お休みの2人!
本日お休みの2人……
本日お休みの2人、疲れからゆっくり眠っていると思ったのだが、
「おはようございます社長!いや~、気持ちのいい朝ですね!」
「本当にいい天気ですね!…絶好の休日日和です!」
「休みの時くらい、もう少し寝てたらどうだ?」
「何言ってんすか?…休みの日は早く起きる!」
「そして、休みを目一杯満喫する!」
「……翌日は?」
「そりゃあ……体よくサボる」
「謙二……それを俺に言っていいのか?」
「大丈夫でしょ、社長は同じ匂いがしますから!」
「おい!」
「まあまあ社長……でも、確かに似た匂いはしますよ?」
「伸介、お前まで……お前等は、本当に……」
大輔はぶつぶつ言いながらも朝食を作っている。なかなか手際が良い。
「そういえば、ボクサー達は?」
「もう走りに行ったよ」
「こんなに早く?……俺、ボクサーじゃなくって良かった……」
「謙二……お前はボクサーは出来ないよ……」
ボクサーの朝は早いらしい。3人は色々話しながら、結局は朝食を作り終わった。
「おはよ~……」
夏海があくびをしながら降りて来た。
「……社長、あれはまずいでしょ……」
「……1番遅い……」
「夏海……少しは自重しろよ……」
「何よ朝から」
朝から楽しそうである。
ボクサー達が帰って来て、朝食となった。篠原は相変わらず、謙二と伸介と一緒に朝食を食べている。
「しかし……2人はインターハイに出てるんだね?」
「よく知ってますね?」
「何で知ってんですか?」
「いや……インターネットは便利だよ」
「成る程……」
「謙二さんは……」
「俺の事はいいですから……それより、今日も練習ですか?」
「それがメインだからね……午前中は走って……午後からはジムワークかな?」
「うわぁ……更に練習が増えるんですか……」
「流石に凄いな……」
「何言ってんの?…石谷もやってる事だよ……いや、もっときつい練習してるかな?」
「「うわぁ……」」
ボクサーの練習に圧倒される謙二と伸介であった。
謙二と伸介は、謙二の車で出掛ける事にした。
「送ってってよ~!」
夏海の我が儘に付き合い学校まで送って行った2人、そのまま気ままにドライブとなった。
少し車を走らせると、バッティングセンターが有る。
「よし、まずは勝負とするか?」
「いいね!……で、どうすると勝ちなんだ?」
「ヒットで1点、ホームランは2点でどうだ?」
「ボードに当たらないとホームランとは認めないぞ?」
「それでいいや……後は?」
「ホームラン以外のヒットは、例え大きい当たりでも1点だな?」
「そのつもりだけど?」
「よし!…罰ゲームは?」
「昼飯を奢る!」
「いいねいいね!…寿司が旨そうだよな?」
「伸介、もう勝った気でいるのか?」
「そりゃあね……竹刀といえど、俺のが振る事には慣れてる筈だ!」
「ほう……でかい口は終わってからにしろよな?」
バッティングセンターで勝負となった2人、なかなか白熱となった。
先攻は謙二、200円を入れて右バッターボックスに立つ。最初こそ空振りも有ったが、慣れて来るとヒット性の当たりを連発する。最後は大きい当たりをし、ホームランのボードの横を通過した。
「当たったよな?」
「当たってない」
「いや、当たったって!」
「脇を通過だ」
とりあえずは、最後の打球はヒットという事になった。謙二は10点である。続いて伸介となるが、伸介は最初からいい当たりを放つ。このまま一気に勝負有りかと思ったのだが、途中から当たりが鳴りを潜め、結局最後にヒットを放ち10点となった。
「こうなると……やっぱり俺の最後はホームランという事にしよう!」
「何言ってんだ、ヒットだよ!」
「負けるからって、事実を捻曲げるなよ!」
「馬鹿なのか?…事実だろ!」
2人は言い合いをし、結局は第2ラウンド開始となった。しかし、なかなか勝負は着かない。どちらが勝っても[もう1回]となり、最後は5勝5敗となっていた。
「引き分けで、自分の金で好きな物を食べる……」
「そうしよう……」
引き分けの様である。2人は肩で息をしながら、バッティングセンターから出て来た。
一汗掻いて、どうやらお腹が減った2人、そのまま早めの昼食を取る。海鮮を食べる事にした様だ。丼ものの店に入り、海鮮丼を食べて満足の様である。
昼食後、特にやる事が決まっていない2人は、改めてドライブを続行した。窓を開け、気持ちのいい風を受けながらのドライブとなっている。夏本番となれば、こういったドライブも出来なくなる。今のうちに楽しんでいる様子である。
気になった所に寄り、だらだらとした時間を過ごす。2人はそれを、贅沢な時間だと感じている様である。謙二も伸介も、久しぶりに心から楽しんでいる。ここに来た事は、今の所は大正解である。
夕方になり、伸介は謙二に頼んで剣道の道場に来ていた。
「大槻さん、来てくれたんですか?」
「はい……暫くはブルー·マリンに居ますので、ちょくちょく遊びに来ます」
「何時まで居るんですか?」
「……夏の終わりまで……ですかね」
「こいつ、会社辞めて来たんですよ……ブルー·マリンで俺とバイト!」
「え?…仕事辞めたんですか?」
「はい、海の見える所で働きたくなって……」
「俺の影響!」
「違うわ!…誰があんた何かに!」
「素直になれよ!」
「俺は素直だ!」
「まあまあまあ……2人が仲がいいのは分かりました」
「「ちょっと!」」
「とりあえず、大槻さん…これからお願いします」
「こちらこそ、お願いします」
伸介は剣道の道場に顔を出す事になった。
2人の休みは、こんな感じで過ぎていった。なかなか楽しい休みである。余りにも楽しい為、2人は大事な事を忘れていた。
「あれ?……謙二、夏海ちゃん……」
「夏海?……………………」
「「あ~~~~~~!!!!」」
「やばいやばい、忘れてた!」
「学校、大分前に終わってるぞ!」
謙二はアクセルを踏み込んで夏海の高校に向かったのだが、夏海は帰った後の様だった。
ブルー·マリンに着いた2人、
「謙二と伸介の馬鹿!この馬鹿馬鹿コンビ!」
「ごめん夏海ちゃん!」
「怒るなよ~、後で伸介が奢るから!」
「本当?」
「何で俺なんだよ~?」
「お前が忘れてたからだろ?」
「謙二も忘れてただろ?」
「俺は……何となくだよ……」
「何となくって何だよ?」
「何となくは何となくだよ!」
「何で少しキレ気味なんだよ?」
「うるせぇな、お前は細か過ぎんの!」
「あんたが大雑把過ぎなんだ!」
「あのねぇ!…1番の被害者は私なの!」
「「ごもっともです。すいません……」」
休みの日も賑やかな2人である。
夏海は、どうやら2番目の被害者となった様である。
色々とやってくる……