カイルの失敗②
「筋肉バカだとー!」
声からしてさっき、声をかけたのは筋肉バカのようだ。
「だから、なんだ?筋肉バカ」
「くっそーー!このアマ!一度ならず二度までも!」
-ピキッ。
「まーいい。だけどよー、この酒場に入るには俺達を倒さないと入れないんだよ。わかったかい?俺達もそのかわいい顔に傷をつけたくないんだよ、お嬢ちゃん」
「……おい…今、なんて言った?」
剣を抜きながら俺は言った。
「その細い腕で俺達に勝てると思っているのかい?お・じょ・う・ちゃん」
物も言わず俺は切りかかった。
カチャ。
俺が剣を納めると共に、男の前髪はなくなった。
「ひっえぇぇぇぇぇぇーーー!」
男は一声あげると走って逃げて行った。
「あーあ。筋肉バカではなくてタダのいきってるだけの小物だったねー」
不意に胸ポケットからファーの声がした。
「おぃ…いつから?なんで、こんなとこにいるんだ?」
ポケットから出てきたファーが俺の周りを飛びながら言った。
「昨日から。最近、カイルったら休みになるとすぐどっかに行っちゃうから探りに」
「ごめんね、カイル」
胸ポケットからもう一つ声が聞こえた。
「リー!おまえもか!」
「うん。ルナに頼まれて仕方なく…」
ちっ。ルナの奴め、こんなときだけは感がいいんだから。
ファーとリ―の話によると、最近俺が度々いなくなるのを怪しんだルナが二人を俺のポケットに忍ばせたらしい。
「それでどこまで知っているんだ?」
「全部」
「ってことは、俺がサンディーに頼まれてシルフィーの弟探しを手伝っていること全部か?」
「今知った。」
はぁーー?俺は目が点になるのを感じた。
「今さっき、全部って…」
「そー言えば、カイルのことだから言ってくれると思って。」
にこにこ笑いながらファーは言った。
ちくしょーーーー!騙された!この小悪魔め!
「ってことは…俺が言うまで知らなかったんだな?」
「うん!」
「はぁ……仕方がない。ルナには黙っていてくれ。あいつが関わるとろくなことがないんだ。ルナには適当に答えててくれ」
「わかった!」
「なら早く帰れ」
が、ファーとリーは動こうとしない。
「……?何やってるんだ?早く帰れ」
「別にいいじゃん。私達、小さくても役に立つわよ。だから一緒に行く」
「僕も。精霊達から話を聞くことも出来るし…」
「っと言う訳で。」
「あっ…の…いや…」
ファーとリーは素早い動きで俺のポケットに潜り込んだ。
「ったく…しょーがねーなー。そのかわり、静かにしてろよ!」
そう言って、俺は酒場のドアを開けた。
そーいや、視界の端で例の太っちょが泡を吹いて倒れていたような…
ありがとうございます。




