波乱のトライアスロン!
トライアスロン、遂に当日!
何だかんだと騒がしい毎日が過ぎ、あっという間にトライアスロン当日となった。大会当日、朝から会場は大分賑わっていた。スタートは10時、参加者は8時半から受付を行い、それぞれスタートの準備をしていた。
「今年は多いな!」
「確かに……どうしてだろうな?」
「伸介、知らないのか?」
「何をですか?」
武人はスマホを伸介に見せる。
西田拳闘会ホームページ
来たれ、世界チャンピオンに挑戦する男!
8月10日に行われるトライアスロン、西田拳闘会からは世界チャンピオン·甲斐拳人が出場!挑戦する奴は、当日、会場に集合だ!
おまけとして、甲斐にコテンパンにされた佐伯も居るし、過去の栄光で威張ってる喜多と手塚も居る。是非ともノックアウトして欲しい!
徳井も居るけど、お手柔らかに!
「成る程……謙二、見てみろよ」
「これが原因か……参加選手が増える訳だ」
「黒崎、目指せ完走だな?」
「大斗……お前が言っても説得力がない」
「何でだよ?」
「……やる気満々じゃねぇか……現役の時の格好だろ?」
「バレたか……今年はお前に勝つ!」
「はいはい……」
謙二達は、なかなか盛り上がっている。
一方で、かなり騒いでいる場所が有った。
「おい喜多、見たか?」
「見たよ、馬鹿西田だろ?」
「おう、あの馬鹿!」
「喜多君も手塚君も、少しは落ち着いて」
「落ち着いていられますか!」
「佐伯君、荒れてるね?」
「拳人にコテンパンに何てされてませんよ!」
「いや、事実だろ昴?」
「お前は馬鹿か?…大体だな、俺はKOされてねぇ!」
「分かる分かる……西田の馬鹿、本当に困るよな?」
「本当に……あの馬鹿、1度葬るか?」
「……タコ殴りだな……」
「石谷さん、不満爆発してますよ?」
「酷い書き込みだからな……しかし、返信見たか?」
『返信?』
「馬鹿に拍車が掛かったな、大馬鹿を通り越して天然記念物馬鹿だ!徳井と甲斐の心労を心配する。喜多に手塚、篠原さんと一緒に西田から離れて大正解だな!西田、馬鹿田に改名しろ!……だそうだ……流石は池本だな、海の向こうからご苦労様だ」
「分かってる人は分かってるな!」
「うむうむ、流石は池本さん」
「しかし……やっぱり俺もジム移ろうかな?」
「待って下さいよ徳井さん!…俺のトレーナーは?」
「馬鹿田さんがやってくれるよ」
「拳人、今より馬鹿になるなよ!」
「ならねぇよ!……喜多さん手塚さん……」
「「断る!」」
「俺達は自分達で強い選手を作る!」
「どちらかといえば、お前は敵だ!」
「そういう事!…僕達は、打倒甲斐拳人だ!」
「そんな~……」
「佐伯、俺と川上ジムにするか?」
「いいですね!」
「辞めて下さいよ~……」
物凄く賑やかである。
スタート30分前、誰もがアップに余念がない。
「謙ちゃ~ん、居たら前に来て~!」
放送が流れ、謙二は急いで前に行った。
「謙ちゃん、やっぱり居たね!」
「鬼ちゃん、どうしたの?」
「今日はさ、僕のラジオ番組の特別スペシャル!……トライアスロンと一緒に、ラジオの生放送!」
「本当!…楽しそうだね!よろしく!」
「はい、謙ちゃんマイク!」
「???」
「は~い、みんな!鬼ちゃんだよ~!……今日は、ここから生放送!トライアスロンからその後までと、その後の特別トークスペシャルも有るよ!……パートナーの謙ちゃん、挨拶!」
「待ってよ鬼ちゃん、俺はトライアスロン参加だよ?」
「途中で、番組スタッフがインタビューをするからね!」
「マジで?……頑張るよ……」
「それから、トライアスロン後は一緒にMCだからね!」
「それもやるの?」
「当たり前!…さぁ、楽しくなるよ~!……では、本場までもう少し待っててね~!……謙ちゃん、締めて!」
「トライアスロンもラジオのMCも頑張りま~す!」
『ワァ~~~~~~~~!』
スタート前に、会場は温まった様である。
このトライアスロンだが、参加人数が多いのには西田拳闘会の西田会長の力だけではない。この人気ラジオ番組の生放送の件と、実はトライアスロンの練習の一環に出場する実業団の選手は多く居た。丁度いい時期の大会となっているのである。
色々な思惑が有るこの大会、もうそろそろスタートとなる。
9時45分、いよいよスタート間近となった。ここで放送が入る。
「皆様、只今より特別ゲストでスターターの西田拳闘会の西田会長より挨拶が有ります」
「あ~、あ~、本日は晴天なり本日は晴天なり……大丈夫ですね……本日は天気もいいみたいですし、素晴らしい大会になる事でしょう。西田拳闘会からは、甲斐拳人が参加しています。皆さん、勝てないでしょうけど、頑張って対抗して下さい。特に、元世界チャンピオンだと過去の栄光にすがっている者、ボコボコにされたのに強がっている者は身の程を知るでしょう…………それでは……みんな、優勝してメダルを獲得するぞ~!」
『オー!』
「魚政さんの商品券をゲットするぞ~!」
『オー!』
「盛り上がって来た所で1曲!……北の~、酒場通りには~……」
[スパーン!]
素晴らしく気持ちのいい音が放送された。
「酷イヨ拳人」
「馬鹿拳人、エリーを置いて1人で旅行か?…昴君は、奥さんも連れて来てるのに!……この馬鹿息子~!」
放送が終わった。
「拳人、まずいんじゃないか?」
「昴……お前、奥さん……」
「おう、連れて来てるぞ…あっちの旅館にな!」
「……俺にも教えろよ……」
「常識だろ?」
武人が拳人の所に来る。
「あれは、間違いなく美里だな?」
「おう……俺の奥さんも一緒の様だ……」
「……後でこってりとだな……」
「覚悟してるさ……」
話をしている間に時間となる。西田会長がピストルを持ってスターターに立った。西田会長はピストルを構え、青空にピストルの音が響き渡った。トライアスロンスタートである。
波乱のスタート!