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面倒な男ともっと面倒な男!

トライアスロンは前途多難?

大斗を部屋に案内した伸介、荷物を置いて話し掛けた。

「オリンピックに出て、何でそんなに謙二に拘るの?」

「さっきも言ったけどさぁ……俺がどれだけ活躍したって、黒崎謙二のが上だと世間は言って来るんだよ!」

「しかし……メダルを取れなかったお前も悪くないか?」

「あのなぁ、簡単にメダルが取れるかよ!」

「……メダルを取ってないのに、それを差し置いて他人(ひと)のせいか……案外、あんたもダメな奴なのかもな」

「何だと~?…何も知らないくせに!」

「知らなくて結構……それでは失礼します」

伸介は1階に降りて行った。

「おい、謙二」

「何だ?」

「面倒な男だな?」

「大斗の事か?……確かに面倒な性格ではあったんだけどなぁ……あんなに面倒な奴じゃなかったんだけどなぁ……」

「お前が、変な引退したからじゃないのか?」

「変な引退?…普通だぞ?……普通に……オリンピックの選考レースで優勝して、会見開いて引退しただけなんだが?」

「あのなぁ……オリンピック選考レースで優勝して、引退する奴はなかなか居ねぇよ!…普通は、オリンピックの後か選考レース前で引退だ!」

「そうなのか?……でも、引退するのは決めてたから……同じだろ?」

「……山崎大斗より面倒だ……」

謙二の考え方に、伸介は少し疲れた様である。


本日の仕事は、謙二と伸介は変わらずである。焼きそばや焼き鳥を始め、海鮮物を焼いたりかき氷を売ったり、必要に応じてラーメン等の昼の対応もしている。夏本番、かなり忙しい事になっている。

「……暑い……」

「それを言うな……余計に暑い……」

「しかしだなぁ……暑い物はしょうがないだろ?」

「だから、それを言うな!…馬鹿謙二!」

「悪口はないだろ~、変態伸介!」

「誰が変態だよ!」

「出したじゃねぇか!」

「事故だ!」

「どうだかねぇ……」

「すいませ~ん、かき氷2つ……私は苺……」

「後、レモンね!」

「「はい、ありがとうございます!」」

「……喧嘩してたと思ったら……このスケベ!」

夏海が舌を出し、2人にあっかんべーをしてブルー·マリンに入って行った。

「おいおいおいおいおい、何してんだ黒崎謙二!」

「……面倒なのが来たよ……」

「面倒とは何だ!」

「地獄耳め……」

「また文句かよ?」

「……所で何だ?…俺は仕事中だ……」

「大会まであと少しだろ?…練習しろよ!」

「別に……勝たなくても構わねぇしな……」

「ふざけるなよ!…本気のお前を倒さないと、俺の意味がねぇ!」

「お前の都合は知らん!……俺は俺の都合で生きてるんだ」

「だからってなぁ……適当にやったら、許さねぇからな!」

「……適した所に当てると書いて適当と読む……決していい加減という意味ではないと思うが?」

「屁理屈ばっかり言ってんじゃねぇ!…兎に角、全力で来い!」

「全力……俺にはここの仕事が…」

「いいから!…全身全霊で勝負しろよ!…約束だからな!」

大斗は走って何処かに行ってしまった。

「……勝手に約束してったよ……どうする、伸介?」

「どうするったって……お前の問題だろ?」

「連れないなぁ……しかし……面倒だな……」

大斗だけが、1人かなり熱くなっている様である。


その日の夕方、仕事も一段落した謙二と伸介、ブルー·マリンに戻ると洋平が自転車を届けてくれた。なかなかの自転車である。

「壊さないで下さいよ?」

「大丈夫だよ……ある程度だからな」

「それはまずいんじゃないか?……あの、暑苦しい男が居るだろう?」

「何とかなるさ……それより、少しバイクの練習しないとな……伸介、付き合え!」

「練習って……俺はこのママチャリだぞ?」

「いいから!…とりあえず、街を1周してくるぞ!…付いて来い!」

「おいおい、待てよ~!」

謙二は借りたロードバイクに乗り、それを追い掛ける様に伸介はママチャリに跨がった。


1時間程して、謙二がブルー·マリンに戻って来る。

「……こんな物かなぁ……」

謙二は自転車から降り、自転車をブルー·マリンの近くに置いて鍵をした。謙二はブルー·マリンの中に入り、大輔に許可を取ってお風呂に入っていた。

「おい、何1人で風呂に入ってんだ!」

伸介が大汗を搔きながら、タオルを肩に掛けて入って来た。

「遅いんだよ……」

「あのなぁ、俺はママチャリなんだよ!…付いて行ける訳ねぇだろ!」

「しかしなぁ……夏とはいえ、身体が冷えると問題だろ?」

「だろ?じゃねぇ!!……お前は、本当に薄情な男だよ!」

「……そんなに怒るなよ~、どうせ優勝出来ないだろ?」

「それとこれとは話が違う!」

「……細けぇ奴だなぁ……」

「細かいとは何だ!」

お風呂の中まで騒がしい2人である。


トライアスロンが終わるまで、大輔が夕飯の当番となっている。大輔の心遣いである。そんな事を気にも止めない2人、お風呂から出て夕飯を食べ終わると自分達の使った食器を洗っていた。

「謙二に伸介、トライアスロンはどうだ?」

「どうだと言われましても……当日にどうだか……」

「俺はね、ママチャリで大変ですよ!」

「伸介、目立つぞ?」

「目立ちたくないわ!」

「新聞に載るんじゃねぇか?……[激走!トライアスロンでママチャリ!]なんてタイトルでさ!」

「有り難迷惑だ!」

「伸介……特別賞が出る事になってな……ママチャリ激走なら、有り得ると思わないか?」

「社長、迷惑ですよ!」

とりあえずだが、伸介がママチャリを使う事は決定の様である。どうにも、伸介は貧乏クジを引く事が多い様に感じる。

「打倒黒崎謙二!……あいつに後悔させてやる~!」

大斗は1人、ロードバイクを走らせていた。

伸介のママチャリは決定みたい!

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― 新着の感想 ―
[良い点] ママチャリでトライアスロンは前代未聞ですね! なかなか波乱なイベントになりそうです。。 ほかにも飛び入りゲストがいたりして!?
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