青い目の少年とその仲間②
「ねー、カイル。次はどこの町に行くの?」
朝早くにファーが大声で聞いてきた。昨日寝るのが遅かった俺は、ゆっくり寝ようと思っていたが、ファーの大声のせいで眠れなくなった。
「まだ決めてない」
着替えながら不機嫌な声で俺は答えた。
「えー!じゃー今日どこに泊まるの?宿代もうないよ」
「んなバカな。まだ後一日分あるだろ?それはどうした?」
「それなら昨日、使っちゃったじゃない」
「昨日?昨日は確か買い物に行って、それから・・・そうだ!薬を買ったんだ」
そう、昨日はめったに言わないリーのわがままにメチャクチャ高価な薬を買ったんだ。
「…ごめんなさい」
いつから聞いていたのか小さくなったリーがポツリと言った。
「別に気にするな。リーが謝ることじゃないし、薬なんだからいつか役に立つさ」
「それでどうするの?私アルバイトなんてしないからね」
「ったく・・・・とりあえず冒険談を探すしかないだろ」
そんなことを言っている時に、
「おはよー!」
と、ルナのとても明るい声が響き渡った。
そう言うことで俺達は今、冒険談を探していた。
まさかただで寝泊まりしたり、飯を食うわけにはいかない。ちゃんと金を払わないと冒険者ではなく、犯罪者になってしまう。だから働いて金を稼がなくてはならない。一番手っ取り早いのはアルバイトをすることだ。村や町に滞在している間に短期で店で働いたりする。それが嫌なら、冒険談を探すしかない。
冒険談とは、近くの村まで届け物をしたり、薬草をとったりする雑用的なことから、どこそこの洞窟に宝があると言う話、ある村で近くに棲みついたモンスターを倒すと賞金がもらえる、と言う様な情報のことである。冒険談はたいてい冒険者ギルドに行けばを聞くことが出来る。そんな理由で俺達はギルドに行く為、表通りを歩いていた。
バカな事を言っているうちに目的の場所に着いた。
チャウス王国のギルドはとても大きく、朝っぱらから冒険談を探しに来る奴らが多い。ドアを開けるとカランと鈴の音がし、一瞬、視線が一斉にこちらを見た。が…それも束の間、すぐにもとのガヤガヤした雰囲気になった。そして所々から、なんかいい仕事ないか?、と言う声や張り出された依頼書を眺めている人がいたりした。
その中を進み、隅っこの丁度、空いたカウンターへと進んだ。そこには、何度か挨拶を交わしていた、受付係りの女性が座っていた。
「おはよう、なにか冒険談はないか?」
「おはようございます、カイルさん。そうですねぇ…丁度、いい依頼がありますよ?」
にっこりと笑顔でそう答えたのは、背中まである薄い水色の髪を編んでおだんごにしているエルフの女性。エルフなだけあって、整った顔をしており、髪と同じ薄い瞳が印象的な美人さんだ。結構、このギルドでは人気があり、密かにファンクラブもあるそうだ。
「数日前に来た女の人からの依頼が。人を集めていてまだ手が足りないそうです。報酬もそこそこいいので一度、お話を聞きに行くのはどうですか?」
「その女はどこにいるんだ?」
「ええっと…あっ、これですね。教会の裏の“星の輝き”っていう名前の宿屋にいらっしゃいます。これが宿屋までの地図です」
「ありがとう」
地図を受け取り、礼を述べるとレインはお気にせずー、と笑って答えてくれたが、すぐにそこには次の冒険者が陣取っていた。
俺達は通りに出ると、地図を頼りに宿屋“星の輝き”へと向かった。その宿屋はホテル並みの大きさで、近所の人が言うには、昨年できたチャウス王国一、大きい宿屋らしい。
まー、俺達には一生泊まれるようなところではないことは確かだ。
「ねー、早くその人に会いましょうよー」
と、ファーが急かした。とりあずフロント(?)にいき女について聞くと、確認をすると告げられるも、すぐに部屋に案内された。
部屋に入ると、年は二十歳ぐらい。暗めのオレンジ髪に金の瞳。髪は肩までの長さでおろしている女が一人、ソファーに座って俺達を、待っていた。
黒のタンクトップになめし皮のジャケット、黒の短パンから覗くすらっとした足に茶色のロングブーツというスタイルの良い女性だった。胸は…残念な部類に入るかもしれないが、スレンダーな彼女にはよく似合っていた。
「俺の名前は、カイル。そして、魔法使いのルナ、妖精のファーとリー」
「私は、サンディーよ。仕事の内容は、ある人の護衛よ。その人はちょっとした事情で命を狙われているの。それで腕の立つ人を探していたんだけど…魔法使いはともかく妖精とはね…」
「あら、失礼ね!体は小さいかもしれないけど図体が大きくてバカな奴よりも役にたつわよ!」
「そうだよ…」
怒ったファーとリーは声を張り上げて抗議した。まぁ、リーはファーの後ろからだったが。
「まーまー。ファーもリーも落ち着いて。悔しかったら目の前で見せればいいのよ。ファーの得意なファイヤーを唱えたりして」
「おい…ルナ…。」
何てことを言うんだ、と俺は思った。リーも同じ事を考えたのか顔が真っ青だ。
「そっかー。そうすればいいんじゃない!たまにはいい事、言うじゃない。ありがとう、ルナ。よーし!やるぞー!」
「おい!ちょっと待てよ、ファー!まさか…!」
俺はファーをとめようとしたが、それより早くにファーは呪文を唱えてしまい、ファイヤーの魔法は完成してしまった。そして、チャウス王国一の宿屋“星の輝き”は、開店一年目にして無惨にも一部屋、全焼してしまった。
サンディーは炭となった場所を呆然と眺め、ニコニコと笑っているファーとルナ、怒鳴り散らしているカイル、そしてすっかり脅えて泣きながら気絶したリーの四人を見てポツリと呟いた。
「なんでこんな人達が来るのかしら…」
もし、断ったら自分もまる焦げにされると思い、サンディーは深いため息をついた。
こうしてカイル達は、無事に冒険談を獲得し、新たな仲間、サンディーと宿屋のおやじからの借金を手に入れた。
ありがとうございます。




