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名のない物語  作者: K
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カイルの失敗①


パッコ、パッコ・・・


「おい、大丈夫か?ボッーっとしてると馬から落っこちまうぞ」

「・・・あっ、ああ、ありがとよ」


 隣にいた傭兵に言われて俺は我に帰った。どうやら俺は眠りかけていたようだ。馬が歩く震動って結構、心地がいいからな。

 あれから三日後、傭兵(まー、用心棒なんだが)も十分集まったので俺達、シルフィー様御一行はコロニアからペシルニアに向け出発した。

 その三日間は俺にとって、とても長かった。ファーにからかわれ、その度リーを泣かせ(ファーのとばっちりで)、サンディーは俺に見るとひたすら謝った。ルナはルナでそんなことを知らないで、いつものボケをかましていた。それが俺の精神を疲れさせているのにもかかわらずに…


「カイルー。カイルってば!」

「えっ、っあー、なんだ?…うわぁっ!」


 不意に聞こえたルナの声に振り返ろうとしがた、カクンといきなり馬が止まり、体制を崩した俺はそのまま落ちてしまった。


「…ってー!ったく。なんだよ、ルナ!」

「前に大きな蛇がいるよー」


 前を見ると確かに蛇がいる。おそらく馬はこいつにビビって立ち止まったのだろう。


「あのなー、そういう事はもっと早くに言えよ」

「だって、言おうと思ったら、カイルが馬から落ちちゃったんじゃない。それにボッーとしてたカイルも悪い!」


 ほっぺたをプーと膨らませルナが言った。

 ルナにしてはまともな意見だ。


「許してあげなよ、ルナ。おもしろいのが見れたし」

「それもそうねー」


 ファーと共にルナは大笑いをした。

 しかし、俺は見てしまった。ルナとファーの後ろで押し殺すように笑っているリーとサンディーの姿を…誰のせいでボーっとしてたと思うんだ!あいつらめ!


 旅が始まってから二週間が過ぎた。俺とサンディーは泊まってる間や、休憩の合間を見て聞き込みをした。シルフィーの旅も多少の事故があったもの、比較的平穏に進んでいた。まー、事故といってもルナとファーと俺との口喧嘩だったが…

 三週間目も無事に終わり、旅も中間地点を越えた頃だった。その頃一行は、疲れが出てきたので、ある村でしばらく滞在することになった。

 そして、俺とサンディーはいつもどうり手分けして聞き込みに行った。

 情報を手に入れるには酒場に行くのがいいのだが、酒場で聞けるのは表立った噂で、数も少ない。それに今回のように事情がある場合は裏情報を探るのがいい。数も多いしな。だが、裏情報にはいくつか問題がある。やばいがおいしい仕事もあるので賞金稼ぎやごろつき、盗賊団の使いなどがいる。まー、俺の場合盗賊にも用があるのだが…。

 それに情報を手に入れるには、街の裏通りの酒場などの、ごろつきなどが溜まりやすい所に行かなくてはいけない。それだけではなく自分が強いということを見せ付けないと、情報をくれなかったり、半殺しの目にあうこともある。そして、せっかく苦労して手に入れた情報でもデマだったりもする。だから普通の人は行かない方が無難だ。冒険者でもそれなりの腕がないと犬死にだ。俺も結構、腕に自信はあるが雰囲気が好きじゃないから滅多に行くことがない。


「はぁー…」


 俺は大きなため息を一つ吐いてから、裏道に入った。そして酒場に入ろうとした。


「おい!待ちやがれ!」


 俺の動作は男の声によって止められた。見ると筋肉ムキムキのつるっぱげと太った男がいた。


「なんだ。筋肉バカと太っちょか」


 剣の柄を気づかれないように持ちながら俺は呟いた。



ありがとうございます。

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