最後は盆踊り!
遂に盆踊り!
無事にラジオ放送も宝探しも終わった。怪我人も出る事なく、成功といった所だろうか。
盆踊りには、狙い通りにたくさんの人が来ていた。
「謙二さん!」
「ああ、藤堂さん…海道先生も来てたんですね?」
「楽しそうでしたのでな……思った以上に、楽しい物でしたじゃ!」
「それは良かった…宝探しに参加したんですか?」
「そうなんだけどさぁ……海道先生頑張っちゃって……」
「何処か怪我でも?」
「謙二さ~ん、大変だったんですよ~!」
「どうしたの、冬美ちゃん?」
「海道先生張り切り過ぎて……海に落ちちゃって……」
「え?…海に落ちたの?」
「そうなんですよ……お陰で、荷物が増えまして……」
「問題なかろう?…濡れた服を持ち帰るだけじゃ!」
「居た居た、海道先生に武人さん!」
「伸介!…大変だったんだぞ……」
「儂が海に落ちたくらいで何じゃ!」
「落ちたんですか?」
「伸介さん、大変でした……」
「悪いね、冬美ちゃん……」
「まあまあまあ、怪我人が出なかったんだから、とりあえずはOKでいいんじゃないの?」
「流石は謙二さんじゃな!…この2人は頭が堅くていかん!……つまらない人生になってしまうぞよ?」
「流石は海道先生!…藤堂さんも伸介も、俺を見習えよ!」
「……こちらも選ぶ権利は有る!」
「……謙二さんは、少し緩過ぎだよ……」
「みんなで言い争いしないで、盆踊りを楽しみましょう!」
冬美が1番大人である。
会場の設営は、町内会で数日前から行っており、盆踊りの準備万端である。ここの盆踊りは、生歌が売りである。今回歌うのは、大原兄弟である。何かと出来る、頼りになる兄弟である。
謙二達も会場に着いた。
「謙ちゃ~ん!」
「鬼ちゃん、こっちも参加してくれんの?」
「当たり前じゃない!…折角だからね!」
「ありがとう!…当選番号発表、盛り上げていこうね!」
「勿論!」
「謙二さん、俺達に労いの言葉は?」
「疲れたんですけど?」
「あれしきで疲れるなんて、若者としてどうかと思うぞ?」
「「うわ~……」」
「まあまあ謙ちゃん、2人共頑張ったんだから!」
「鬼ちゃんは甘いなぁ」
「「!?」」
「もしかして、頑張らナイトの鬼ちゃんですか?」
「私達、大ファンなんです!」
「そうなの?…ありがとう、嬉しいよ!」
「握手いいですか?」
「私も!」
「構わないよ!」
「……鬼ちゃんも盆踊りに参加してくれんだ、お前達もしっかりやれよ!」
「「はい!」」
「鬼ちゃん効果、絶大だな……」
この騒ぎで、鬼○の周りは人集りが出来てしまった。とはいえ、そのお陰も有り盆踊りの人はかなり集まった。最後の仕上げである。
18時になると、音楽が鳴り始める。
「はぁ~あ~~、あ~え~………………」
友繁の歌声が聞こえ始めた。矢倉の周りには、何人かの人が踊り始めていた。それに釣られる様に、何人かが踊りに参加し始めている。
「武人、参加するぞい!」
「はい、喜んで!」
「鬼ちゃんさん、一緒に踊りましょう!」
「盛り上げましょう!」
「そうだね!」
「伸介さん、私達もね?」
「勿論参加だね!」
「夏海!…一緒に参加するぞ?」
「勿論!…盛り上げるよ!」
「俺は……」
「社長は邪魔!」
「やる事有るんでしょ?」
「お爺ちゃんは、本部席でしょ!」
大輔は、みんなに追い出される形で本部席に向かった。
「あ~あ、大輔さん可哀想……」
春香は焼きそばを焼きながら、ボソッと呟いた。
盆踊りが中盤に差し掛かった頃、アナウンスが入る。
[それでは……ラッキーナンバーの当選を発表します!]
みんなが動きを止め、本部席のマイクに耳を傾けた。そんな中、謙二と鬼○だけが本部席に走って乱入し、マイクを強奪した。
「みんな~、頑張らナイトの鬼ちゃんだよ~!」
『うわぁ~!』
「何と、謙ちゃんも居るよ~!」
「謙ちゃんで~す!」
『ヒュ~!』
「今日は、公開放送ありがとうね!」
「鬼ちゃん、みんな後悔してたりして?」
『アッハッハッハ!』
「謙ちゃん、上手い事言うね!…腕、上げたんじゃないの?」
「やだな~、前からこのくらいは持ってたよ!」
「やっぱり、謙ちゃんは楽しいよね!」
「鬼ちゃんには負けるけどね!」
「では!……ここからラッキーナンバーの当選番号は我々が発表しま~す!」
「頼まれてないけど、勝手にやっちゃうよ~!……みんな、ニューヨークに行きたいか~!」
『オ~!』
「自分のお金で行きなさい」
大爆笑が起こっている。
「謙ちゃん、それいいね!…今度使わせて?」
「別にいいけど、1回500円ね!」
「ちょっと~、元々は謙ちゃんの物じゃないでしょう?」
「バレてた?…鬼ちゃんには敵わないな~!」
「では、まず1組目…ジャカジャカジャカジャカジャカジャン!……ナンバー24番!…前に出て来て~!」
「来た来た、おめでとう!…賞品は……川本大輔のサイン色紙?……いらなくね?」
「何だと謙二?」
「まあまあまあ、とりあえずはおめでとう!……捨てるなら、少し離れた所にね!」
「流石鬼ちゃん!……では次……ナンバー……7番!」
「はい、商店街の商品券!」
「これはいいね!」
「次は……ナンバー12!」
「はいはいはい、今度は……おめでとう、ドローン!」
「やったね!……次は…………28番!」
「賞品は……何と、鬼ちゃんのサイン色紙!…最初とえらい違いだな?」
「聞こえてるぞ、謙二!」
「地獄耳め……とりあえず、おめでとう!」
なかなかの盛り上がりで進んでいる。楽しい発表となっていた。
「さぁ、最後!…これは僕からの特別賞!……景品は、1万円分の番組特製クオカード!……この当選者は……謙ちゃんの独断と偏見でお願いします!」
「任されました!…俺の独断と偏見で、本日1番頑張った美人さんにお渡しします!……本日No1の美人、この夏この浜辺でNo1は…………」
「ジャカジャカジャカジャカジャカジャ~ン!」
「川本夏海!」
「はえ?」
「ほら、夏海前に!」
「私?…冗談じゃなくて?」
「何やってんの、ほらほら!」
謙二は本部席から出て来て、夏海の手を引いて前に出て来た。
「それでは!…こちらを贈呈しま~す!……おめでとう、夏海ちゃん!」
「おめでとう、夏海」
「ありがとう!」
周りから、物凄い拍手が起こった。確かに盛り上がっている。
この後も盆踊りは盛り上がっていた。鬼○の参加も有ったが、謙二と伸介を始めとする若者達の頑張りが大きかった。盆踊りは大成功の様だ。
夏海ちゃん、おめでとう!