の恋心が反動で忙しなく動き出し、頭を抱えていた。

 何故こんなことになったのか。

 それは三十分程前の出来事から始まる。

 

 ヴィオラとミアは教会にあるパイプオルガンの前に立っていた。


「どこかに違和感は感じるかい?」


 ヴィオラは低音から高音へと順に鍵盤をゆっくりたたき音を鳴らしていく。

 ミアはそれぞれの音に耳を澄ました。

 

「こことここがズレてます」


「正解だ。 すっかり耳も良くなったじゃないか」

 

 ヴィオラに珍しく褒められたミアはパァッと目を輝かせた。

 

「初舞台が楽しみだね。 人は集まりそうかい?」


「常連のお客さんが殆どですけど、何とかなりそうです」


「そりゃ良かった。 で、あの騎士団長共も呼ぶのかい?」


「え?!」


「親しげにしてるじゃないか。 彼奴等が来ればかなりの集客力になるだろう」


「いや、でもあの人達も忙しいでしょうし恐れ多いです……」


 そう言いながら赤い顔で俯くミアを見たヴィオラは、顎に手を当て何やら考える。


「……あんた、好きな奴でもいるのかい?」


 即座に答えが返せなかったミアを見たヴィオラはニヤリと口角を上げた。


「何が恐れ多いだよ。 ホレ、誰なんだい。 白状してごらん」


「いやいやいや! 今はそれどころではないですし!」


「……お取り込み中で申し訳ないんですが……」


 その声にミアは軽く飛び上がった。

 いつの間にか調律をしに眼鏡をかけたジルが立っていたのだ。

 

「ヴィオラさん、いい加減専門家に頼んだらどうです?」


「彼奴等は金を取りすぎるんだよ。 それにお前のほうがより正確に出来るから助かる」


「嬉しいお言葉ですが、そろそろ金とりますよ」


「まぁまぁ、そうつれない事を言うんじゃない。 もうすぐしたら金以上のものが手に入るさ」


「……?」


 後ろで縮こまっていたミアに気づいたヴィオラはニヤリと口角を上げて笑う。

 

「ミア、音を当てた褒美をやるから入り口で待ってるんだよ」


 今まで見たこともない程の笑顔を見せるヴィオラに少々慄きながら、蚊の鳴くような声で返事をした。


 そして今に至る。

 

「お前はまたご飯も食べずに来てたのか?」


「け、今朝はちゃんと食べてきたよ……」


 調律を終えたジルが背後から声をかけてきた。

 ミアは声のする方を向けないままに返事をする。


「……どういうことだ?」


 どうやらヴィオラのご褒美とはミアにご飯をご馳走するというものらしいが、その役目を担ったのがジルらしい。

 その真意は謎だがまぁ一つしかないだろう。

 思わぬ展開に二人の間に微妙な空気が流れ始める。


「……昼飯までまだ時間あるし、予定がないなら図書館までついてきてもらってもいいか?」


「……うん」


 そして二人で街を出歩く事になったのだ。



「この街にも図書館ってあるの?」


「あぁ、この奥に入ったところだ」


 そのままついていくと、図書館とは気づかないような外見の家に辿り着く。

 開けてみれば思っていたより中は広く、古紙の匂いがふわっと漂い、専門書かと思われる分厚い本が数多く並んでいた。

 

「なるべく早く済ませるけど、待つようなら外で待っててくれ」


 そう言ってジルは慣れた様子でスタスタと奥へと進んでいった。

 取り残されたミアは、一先ず音楽に関するコーナーを探し始めた。

 その途中でも興味が唆られる本が数多くあった。

 星に纏わる神話。

 食材や調味料の図鑑。

 ドラゴンについて書かれた書物。

 その他諸々。 

 転生してきたミアにとっては知らない事ばかりで気になる本があれば手に取りパラパラと捲っていった。

 そうしてようやく音楽に関する書物が置かれたコーナーへと辿り着く。

 やはり専門書が多いようで本屋には置いていない楽器に纏わる書籍を見つけた。

 しかし音楽という分野はあまり読まれていないのか、それは高い位置にしまわれていた。


(う……届かないかな……)


 ミアは背伸びをして思い切り手を伸ばすが引き出すまではいかない。

 

「それがいるのか?」


 するとふっと人影が降りてきた。

 背後からジルが手を伸ばし目的の本を引き出したのだ。

 その瞬間、互いの体が僅かに触れ合った。

  

「これでいいか」


「うん、ありがとう……」


 ジルはほんのり頬を赤く染め見上げるミアの顔に思わず息を呑んだ。

 そして互いの距離の近さにようやく気づき慌てて体を離した。


「わっ、悪い……」


「大丈夫……」 


 思わぬ展開に二人は顔を赤らめ暫く動けず立ち尽くすのだった。



  

 

 


 

 


本日も最後まで読んで下さりありがとうございました。

 良ければ評価、レビュー、ブックマーク等も大変励みになりますのでどうぞよろしくお願い致します。

 


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