熱い夏だよ、全員集合!
さて、その後のみんなは?
暑い夏が来た。本日も海は大盛況である。
「謙二、どこ行くの?」
「そりゃあ……夏謙何処に行くんだ?」
「ブルー·マリンでしょ!…お父さん、昨日から言ってるよ!」
「だそうです!」
「……息子の方がしっかりしてるって……どうしようもないんじゃないの?」
謙二と夏海はブルー·マリンに向かった。一緒に歩いてる男の子は黒崎夏謙10歳である。この2人の子供である。
「こんにちは~!」
「誰か居る~?」
「伸香ちゃ~ん、遊びに来たよ~!」
「は~い、いらっしゃい!」
迎えてくれたのは大槻伸香、今年中学2年生の女の子である。伸介と春香の子供であり、謙二が帰って来た時に春香のお腹の中に居た子である。
「お~、夏謙来たのか?…あっちで遊ぼうぜ!」
「え~、春介君は乱暴だからな~……」
「そう言うなよ、着替えて海に行こうぜ!」
「……分かった、海に行こう!」
夏謙は春介に連れられて、奥の部屋に入って行った。春介は伸介と春香の子供であり、伸香の弟である。夏謙と同じ年である。
「よう、謙二……まぁ、上がれよ……夏海ちゃんもどうぞ」
「悪いな」
「ありがとう」
「伸香、お茶でも出して」
「は~い」
謙二と夏海は伸介に案内される。
「春香ちゃんは?」
「買い物……今日はお客が多いんだ」
「5日後にトライアスロンだからな」
「トライアスロンか~……懐かしいな~……」
「はい、お茶をどうぞ……トライアスロン、最初の優勝は謙ちゃんおじさんなんでしょ?」
「よく知ってるね!…おじさん、頑張ったんだよ!」
「凄いよね!……うちのお父さんなんか、得意の剣道さえ最近はお腹が邪魔で……」
「何だよ伸香?……いいじゃないか?」
「よくないよ、格好悪い……」
「伸香ちゃん、伸介は凄かったんだよ!…ママチャリでさ……」
「そこまでだ!……あれはいい思い出じゃない!」
「賞を取ったじゃないか?」
「あのせいでな!……暫くママチャリでトライアスロン参加させられたんだぞ……毎年、トライアスロンが終わると酷い筋肉痛だったんだから……」
「そうかそうか……伝説のママチャリ男も大変だな?」
「謙ちゃんおじさん、そんなにお父さんは凄かったの?」
「そりゃあな……なぁ、夏海?」
「確かに凄かったよ!……剣道は格好良かったし、何にも一生懸命で……まさか、こんなにお腹が……ねぇ?」
「何だよ?」
「2人共、伸介がこんなに太ると思わなかったんだって!」
「お帰り春香ちゃん!」
「お邪魔してます!」
「ごゆっくり!」
「失礼な……ご飯が旨いんだからしょうがないだろ?」
「それを言われると、どうしようもないんだけどさ!」
「毎回これ……こっちが疲れるよ……」
「伸香ちゃん、ご苦労様」
「大変だね?」
謙二が帰って来てから、10年以上が経った。謙二も伸介もいいおじさんである。2人共に46歳、顔には深い皺が入っている。
謙二はイベント会社に入社しており、こちらの支社で支社長をしている。地元を盛り上げるのに一役買っている。色々なイベントを計画し、悉く成功している。この成功から、謙二の会社はブルー·マリンから少し離れた所に民宿を作った。ここの女将は夏海がやっており、ここも大成功となっている。夏海も忙しくなり、秋江と一緒に住む事になった。順風満帆である。
一方の伸介だが、こちらはブルー·マリンをしっかりと経営していた。客足が遠退く冬も謙二のイベントが有り、客足の確保がしっかりと出来ていた。この辺は、謙二に感謝の様である。春香は伸介をしっかりとサポートしており、何だかんだと上手くやっている。こちらも順風満帆である。
本日は懐かしい話をしに来たのではない。どうやら、謙二も夏海も有給休暇を取ってブルー·マリンに来ている様だ。
謙二達が少し話をしていると、
「すいませ~ん」
「誰か居ませんか~?」
「こっちに馬鹿2人が居ると聞いたんですが?」
「2人程、感染したと聞きましたが?」
玄関が騒がしくなり、謙二と伸介が奥から出て来た。
「やあやあやあ、お久しぶりですね?」
「こんにちは!」
「篠原さんに冬美ちゃん!」
「お久しぶりです!」
「来たな、馬鹿2人!」
「久しぶりに見たけど、馬鹿そうだな?」
「その口の悪いのは、石谷と岡崎だな?」
「お前達よりマシだ!…馬鹿トレーナーに馬鹿社長!」
「馬鹿とは何だ馬鹿とは?…客だぞ?」
「馬鹿を馬鹿と言って何が悪い!」
「そうだ、謙二もっと言え!」
「大槻……妊娠8ヵ月目か?」
「うるせぇ岡崎!…お前も馬鹿だ!」
「玄関先で揉めないの!」
『すいません……』
「篠原さんに冬美ちゃん、いらっしゃい……こっちの賑やかな人達は?」
「トレーナー仲間の石谷さんに、建築家の岡崎さん」
「私達の知り合いで、謙二さんと伸介さんの友達!…ね?」
「川上ジムのトレーナー、石谷です」
「建築家の岡崎です……我々は、そこの馬鹿2人と介っちの友達です」
「介っち?」
「高松の事さ」
「高松康介の友達……あいつに、とうとうちゃんとお礼が言えなかった……」
「そこは大丈夫さ……お前達の今の姿を見ればな……」
「高松、きっと今の姿を思い浮かべてたんだろうな……」
「みんなで何やってんの?…案内して!」
「そうだな……夏海も荷物運びを手伝って」
「分かってるわよ!」
「篠原さん、荷物持ちますね!」
「冬美ちゃんは、夏海に任せて……お前等2人は自分で持て!」
「そうするよ!」
「黒崎に優しくされたら気持ち悪いわ!」
「あ~あ~、そうですか!」
「ちょっと、石谷トレーナー……」
「あ、悪い悪い……こっちの奴等も頼むわ……自己紹介」
「SKTナックルキングジムのトレーナー、喜多です」
「同じく手塚です」
「西田拳闘会に今は在籍している徳井です」
「佐伯です……一応、元プロボクサー……」
「あ~!佐伯昴!…私、ファンなんです!……今度のドラマ、楽しみにしてます!」
「ありがとう、嬉しいよ!」
「な~にが嬉しいよ!だ…このムッツリビンクめ!」
「気を付けなよ、お嬢さん……こいつ、本当に助平だからね!」
「ちょっとちょっと、喜多さんに手塚さん、酷いですよ!」
「私は気にしません!…大槻伸香です。よろしくお願いします!握手もお願いします!」
「お、おう……よろしく」
「相変わらずモテるな~……西田拳闘会所属、現役の甲斐です」
「お?…現役世界チャンピオン!……悪いんだけどさ~、サインと握手を!」
「待て待て待て、謙二、俺が先だ!……というより、他の人達のも欲しいな!」
「凄い面々……」
「圧倒されるね……」
「所で、どうしてここに?」
「何か目的でも?」
「馬鹿だな~……こいつ等とここに来て……」
「この時期だからな」
「トライアスロン参加でしょ?」
「僕達も、当然参加!」
「あれな、篠原さんと石谷トレーナーに負けたらここの費用持ちな!」
「拳人の場合、徳井さん達に負けても費用持ちでしょう?」
「佐伯、冴えてるな!」
「どうしてだよ?」
「甲斐、諦めろ……篠原さんと石谷トレーナーの目が輝いてる……」
「うぐ……」
豪華な客がやって来た。どうやら、目的はトライアスロンらしい。凄い事になりそうである。
この後、武人と大斗がブルー·マリンに来たのだが、
「あれ?…2人も来たの?」
「今日だっけ?」
謙二と伸介の反応は薄い物であった。
熱い熱いトライアスロン……どうなる事やら……