思わぬ敵?
これからどうなる?
大輔が亡くなり少し経った頃の事、夏海は思い詰めた顔をして春香と所に来ていた。既に謙二と伸介もおり、夏海は2人にも話をする事にした。
「あのさぁ……」
「どうしたんだ?」
「何か有ったの?」
「実は……」
「夏海ちゃん、話辛い事なの?」
「少し……あのね、私……お母さんの所に行こうと思うの……」
「秋江さんの所?」
「うん……」
「どうして?……今高校2年でしょ?」
「そうだけどさ~……お爺ちゃんも居ないし、ブルー·マリンも……」
「それなんだけどさ、俺が経営をしようと思って……あそこは無くしたくないからさ」
「伸介さんがやるの?」
「似合わないかな?」
「うん!」
「……はっきり言うなぁ……でも、もう決めたんだ……」
「私も決めた!…私もブルー·マリンを手伝う!」
「春香ちゃん?」
「この店は?」
「浜名さんに上げる!」
「お菓子みたいに……」
「簡単過ぎない?」
「いいの!…私が決めたんだから!……どう、夏海?」
「私は居てもいいの?」
「当たり前でしょ!…あなたの育った所でしょ!」
「夏海ちゃんが良ければだけどね」
「……ありがとう……私、ここに居たい……」
「とりあえず、頑張る事にするよ……謙二、お前が帰って来た時に、がっかりしない様にな!」
「おう、頼むな……俺は、もう少し色々やってみるさ」
「頑張れ、謙二君!」
「はいはい、頑張りますよ」
「……必ず帰って来てよね」
「勿論さ……とはいえ、出発はまだ先だな……ブルー·マリンがある程度落ち着くまでは、このままだな」
この日、今後の事が決まった。伸介はブルー·マリンを守ることにし、春香はそれを手伝う事になった。夏海は残り、謙二は出て行く。それぞれの道が決まった。
進む先が決まったとはいえ、やる事はたくさん有る。
まずは夏海の事である。いくら本人がここに居たいと言ったとしても、母親である秋江の許しを得ないと話は進まない。これについては、春香が秋江と話をした。秋江は忌引きを取っており、ブルー·マリンに泊まっていた。
「夏海もここが気に入ってるし、このままここを無くしたくないし……私が伸介君とやるから、今は夏海の好きにさせて下さい」
「……夏海の好きにさせる事にしてます。あの娘が良ければ、お願いします」
意外にこの話はすぐに決まった。
「それから……ここの権利書はあなた達に譲るわ……私には、ここは少し広いみたい……」
秋江の言葉で、とりあえずは伸介が後を継ぐ形となった。
商店街の人々や大原兄弟はブルー·マリンを何かと気遣い、伸介と春香を助けてくれていた。何となく上手く行く、誰もがそんな気がしていた。
「もう少し様子を見て、俺も出発するかな」
「おう、こっちは何とかなりそうだ!」
「伸介、世話になったな!」
「こっちそこ!…あんたが居て、本当に良かった……この夏は、一生の宝物になった!」
「俺こそだ!……伸介、俺が帰って来た時に、ブルー·マリンが無くなってない様にな!」
「あんたは~……とりあえず、全力で頑張るさ!」
謙二も伸介も、この先は何とかなると信じている様だ。
9月の半ば、朝10時にとある方々がブルー·マリンを訪問した。
「すいません」
「はい!…いらっしゃいませ」
「我々、銀行の者でして……」
3人のスーツ姿の男の1人が名刺を出し、春香に渡した。大切な話が有るとの事、春香は奥に通し伸介を呼んだ。
「すいません。私は信用金庫の支店長をしております、渡部信吾と申します」
「同じく、私は副支店長の澤部徹と申します」
「私は融資担当の木ノ下博夫と言います」
「大槻伸介です……それで、大事な話とは?」
3人がお互いの顔を見合せ、木ノ下が話し始めた。
「川本大輔さんが亡くなった事は、誠にご愁傷様です……こんな時にあれですが……実は我々は、ここに融資をしてまして……」
「融資?」
「聞いてませんか?」
「特には……」
「私も聞いてない……」
「それで……誠に言い辛い事なんですが……貸している融資の返済を……」
「融資の返済?」
「はい……これから頑張らないといけない時期とは思いますが……なにぶん本社の決定事項でして……」
「……それで、融資はいか程……」
「3000万円です」
「そんなに?」
「3000万円!……いつまでに……」
「……今月中に……」
「今月中?……それはいくら何でも……」
「確かに言い分は分かりますが……本社の決定は覆せません……」
「申し訳ございません。本社には掛け合ったんですが……」
「我々の言葉は、頭取には届きませんでした……」
このタイミングで謙二が入って来る。
「融資の返済?……今月中は無理ですよ~!」
「無理なら……この土地と建物を押さえると……」
「ちょっとちょっと~!…それは余りにもなんじゃないの?」
「確かにそうかもしれませんが……」
「すいません……我々の気持ちも、どうか分かって下さい」
銀行の3人は立ち上がり、頭を下げてからブルー·マリンを出て行った。ここに来て、何ともいきなりな話である。
この日の夜、伸介はこの話を夏海に話した。後約半月、3000万円もの融資をどう返すか、難しい問題である。
この問題は、商店街全てが何とか解決しようと考えていた。誰もが、ブルー·マリンを残したいと考えていた。しかし、実際の問題、3000万円もの大金を半月の間に用意するのは困難である。誰もが頭を悩ませていた。勿論、謙二と伸介もである。
大きな問題が……




