襲撃者とは?①
「へぇー、そんな事があったんだ。ぜんぜん覚えてないや。あっ、記憶が消されたんだっけ。」
「なっ、なんで…」
クロックが下を向いたまま何か言っていた。
「なんだよ。」
「なんで…なんでそんなにあっさりとしていられるのですか!記憶を消されたんですよ!普通なら怒るとか、泣くとか……あーっ!もう!何かリアクションがあってもいいじゃあないですか!」
「ふっふっふっ……」
ファーが無気味な笑いを浮かべながらクロックの前まで飛んで行った。
「なっ、何ですか?」
ファーがポツリと言った。
「だって、カイルって能天気なんだもん。」
そう言う問題なんだろうか……
「そう言う問題ではありません!自分の記憶が消されて平然としているそんな人間らしくないような人に初めて会いましたよ!」
「でもカイルはそういう人なの!」
「この前だって、普通の人だったら死ぬような目に会っても生きてるし!」
「だ〜か〜ら!カイルは化け物並みの生命力を持っているのよ!」
なんだかくだらないが人を少し、いやかなりこけにしているような言い争いをしている二人をほっといて、俺はサンディーの方を向き聞いた。
「サンディーが俺の…姉貴…なのか?」
「……そうよ。私は一緒に居たオリバーに育てられたの。髪や目の色は魔法をかけてあるの。封印なら解ける事があるかもしれないけど魔法なら、解除の呪文を唱えない限り解ける心配はないからね。」
「じゃあ、シルフィーは?」
いつの間にかくだらない言い争いをやめたファーが聞いた。
サンディーを除く全員がシルフィーを見た。
「シルフィーは…」
サンディーが言いかけたのをシルフィーの言葉が遮った。
「サンディー様。私が話しますわ。私はエポス国の元間者です。ペシルニア国の話も嘘です。」
「嘘なの?じゃあなんで命を狙われているの?って言うより誰に狙われているの?」
そういやファーの言うとおりだ。俺達は誰に狙われていたんだ?……もしかして…
「……トランス王か。」
「さすがカイルね。その通りよ。」
「私は16年前、城が落された時にこっそり両親によって送り込まれたの。トランス国の王宮で下働きをしながら、王と王妃の安否を確かめるためにね。そして、3年前に王と王妃が生きているって事がわかったのよ。そこで前から度々連絡を取っていたオリバーにそれを伝えようとしたんだけど、少しミスをしてしまって…オリバーは殺されてしまったの。私はオリバーが匿っていたサンディー様を連れて逃げてきたの。それからよ。私たちが命を狙われるようになったのは。」
…………俺にはエポス国の記憶はない。
だがサンディーやシルフィーは俺が能天気に過ごしている間、ずっと闘っていたんだ……
「やさしき風の精霊シルフよ!我に力を貸せ!わが身を守る盾となれ!」
カラン。
俺めがけ飛んできたナイフが、リーの放った風の結界に阻まれ床に落ちた。
― おおっ。こんな所にいたのか。エポス国のお姫様。 ―
どこからか低い男の声が聞こえてきた。
「誰だ!」
ありがとうございます。




